ソールライター展を観に行き [感想文]

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米国を代表する写真家・ソールライターの 生誕100年を記念する氏の個展が、渋谷ヒカリエホールAて開かれていたので、出向く。

私は氏については、代表作を2、3枚、ポスターやポストカードでチラと目にしていただけだったので、ほぼ前情報無しという状況で、ギャラリー入りした。

50S~60Sにかけてのニューヨークの街と人、白黒写真とカラー写真、モード雑誌の仕事、サムホールの抽象画、、、
ダントツに私が感銘を受けたのは、カラーの街写真であった。

何も無い雨で濡れた道路に面積を思い切り費やして、主役の自動車を上のほうに、あえて見切れさせている作品、
フィルムならではの、粒子の細か過ぎない、彩度も高過ぎない、柔らかなマチエールの作品、
ウインドウの反射や夜の光を言はむとしている為に、何のモチーフだか判らない、抽象写真とも言って過言ではない作品、、、

私は、ソールライターという写真家が、ここまで突出した個性の アート系写真を幾多遺している人物だとは思いもしなかったので、嬉しく裏切られ、興奮した。

通常、構図を決める時は、主役を、縦横共に、ゴールデンバランスに近い7対3の位置に持ってくるものである。
カラーで彩度の高いモチーフに出逢ったら、その鮮やかさをこれでもか!と、見せつけたくなるものである。
モチーフが何だか判らない作品は、多数派受けしないので、自分の中でなかなかOKが出せないものである。

氏は、これらの基本的法則を裏切りながらも、見事に作品として、成立させているのである。
さすが、巨匠と名を遺し続けるに値する写真家だ!と、深く頷いた。

街撮り写真家の東の巨匠が、森山大道であるならば、西のそれは、ソールライター以外におるまいと、思わない訳にゆかなかった。

そういえば、以前、森山氏は、「いい作品を作りたい情熱は、撮る枚数に比例する」という意味の事を、氏のドキュメンタリー番組で仰っていた。
ソールライターも、押したシャッターの数というのは、相当なものだったと、察する。
街撮り写真というのは、モデルを組んで、完璧な構図を作って、3、2、1、ハイッ!カシャ!とはゆかず、偶然との遭遇なのだから。

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