黒電話の時代 [毒母]

私が中高生時代は、黒電話の時代だった。
その頃、しばしばこんなことがあった-----。

ある日、学校へ行くと友人の一人が、「昨日どうして電話くれなかったのー?」と 眉をハの字にして言い寄ってくるのである。
私は何のことやら解からずに「???」という顔をしていると、
「昨日電話したらお母様が出られて『ぼんぼちはまだ帰ってないんですよ。帰ったらこちらからかけさせますからねー』って仰るから かかってくるのずっと待ってたんだよ。 どうしてかけてくれなかったの?」
----私は母から 何も聞かされていなかったのである。

黒電話1.JPG帰宅し母に、「昨日○○さんってコから電話があったでしょ」と言うと、母は「そーいやぁ、そんな電話があったかねぇ」と めんどくさいったらないと言わんばかりの口調で答える。
「どうして伝えてくれないの?」
すると母は、まなじりをつり上げ「なーんで おめーにかかってきた電話をいちいち報告しなくちゃならないんだよっ!」と怒鳴る。
「『帰ったらこちらからかけさせます』って言ったんでしょ。 だったら伝えてもらわないと。 向うは待ってるんだよ。 伝えないんだったら『かけさせます』なんて言わなければいいでしょ」。
と、母は般若のような形相になり、「おめーは親に指図をする気かーーーっ!! アタシはおめーのお手伝い黒電話2.JPGじゃなーーーーいっっっ!!! この親不孝者がぁぁぁーーーーーーっっっ!!!」
地団太を踏み金切り声をあげ 殴りかからんばかりに激怒するのだった。
それ以上何を言ったところで 状況は悪化するばかりなので、私は黙るしかなかった。

そういうことが、数知れずあった。
必ず「かけさせます」と言いながら、母が私に友人からの電話を伝えたことは 一度たりともなかったのだった。
電話の内容は、デザインの授業の課題についてや部活の打ち合わせなど いずれも必要があってのことだったので、私は非常に困った。友人にも迷惑がかかった。
その頃はまだ、「世間体」というものを気にしていた年齢だったので、「母が何も伝えてくれないのだ」とは、友人に言えなかった。

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