演技のワークショップを受けて [リポート]

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2月28日、3月7日と、念願だった演技のワークショップを受けてきました。
このワークショップは、私のようなアマチュアからプロとしてお仕事をされている幅広い人を対象とした 台詞向上のためのレッスンです。
テキストは、毎回、シェイクスピアのいずれかの戯曲からで、講師は、シェイクスピアを専門分野とする プロ中のプロの先生です。

第一回目も第二回目も、受講生の人数は5人で、初回はプロを目指している初心者の若い人が多く、二回目は、私以外は、全員 プロを目指している人、又は すでにプロとして活躍している人でした。

第一回目のテキストは「ロミオとジュリエット」で、私はロミオ役を誉められました。
けれどこれは、初回だったので、多分に先生が、点数を甘くつけておだてて下さったのだと察します。

第二回目は殆どの受講生がプロ という理由ででしょう、レッスンは初回より遥かにハイレベルのものを要求され 厳しかったです。
テキスト戯曲は「リア王」でした。

私はこの回で、主に三つのダメ出しをされました。
先ず一つ目はーーー
「ぼんぼちさん、そういう芝居もあるんだけど、それは田舎芝居です。 それでは台詞を発する前から 観客に全て『あぁ、この役者は次にこういう言い方をするな』と読まれてしまいます。 読まれてしまってはいけないんです。 役者は観客が読んでいる事の逆、逆をやっていく事で、観客をグッ!と惹きつけるんです」と指摘されました。
私はこの瞬間、目からウロコがポロポロポロポロ〜〜〜ッと落ち、この先生にこそ!これからもついて行きたい! と強く思いました。

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というのはーーー
私は20年くらい前に、某演劇研究所の週一のクラスに通っていたのですが、そのクラスの先生の教えというのは、「観客が、この役者はこうやるだろうな、と予測している事を裏切ってはダメなんです。 例えば、失恋した人が海辺に来たら、観客は、この登場人物はきっと『ばっかやろー!』と叫びながら、海に向かって石を投げるだろうな、と予測しますよね。 その通りの事をやらなければいけないんです。 それが『演技を解る』という事なんです。」というものでした。
そういう演技が出来るようになった時、私はその先生から「そうそう、演技っていうのはそういう事。 100点満点です!」と 合格のハンを押されました。
けれど、私の中には、釈然としない もやもや〜っとしたものが残り続けました。
「こういう方向性の演技って、果たして正しいのだろうか? 又、こんな程度の演技で100点って、もっともっともーーーっと上があるんじゃないだろうか?」ーーーと。
今回の先生のご指摘で、もやもや〜は一気に晴れ、こちらの先生のお考えこそ納得出来る!と 心底思えました。

二つ目のダメ出しはーーー
「母音で始まる台詞の母音が少し長く、台詞終わりに余韻を持たせるクセがあります。 それも直すように。」でした。
これも、以前にいた研究所や15年くらい前に週一で通っていた朗読のスタジオでは、「ぼんぼちさんは少しもクセが無くて良いですね。」と誉められていた事なので、やはり目からウロコでした。
例えるならーーー
過去にお習いしていた先生が、裸眼で見て、「あー、綺麗なお肌ですねー! 完璧ですねー!」と 先生ご本人からして気が付かれなかった事を、今回の先生は、顕微鏡の目を持っていらして、「あっ!ここにシワがある!ここにはシミがある! これ、どうにかしないといけないです。」というくらいに、細かく鋭いご指摘でした。
あぁ、プロをさらに上達させる立場の先生というのは、ここまで細かい部分を見抜いて下さるのだ!と 驚きました。

三つ目はーーー
長台詞の中の区切りになる意味の時には、間(ま)を取るわけですが、その間の後の台詞は、間以前の台詞とカラー(ニュアンス)が変わっていなければいけない、という事でした。
これも又、以前の研究所や朗読のレッスンでは、単に「適切な間が取れれば良いです。」とだけ言われていたので、やはりやはり目からウロコでした。

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次回のレッスンは3月28日で、テキストは「ハムレット」なので、その時までにその三点を直せるようにしておかねば!と 拳を硬くしています。
そして次回のレッスンでは、又 新たなダメ出しを幾つもされるに違いないと思います。
そしたら次々回までに直し、次々回には又新たなダメ出しが、、、と、そうやって、一段毎にステップアップしてゆきたいです。

又、今回の先生を非常に尊敬出来る、と深く頷けた事が、もう別の側面からもあります。
今回の先生は、「『何故』そうなのか、を詳らかに説明して下さる」「先生自らがお手本をやってみて下さる」「扱うモチーフについての、広く深いお話しを色々として下さる」という事です。
この三点は、私が以前、私塾で絵を教える仕事をしてきた中で、大変に重要だと考え、必ずやっていた事なので、ジャンルは違ってもそこは同じに違いなく、先生のレッスンは、とても解りやすく、疑問を感じず、説得力のあるものでした。

私はこれまで、複数人の演技・朗読の先生にレッスンを受けてきましたが、さすがにプロを教える立場の先生というのは、頭抜けたクオリティの先生なのだなあと、嬉しく驚いています。

私は、中学一年の時から、このような先生に、厳しくレッスンを受けるのが夢だったのです。
50年近くかかって、ようやっと、その夢が叶いました!
あ〜!幸せ!!
レッスン・自主練共に真剣に勉強し、より、映画・演劇についての造詣を深めたいと思っています。
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