自転車のサドルと通箱 [写真]

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三月になったので、あったかぽかぽかな雰囲気の写真を挙げようと、この一枚を選びやした。
特別突飛な写真ではありやせんが、茶色い革のサドルが古びている所や 通箱の赤さや 街路樹の木漏れ日が、これは画になる!と思わせてくれ、切り取り方に心を砕いて撮った一枚でやす。
あっしなりにではありやすが、かなり気に入っている作品でやす。

昔は、こうして通箱やビールケースを積んで住宅街をゆく酒屋さんの姿を よくお見かけしやしたね。

あっしが以前住んでいた街にも、近江屋といういかにもな店名の酒屋さんがあり、「近江屋の店主はやり手だ 商売上手だ」と 街の大人達はしじゅう噂してやした。
小学生だったあっしは、近江屋の店主が、毎日のように近所のどこかに自転車を停めて 客らしき奥さんに「そうだよね〜、だから今の若いモンっていうのはダメなんだよね〜」「そうそう、ダンナなんて家でゴロゴロしてるだけで、何の役にも立ちゃしないね」などと話し込んでいるのを見ていたので、「なんで、こんなにしょっちゅう道端でダベってる店主が やり手で商売上手なんだろう?」と さっぱり解りやせんでやした。

しかし、大人になって、カクテルラウンジでアルバイトを始めてみてーーー
「あの店主のダベりは営業だったのだ!」と 目からウロコでやした。
街の奥さん達のうっぷんを巧く引き出して同調することで、店の売り上げを伸ばしていたのでやした。

巧い商売とはそういうものなのだ、と 今では身に沁みて頷けやす。


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