第41回の演技のレッスンを受けて [リポート]

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今日は、12月21日(木)「リア王」の、演技のレッスンのリポート&感想をつづらせていただきます。

たいていレッスンが始まる時刻は、13時とか15時なのですが、この日は11時始まりと、案内書きにありました。
この時点で、「あ、、、この日のレッスンは、私、全然まともに出来ない、、、」と、負の確信がありました。
というのは、私は子供の頃から睡眠障害の持病を持っていて、毎晩、4種類6錠の睡眠薬を飲んでいるのですが、午前中は、睡眠薬が身体の中に残っていて、正常な状態でも滑舌が悪いのに、輪をかけて頭がぼーっとしてロレツがまわらないのです。
だけど、一回も休まず出席する!と自分に誓った以上は出席しよう! 全然ダメな日があっても仕方がない、というダメ元の気持ちで臨みました。

案の定、、、
先ず、さっそく滑舌の弱さを指摘されました。
他にも、リアはもうろくしていて言っている事が支離滅裂なのだけれど、ここでは何を言っているのか、次のセンテンスでは何を言っているかを、きちっと線引きして分けて考えて台詞を言う様に、や、ぼんぼちさんはこれだけ長く通っていると、僕(先生)に色々言われて壁にぶち当たる事も出て来ると思うけど、僕の指摘した事と自分(ぼんぼち)の出し方が中途半端で、思いっきり出し切れていない、や、相手の台詞をきちんと受けてから自分の台詞を発する様に、等等等、、、

その後、先生は、「ある程度レッスンを重ねてくると、自分の演技というものが出来上がってくるものです」と仰いました。
そして、「絵を描く人も、そこは同じでしょ?」と。
私が、絵に関しては全く違うので黙っていたら、先生は「え?」と、私の返答をうながしました。
なので私は、今はもう現役の画家ではないし、もう二度と画業に復帰しない為、本音を言っても全く自分の損にはならないので、「いいえ、画学生時代は、教師が良い点をつける画風を狙って描いて、公募展では、審査員受けする画風を狙って描いて大賞を取って、お客さんに売る作品は、お客さん好みの画風を狙って描くんです。 そうしないと、勝ち上がってプロの画家にはなれません。 私は自分が描きたい絵を描いた事は一度もありません」と真実を述べると、先生は「へえ、、、」というお顔をなさいました。

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私は、プロの役者を目指す人やプロの役者さんも、先生や演出家や監督やオーディションの審査員が好んでいる芸風を、その場その場に応じて狙ってやっているものだと、今の今まで思い込んでいたので、「役者さんの世界は違うのですか?」と尋ねると、「違います。 自分の中で出来上がった演技を『私はこれが出来ます!』と見てもらうんです」という様な意味の事を仰いました。
私は、びーーーーーーーっくりしました。
41回レッスンに通っていて、一番驚いた事でした。
これまでは、「解らなかった」「知らなかった」「以前の研究所の先生の教えは間違ってるらしいぞ」との思いで、「はい」「はい」と「自分の意思をゼロにして、これからは、この先生色に染まろう!」と、画業と全く同じ考えでいる事をみぢんも疑わずに思い込んでいたので、とてもとてもとーーーーーっても驚きました。
何回通っても新たな発見があるものだな! 趣味として、演技論の何たるかは机上だけでは身をもって解らないので、実技を体験する事で理解したいと通っている自分には、まだまだ通う必要があるな、と、気持ちがますます前のめりになりました。

それから、レッスンの最後に先生は、「ぼんぼちさんはプロにはならないと言っているけど、滑舌が悪いから、プロになるには10年はかかるね」と仰いました。
私は、これだけ滑舌が悪いのだから、仮定としてプロを目指したとしても、一生なれないと思っていたので、「へっ?!たったの10年で、私なんかがプロになれちゃうの?!」と、拍子抜けしました。
演技の世界って、意外とハードル低いんだなぁ。

だって、絵の世界は、「40、50は鼻垂れ小僧」と言われる様に、通常30年間修行を重ねて、ようやっとプロになれるのが一般的なのに。 私の様なハイスピード者は極めて稀です。
しかも、画家を目指す者誰もが30年修行を積めば画家になれる訳ではなく、100人中98人は、一生かかってもプロになれないのに、、、

ともあれ、今回のレッスンは、これまでで一番大きな驚きがあった回でした。
まあ、いずれにしろ、私はプロの役者を目指す気は1ミクロンもないので、私とは別世界の話しではありますが、演技論の何たるかを一つ知れたのと、これから劇映画を鑑賞する折に、とても参考になるお話しでした。
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