福岡県民は何かというと「がめ煮」 [料理・ソフトドリンクス]

がめ煮.JPG

ここのところ一記事おきに 幼少時に福岡に住んでいた事にまつわる話を書いてきて 連鎖的にあれこれ思ひ出したので、福岡ネタをもう一つだけ綴ろうと思う。
福岡に住んでいた頃に何かというと食べていた おかずの話である。
「あっ!めんたいこでしょ!」と叫んだそこのアナタ、残念! はずれ~
私は、めんたいこは、殆ど口にした憶えがない。
何かというと食べていたのは、「がめ煮」である。
が・・・・・め・・・・・煮!

がめ煮というのは、一体どういうおかずかというと----
他地域でいうところの「筑前煮」である。
このネーミングは、福岡県は昔、筑前の国 筑後の国 と呼ばれていたので、その「筑前」に由来する。
がめ煮という福岡県民の呼び方は、ごったまぜにすることを福岡弁で「がめくりあう」と言う その「がめ」からである。
しかし、福岡に住み がめ煮を食べていた者からすると、筑前煮とがめ煮は 意地でもイコールで結べないものがある。
具材は同じであっても、味付けの具合がはなはだ違うのだ。
先ず、九州は醤油が甘く、がめ煮は、その甘い醤油で以って甘ったる~く作るのだ。
他地域で作られる筑前煮のように しょっぱくないのだ。
私はちょうど 味覚形成期にあたる3才から9才を福岡に過ごしたので、がめ煮の甘さを最も美味に感じ、自分基準だと「ちょうど良いしょっぱさ」であり、筑前煮はしょっぱ過ぎてとても食べられたものではなく、ちゃぶ台返しをしたくなるほどである。

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福岡に住んでいた頃、がめ煮は、それはもうしょっちゅう頬張っていた。
正月のおせちの重の一つとして 幼稚園や小学校の入園・入学祝いに 七五三の祝いに 遠足や運動会の弁当に、その他、何でもない日のおかずの一品として・・・・・・
群馬県出身の私の母親は 料理が大嫌いでまともな料理を作れない人だったが、唯一 がめ煮作りだけは、久留米のばあちゃん(父の母親)に ピシャリーッと仕込まれたようだった。
----否、もしかしたら あれは、ばあちゃん自身がうちに来る度に作ってくれていたのかも知れない。

がめ煮は、我が家や父の実家だけでなく 福岡県民であればどの家庭も うちと同じくらいの頻度で、ハレの日もケの日も食べていた 福岡県民の県民食だったように思う。
それは、がめ煮を好きじゃない者や がめ煮を作れない女は、福岡県民の住民票から削除されるくらいの勢いだったように記憶している。

けれど-----
考えてみると、私が福岡に居たのは、かれこれ50年も昔のことだ。
コンビニやファミレスや大手牛丼屋が全国展開する様になって久しく、外で働く主婦が多数派になった今、がめ煮はどのくらい食べられているのだろう?
がめ煮を食べる文化自体、福岡に遺っているのだろうか?
福岡にはたったの6年間しか住んでいなかったけれど、がめ煮が懐かしの味である私としては、少しだけ気になる。
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