ナポリタンに負けたミートソース [喫茶店・レストラン・カフェ]

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今回書いてある内容は、喫茶店マニアの人は、当たり前に知っている知識であるがーーー

最近、やたらと イマドキのカフェなどで、「喫茶店のナポリタン」「昔ながらのナポリタン」と謳ったメニューに出くわす事がある。
けれど、「喫茶店のミートソース」「昔ながらのミートソース」というメニューを出しているカフェは、皆無といっていいほどに 無い。

それは何故かーーー
結論を先に言うと、ミートソースはナポリタンに負けたからである。
60年代70年代の喫茶店黄金時代、(日本で喫茶店が最も多かったのは、70年ちょうどである)スパゲッティを置いている喫茶店の殆どには、ミートソースとナポリタンは「双璧」といった形で在った。
私などは、「今日はスパゲッティにしよう!」という日は、ミートソースにするかナポリタンにするか、さんざん嬉しく悩んだものだった。
そして結果、7対3くらいの比率で、ミートソースに決定していた。
理由は、「ミートと麺を混ぜる」という行為が享しかったからである。
つまり、私はミートソース派だった。

しかしーーー
世の中から喫茶店文化が衰退してゆきつつあった80年代、少なからずの喫茶店が、「スパゲッティは一種類でいい、そのほうが、減った客足に対してロスが少なくて済む」という負の選択で 生き残らせたのが、人気のあったナポリタンで、少数派のミートソースは メニューから消されてしまったのである。
ーーーちょうど、パフェとサンデーが双璧だったが、パフェを生き残らせてサンデーを淘汰させたのと同じに。

だから本当は、ミートソースだって ナポリタンと同じくらいに、「喫茶店のーーー」であり、「昔ながらのーーー」な一品なのである。
私はナポリタンも好きなので、決して、ナポリタンを否定したり ナポリタンよりミートソースのほうが上質な食物だとか 美味しいとか主張する訳ではないが、この過去は、一喫茶店マニアとして、皆に忘れずにいてほしいと、強く思わずにはおれない。
又、60年代70年代をリアルタイムで知らない 若いレトロ好きの人達には、この事実は、喫茶店史の勉強として必須なので、認識しておいていただきたい。

今でもかたくなに、ナポリタンと双璧にミートソースを提供している喫茶店も、在るには在る。
例えば、新宿東南口の「タイムス」のように。

懐かしさ・レトロ感を味わいたくてナポリタンで口を朱くしている諸氏、たまには「稀な」懐かしさ・レトロ感のミートソースのある喫茶店に行って、ミートと麺を混ぜ混ぜする享しさに浸ってみられては如何だろうか?

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