溶明と溶暗 [映画・演劇雑記]

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溶明と溶暗。
溶明は、画面や舞台が、暗い状態からじょじょに明るくなり最大の明るさになる事。 溶暗は逆に、明るい所からだんだん暗くなって真っ暗になる、という映画・演劇の専門用語である。
どちらの言葉も、脚本・戯曲を捲っていると何度となく現れるので、映画や演劇がお好きなかたにとっては 馴染み深い言葉である。

この溶明と溶暗という言葉、私は個人的に非常に好きである。
同じ意味でも、横文字でF.I(フェード・イン) F.O(フェード・アウト)と書くのと まるで趣が違ってくる。
そこには、そこはかとなく文学の香りが立ちのぼってくるからである。
尤も戯曲は昔から 文学の一ジャンルとして認められているが、単なる設計図・指示書としてしか見なされていない脚本にも、これらの文字を見つけると、ぐっと奥行きと深みの色を感じずにはおれなくなる。

この二つの言葉、散文の中でも 文学的マチエールでまとまっているものであれば、入れ込むことによってキラリと輝く効果を得られるのではないか と思う。
例えば----
「私の中から不安の要因が一つまた一つと消えてゆき、そしてついには一つもなくなり、私の心は溶明した」というように----。
試しに今度一度 使ってみようと考えている。

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タグ:溶明 溶暗
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