昔の女性ってウブだったのね [独り言]

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私が三十才くらいの頃ーーー
近場の天満宮に ふらりと散歩に行った時のことである。
その天満宮は、鶏が何羽も放し飼いになっているので、鶏を観るのも 一つの愉しみの場だった。

私が鶏を眺めていると、傍を二人の年配女性ーーーおそらく大正生まれだと思われるーーーが、しきりと世間話をしながら やはり鶏達のほうを向いていた。

とーーー
一人の年配女性がもう一人の年配女性に あっけらかんと「どうして雌鶏の背中の羽根はハゲハゲになってるの?」と尋ねた。
すると聞かれた年配女性は、急に両手を頬に当て ひどく困った様子で「、、、、、えっと、、、えっと、、、それは、、、あの、、、、、有精卵だから、、、」と答えた。
「有精卵」と聞くや、尋ねた側の年配女性は、自分は何てはしたない質問をしてしまったのだろう!と言はむばかりに、恥ずかしそうな表情になり 俯いてしまったのだ。
二人は、俯きつつ黙って 鶏達から離れて行った。

聞かれた側の年配女性、「交尾をする時に雄が雌の背中に乗っかるからよ」とすらも、直接的な表現過ぎると感じて言えなかったのだ。

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又、やはり私が三十才くらいの時ーーー
山梨に住んでおられる知り合いのご婦人ーーー確か、昭和十年生まれくらいーーーに、石和だか甲府だかに在る宝石博物館(これが正式名称かどうかは正確に記憶していない)に、是非ご一緒しましょう! と誘われ 同行した。

館に入るや、様々な種類の貴石でこしらえられた 牡丹の花やら五重の塔やらがい並んでいた。
そのご婦人はおしゃべり好きなかたで、「ぼんぼち先生! これは紫色だから紫水晶、洋名でアメジストって言うんですよ。 で、こっちの葉っぱの部分は、、、」と しきりに説明をしてくださりながら、私達は観進んで行った。

と!
突然、館内展示物が、秘宝館展示へと変わった。 つまり、貴石で作られた秘宝品の数々となったのである。
すると、それまで間なくしゃべり続けていたご婦人は、しまった!ぼんぼち先生をこんな恥ずかしい所にお連れしてしまった!と言はむばかりの顔になり、俯いて黙ーーーってしまった。
俯きとだんまりは、秘宝コーナーが続く限り続いた。

秘宝コーナーを歩ききると、館内の展示は終わりで、土産物売り場へと直結していた。
と、ご婦人は先とは別人の様に満面の笑顔になり、「先生! 先生はどのお土産買いますか? アタシ、ぼんぼち先生が何をお選びになるか、先生のセンスを見て勉強したいんですよ。 で、アタシが今、目に留まったのは、、、」と 縦板に水の如くしゃべりを復活させた。
私は心の中で、あまりにも解りやすい感情の変化に、クククク、、、と笑ってしまった。

私の世代の女性二人で、いきなり秘宝コーナーが出現したとしたら、「あはは〜!これって秘宝館じゃん! デカイねー、プププ〜」と 恰好の土産話のネタになるところだが。

昔の女性って、、、子作りして何人も子供を産んで 年齢を重ねても、それでもウブだったのね、、、と思わずにおれない 思ひ出二つである。

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