偽のプロフィールをかたる人達 [独り言]

二十代後半の頃、カクテルラウンジでアルバイトをしていたことがある。
その店はかなり気どった 非日常的な空間を提供する店だった。
そういった店だったからか、職業や在学校を偽る客が 時々いた。

例えば----
プロフィール.jpgどう見ても普通のサラリーマンの中年男性が、「僕はテレビのプロデューサーなんだよ」と ポーズをつけてカウンターに肘をついた。
タレントの誰とかとは親しいなどとひとしきりしゃべった。
会計時、私は、「ゲー千デー百円になります」と言うと、「は?何それ?」と、ぽかんとした顔。
ゲー千デー百円とは五千二百円のことで、芸能業界・音楽業界の隠語である。
私は、昔 父が音楽の仕事をしており テレビの歌番組のバックのオーケストラで演奏をしていたので知っていたのだ。
業界の隠語を知らないプロデューサーなど いるわけがない。

又これも、どう見ても普通のサラリーマンが、「私は医者でね、今日は学会があってね」
あー、忙しかった、とおしぼりで顔を拭いた。
何科のお医者様なのですか?と尋ねると、脳外科であり産婦人科でもあるという。
そして、「女性は十回以上、妊娠・堕胎を繰り返すのが身体にいいんですよ。どんどん妊娠してどんどん堕ろしなさい」と、私ら女性スタッフに講釈をたれた。
脳外科であり産婦人科でもあるなんて 聞いたことがない。
しかも、妊娠・堕胎を繰り返すのが身体にいいなんてことも。

若い男性客が来た。医大生だという。
どこの医大に通っているのか聞くと、「早稲田の医学部」だという。
-----早稲田に医学部はありませんよ。
プロフィール2.jpg
我々従業員は、接客中は仕事だから 大真面目な顔をして、相槌を打ったり 「すごいですねー」「大変ですねー」と相の手を入れるが、客が帰った後は大爆笑である。
「あれでバレてないと思ってるのかねーーー!!」と。

つかの間、憧れの者になってみたい心理は理解できなくもないが、偽りのプロフィールをかたるなら、会話して嘘が露呈しないだけの裏付けの勉強くらいしたらどうかと思う。

最近は、フェイスブックで偽りのプロフィールをかたる人がいると聞く。
本人は夢が見られて気持ちがいいかもしれないが、周囲からしたら滑稽きわまりない モノ笑いのタネであろう。


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