日本語は難しい?・Ⅱ [独り言]

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言葉は生き物で常に変化しつつあり、巷には新種のスラングが次々と、ネットやメールや人々の口から溢れこぼれてくる。
私はその事を、そういった言葉を使うのに相応しい場でさえあれば、おおいに使って構わないと考えている。
場の空気が堅苦しくなくなるし 距離のあった人との間もそれらの語を仲介として縮まってくれるからだ。
しかし、スラングでもなく、その人にしか判らない---つまり 間違った言葉の使い方をする人に出逢うことがしばしばある。

以前 私が絵を教えていた60代の男性----
「ウチの外壁に虫がいっぱいいて女房がキャアキャア怖がって困ってるんですよ」と言うので、周りの生徒さん達と私が、「どんな虫?」「何ていう虫?」と尋ねると、両掌をパッと前に出し 上下に交互にガジガジガジと動かし、「虫ですよ、虫。こーいう」と答えた。
私達は口々に、「バッタ?」「ゴキブリ?」「コガネ虫?」「カミキリ虫?」「カマキリ?」・・・・・と、とにかく虫という虫を挙げたが どれも違うと言い、「虫ですよ、虫」と くり返すばかりだった。
----結局、ヤモリのことを言っているのだと判った。
ヤモリは虫じゃなくて爬虫類でしょうが。

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ショットバーでアルバイトをしていた時に客として来た40代サラリーマン----
唐突に、「こーいう 花をいけるものがありますよねー」と、両手で大きなお椀のような形を示した。
「あれ、何ていうものでしたっけー?」
私達従業員が口を揃えて「花瓶でしょ」と言うと 違うと言う。
「水盤?」 「違う」 「壺?」 「違う」 「花籠?」 「違う」 ・・・・・・・・
「花をいけるものですよ、花をいける」 「いける器って他にあるかなぁ・・・・・・?」
20分間のやり取りの末に やっと彼の指しているものが判った。
それはプランターだったのだ。
プランターは「いけるもの」じゃなくて「植えるもの」でしょうが。

知り合いのギャラリー喫茶経営の40代の女性----
「私ね、犬を飼ってるのよ!」と 声を弾ませた。
「あー、わんちゃん、可愛いですよねー。 何ていうお名前なんですか?」
「ロットワイラーっていうのよ」
----それは名前じゃなくて犬種でしょうが、と呆れたが、気を取り直し、
「でっ! わんちゃんの、オナマエはっ! 何ていうんですか?」
「だからぁ、ロットワイラーよっ!」
「犬種」と「名前」の言葉の区別もつかないんですか・・・・・・。

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他にも、○○銀行のATMが一台設置されているのみのハコを「○○銀行が在る場所」と言ったり、ガソリンスタンドのことを車屋と呼んだり、二つバス停が並んでいるだけの狭い駅前を「ロータリー」だと言い張る人や、「僕は流行歌は嫌いなので 一切誰も聴かないんです。サザンと奥田民生を聴きます」と 平然と発する人がいた。

このような人達と会話をしようとするとダイヤローグが成立しなくて 非常にストレスを感ずる。
言っている本人は、自身が間違った言葉の使い方をしているとはつゆ認識がないから、私の顔を見て、「何でこの人はこんなに不機嫌な顔をするのだろう?」といった表情をしたり、「何でこんなに簡単な話が通じないのだろう?」といった頓狂な顔をする。
外国人や子供や帰国子女でもあるまいし、日本に生まれ、長年 日本に暮らしてきて、一体 日本語の何を学んできたのだろう?
日本語って、そんなに難しいですか???

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