オレンジ色と黒とブルーの抽象 [写真]

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東京駅構内で遭遇したポスターの一部分。
切り取り方に心を砕いて、一つの作品にしやした。加工は全くしてやせん。
なので、この作品は99%がポスターを制作されたデザイナーのかたの力でやす。

ここまで抽象的だと、もうほとんど平面構成でやすね。
平面構成、中高と美術学校の学生だったあっしは、デザインの時間にさんざん勉強しやした。
平面構成という勉強は、その時その時で必ず何らかの条件が出やす。
例えば、「○を三つと△を二つと□を一つで」とか「色数は五色使うこと。ただし無彩色は使ってはいけない」とか「カラス口だけで構成すること」などと。
これを、いくらパッと見の完成度が高くても、○を四つ使ったり、色を六色使ったり、筆で線を引いたりしたら、0点になるんでやす。
何故かというと、将来、デザイナーになった時に、クライアントの要求に全てきっちり忠実に応えなければならないので、その時々の条件を守る事は、その為の訓練でもあるのでやす。

あっしは結局、毒母の強要で、毒母を養う為に画家になりやしたが、画家の仕事でも同じ事が言えやした。
自分から売れ線を狙って描いた作品を画商が買い取り 顧客をまわる、という場合もありやしたが、画商を通じて先に顧客から条件付きで注文が来る事も少なくありやせんでやした。
「F6でテッポウユリを」とか「真っ赤なバラでバックはクリーム色で」とか。
これを、いくらこうした方が完成度の高い作品に仕上がるからと、F8で描いたり、バックを薄緑にしたりしたら、顧客は怒って もうその画家の作品は一切買わなくなりやす。

「私の芸術的感性がこの方がいいと抑えきれなかった!!」なんていうのは、非リアリズムのドラマや映画や小説や漫画の世界だけでやす。
現実には画家だって他の職業と同じく、資本主義社会の外側では生きてゆけないのでやすから、ましてやあっしは毒母を養う為に画家をやっていたので、月々ある一定以上の収入は稼ぎ続けないと許されなかったのでやした。

個展の時にお客さんに「私が表現したかったものを解っていただけて嬉しいです」なんてのは、100パーリップサービスでやした。


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