雑誌「大スター時代」に於ける堀切ミロさんの50Sスタイリング [ファッション]

近現代ファッション史の中でどの時代が一番好きかと問われれば、私は寸分迷う事なく「50S」と答えます。
中でも、ペチコートでスカート部分を思い切り張らせた膝が隠れる丈のワンピースに、ヘッドドレスと呼ぶほうが相応しい様な小さな帽子に、実用性にはほど遠い箱型の装飾性の高いハンドバッグ。

けれど、2年ほど前から髪の色をレッドにした為に 50Sファッションとそぐわなくなってしまったので、しなくなりましたが、それ以前の何十年間かは、高円寺やシモキタなどのお洒落のしがいのある街を歩く時や、ボゥディーズ(3年くらい前までファンだったロックンロールバンド)のライブに行く時には、ヴィンテージや 自分でデザインしスタイル画を描いてお仕立て屋さんに作って頂いた50Sファッションをキメていました。

20210905_122308.jpgそんな、今現在はしなくなった50Sファッション、観ているだけでドキドキするほどに惹かれ続けている事には変わりはないので、50Sの映画やポストカードや雑誌は、しょっちゅう眺めて愉しんでいます。

うち、大のお気に入りだったけれど、今の家に引っ越す際に、ボロボロになってしまったという理由で 処分してしまった50Sテーマの雑誌がありました。
「女には涙があったーーー1950年代ーーー男には情があった・大スター時代」という 昭和59年に発行された マガジンハウスのブルータス増刊の一冊です。

20210905_122415.jpg引っ越してから、「あー、いくらボロになったからといって、処分しなければ良かった。いつかまた買い直そう」と思い続け、先日ようやっと、再入手出来たという訳です。

内容は、50Sの洋邦の映画スター 自動車 バイク 文学 家電 事件 音楽、そしてファッションと、当時の文化全般を柔らかく扱ったものです。
で、私のお気に入りの頁は、70S~80Sに大活躍されていた 当時のお洒落好きなら知らぬ者はいなかった スーパースタイリスト 故・堀切ミロさんがスタイリングを担当された「現代にみる1950年代」と題された 16頁にも及ぶスチルです。
(堀切ミロさんが解らない世代の方は、後の北村道子さんのお仕事を思い浮かべていただけると 解りやすいとお察しします)

一言で感想を述べると、リアル50Sの再現ではなく、あくまでも堀切ミロさんのフィルターを通した、つまり、退廃感に溢れて 心憎くハズシ・クズシを入れたスタイリングなんですね。
二枚目の写真の右の女の子なんて、普通だったら、このワンピースには、ブルー系のジャケットを羽織らせますよ。そして、髪のリボンはオレンジ色。
そこをあえてハズす事で、退廃感や 決して上品ではない雰囲気をかもし出させている。
それでいながら、成立させている。
さすが、プロの中でもスーパーと冠されたほどのプロは違うな!と、感嘆の溜息をつかずにおれません。

自分では50Sファッションは愉しめない髪色にした今、こうして客観的に「観る」という行為で 50Sファッションを満喫している私です。
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