映画「三沢川いきものがたり」を観て [感想文]

我らがSo-netブロガーのsigさんが、「三沢川いきものがたり」という映画を作られたので 観てまいりました。

sigさんは、本名・島倉繁夫さんとおっしゃり、長年 映像のお仕事に携わってこられた 映像ディレクターです。
私もこれまでに、島倉氏の映画史考察の講演の場などに しばしばお邪魔してきました。
そして今回は、氏が監督・編集をされたドキュメンタリー映画が完成し試写会が催されるというので、ちょっとしたご縁もあり 招待された次第です。

三沢川いきものがたり.JPG「三沢川いきものがたり」は----
タイトルが示す通り 三沢川に生息する様々な生物の生態系を観察したもので、三沢川というのは、東京郊外の稲城市と神奈川県川崎市の 住宅と梨畑のひしめき合う 「街なか」を流れる川です。
島倉氏は、この三沢川の近くにお住まいだそうで、映画では、主に川の「中流域」と呼ばれる 京王よみうりランド駅から稲城駅の間付近までの様子が 描写されています。

今まで数々のドキュメンタリー映画を観てきた私は、「この作品もおそらく、多くのそれのように 淡々と生物の生態を追っているだけの 緩急に乏しい映画だろう」くらいに想像しながら 会場の椅子にかけました。
ところが----!
引きあり寄りあり遥か彼方に広がる風景あり、よくこんなシーンに遭遇出来たな!と舌を巻かずにおれない カラスと蛇の格闘や 亀やスッポンの縄張り争いや サギやカワセミがトカゲや魚を捕っては飲みこむところや 腹を膨らませた蛇が飲んだばかりの餌をぐいぐいと長い腹の奥へ押しやる様子などが、テムポ溢れる鮮明な画で描写されていたのです!
しかも、付けられている音楽が、いかにもその場その場に相応しい効果的なもので、より映像に惹きこまれ 呼吸(いき)もつかずに見入ってしまいました。
又、全編に流れるナレーションも、解かり易いだけでなく とてもユーモラスで、思わず手を叩いて笑いたくなるセンテンスが幾つもありました。

三沢川いきものがたり1.JPG私はこれまでも、講演やブログを通じて島倉氏を尊敬してきましたが、この作品を観たことによって 尊敬の度合いは100倍に膨れあがりました。
終映直後にお話を伺うと、なんと! 撮影に6年 編集に2年費やされたのだとか!
感嘆の溜息とともに深く頭が下がりました。
そして同時に、映画を作るということは、ここまでも 辛抱と執念と努力の結晶なのだと、鑑賞と研究ばかりで現場を知らない私は、思い知らされました。

「三沢川いきものがたり」、生物に興味のある人や三沢川周辺の人達には勿論、それだけでなく、小中高校の芸術観賞会や ドキュメンタリー映画を多く扱う映画館「ポレポレ東中野」での上映など、これから一人でも多くの人に観てほしい! と願わずにはおれない 素晴らしいドキュメンタリー映画です。

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