ぼんぼち選・GS映画ベスト3 [感想文]

私・ぼんぼちは、商業の劇映画の中では GS映画というジャンルがなかなか好きでありまして、けっこうGS映画を観ています。
という事で、今回は、ぼんぼちの選んだGS映画ベスト3をご紹介させて頂く訳ですが、その前に どうして私がGS映画を好きなのかを 端的に説明したいと思います。

先ず第一に、60年代ブリティッシュロックが好きであるという事。
GS映画が作られている軟派なGSグループというのは、殆どがビートルズに影響を受けたグループであり、GS映画もまた、ビートルズ映画をお手本として作られている訳です。
当時はまだPVというものが存在しない時代だったので、グループのオリジナルナンバーの映像を、劇作品という形式の映画の中に組み入れて 劇場公開尺に作り 映画館で公開した、ビートルズのやり方を模倣した訳です。
私は60年代ブリティッシュロックが好きだという事のみならず、この形式の映画に、非常に面白味を覚えるのです。

次に何故、非常に面白味を覚えるのかというとーーー
他の商業の劇映画よりも遥かに多くの条件をクリアしないと成立しない、いわば 緻密なパズルを組み立て完成させるのと同じ論法を必要としているからです。

通常の劇映画の場合、条件は、大抵二つくらいです。
役者の名演を前面に出して泣かせる、とか、若手俳優の美しさがよく伝わる様に映して 万人に解りやすいホンにする、とか。

けれど、GS映画を成立させる為の条件というのはーーー
・主演のGSグループのメンバーが、カッコ良く大活躍する。
・そのグループのナンバーを、不自然さ無く絶妙なタイミングで数曲入れ込む。
・ファンの中心である中高生の女の子達が「キャッ!カワイイ!」と萌える要素を散りばめる。
・GSグループのメンバーは、ミュージシャンであり役者ではないので、役者としては素人のメンバーが、何を演っているのか、どういう感情なのかが解るホンと演出にする。
・それらの条件を、一本の劇場上映尺の劇映画として、魅力のある娯楽作品として作り上げる。
どうです? まさに、緻密なパズル構成の如きではないですか!

私はこのパズルが、どれだけ精巧にガッチリと構築され 成立しているか否かを見届けるのが、何よりも面白くて仕方がないのです。
以上が、私がGS映画を好きな理由です。

では、私が「これは見事に成立度が高い大傑作だ!」と唸らずにはおれないGS映画ベスト3を、簡単なシノプシスと共に感想を述べさせて頂きたいと思います。

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第3位 「ザ・スパイダース にっぽん親不孝時代」 監督・山本邦彦氏
スパイダースは全部で五本の主演映画を作っていますが、私はこの「にっぽん親不孝時代」を迷わず推します。
五人の若者と二人のフーテンが、ひょんな事から知り合い 意気投合し 音楽活動も合流させ、不純で不仲な大人達と対決し、自由の地へと旅立つ、というシノプシスです。
オリジナルナンバーの組み入れ方が実に巧妙で洒落ていて、又 映像の凝り方も大きな見所の一つです。
スパイダース主演映画というと「ザ・スパイダースの大進撃」が映られる事が圧倒的に多いのですが、こちらの方が、映画作品としてのクオリティは高いです。

第2位 「進め!ジャガーズ 敵前上陸」 監督・前田陽一氏
ジャガーズがジャガーズとして出演し、人違いから リードボーカルの岡本信さんが、純金密輸の取り引きに巻き込まれ、ジャガーズ全員で 悪の取り引き人達と闘い 勝利をおさめる、というテムポ溢れる一大コメディ。
終戦から高度成長期真っ只中の当時までもの日本史も語られ、社会派の一面もシニカルに垣間見せてくれます。
脇をかためるてんぷくトリオの名演や、中村晃子さんのコケティッシュな美しさも見逃せない、ジャガーズ唯一の主演映画です。

第1位 「ザ・タイガース 世界はボクらを待っている」 監督・和田嘉訓氏
1位はもう この作品以外にありません!
タイガースは全三作の主演映画を遺していますが、この作品が文句なく突出して優れています。
日劇に出演するタイガースの楽屋出待ちに、宇宙船事故をきっかけに 異星の王女が紛れ込み、ジュリーに恋をし、隠れ蓑としてボーヤとなりタイガースと同行するが、結局は 悲しみつつも母星に帰る、というもの。
タイガースの代表曲「銀河のロマンス」の歌詞を元に起こされた奇想天外なホンは、ぶっ飛んでいながらも 理由付けがしっかりしているので、矛盾が無く、中でも何といってもアッパレなのは、宇宙船で地球外へ連れ出されようとするジュリーが、武道館の観客のみならず 日本中の人のタイガースの楽曲を応援する掛け声「ゴーバウンド!」を求める際、「映画館でご覧の皆さんもご一緒にお願いします」と スクリーンから呼び掛ける事です。
これ以上 突き抜け切った大娯楽音楽映画が、日本に他にあるでしょうか?!
当時の観客の少女達が、劇場で夢中で「ゴーバウンド!」と叫んだ様が、目に見える様です。

以上が、私・ぼんぼちが、GS映画が好きな理由と、私が選んだGS映画ベスト3です。
これら三作品は、映画作品としての出来がとてつもなく良いので、それぞれのGSグループのファンでない方も、十二分にお楽しみになれると察しますので、もしもお気が向かれたら ご覧になってみてください。
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