スラングの生息域の変化 [独り言]

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芥川龍之介の晩年の短編の中に、小生意気な中学生達が教師のことを、「あいつはちゃくいぜ」「○○だってちゃくいぜ」と 揶揄する件りがある。----「ちゃくい」とは、どうやら「ずるい」という意味のスラングであったらしい。
この様に 昔からスラングは生息し、主に 同世代間で使われるのがお決まりだった。
同世代同士でさえあれば、別段 親しくなくとも通用したのだ。
しかし そのスラング、ネットが十二分に流通する時代になって以降は、生息域に変化が生じて来たと感じている。

私は現在56才なのだが、例えば----
「ガミー」というスラングがあるのだけれど、この言葉、同世代のかたで解かるかた、どのくらいおられるだろうか?
殆どのかたは、「何それ?」「初めて聞いたー」と仰るのではないだろうか。
----ガミーというのは、笑った時に思いっきり歯ぐきが見える口元の事を指すのである。 ガミースマイルとも言う。
具体的に解かり易い例を挙げると、「女優の沢口靖子さんはすごい美人だけどガミーだよね」 等と使う。
そう、つまりこの言葉は、美容に強く興味のある人の間でだけ使用されているスラングなのである。
美容に興味大であれば、50代だろうが30代だろうが10代だろうが ツーカーの言葉である。

又、「青文字系」というスラングもある。
これもやはり、多くの50代のかた、「?」なのではないだろうか。
青文字系というのは、アンチコンサバファッションの事である。
今なら、きゃりーぱみゅぱみゅ 中村里砂ちゃん、一昔前なら、アイドル時代 髪をショートにしてからの小泉今日子さんやロック調の曲を歌っていた頃のアンルイスさん達のファッションである。
ちなみに、リアルに私と逢った事がある人や過去の私のポートレートを見た人ならピンと来られたと思うが、私・ぼんぼちも青文字系である。
ファッションにアンテナを立てている人にしか通用しないスラングである。

この様に スラングは、同世代同士→共通の趣味の者同士 へと、明らかに生息域が変化しているのである。
現代人の多くは私生活の中心がネットにあり、ネット上で会話をする時には 世代など関係なく、同じ趣味・嗜好の者が集うからに他ならない。
鉄道を趣味とする人 アニメを趣味とする人 猫を飼っている人 等々・・・・・・世の中には幾多 趣味が存在する訳で、それぞれの趣味の領域内で 他趣味の者には理解不能なスラングが、次々と 生まれ 育ち 闊歩している事だろう。

私は、こういったスラングの生息域の変化を、時代の流れ・文明の発達による必然と解釈しているので、肯定的に捉え、自分と共通の趣味の人間との間では 積極的に使用している。

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