人に物を教える時のコツ [独り言]

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長くこのブログをお読みの方はご存知の様に、私は18才から27才まで、画家をやっており、私の画歴を知った人達が、「絵を教えてほしい」と、後から後からやって来たので、日曜日は、自宅アトリエで絵を教えていました。
27才で画家を辞めてからも、今まで教えていた人に「続けて教えてほしい」と頼まれ、又、新たにも、次から次へと、教えてほしいという人が門を叩いたので、教える仕事は私にとってそれほど辛くはないというのもあり、ほんの2、3年前まで、ずっと教える仕事は、途切れなくやってきました。

そんな中で、経験値として学んだのが、「教えるには、高い専門的技術を持っていて、それをただ伝えれば良いという訳ではない。教えるには、しかも、『長くこの先生に教わりたい』と思ってもらうには、あるテクニックが必要だ」という事です。

そのテクニックとはーーー
「生徒さん生徒さんそれぞれの、得意としている分野をさり気なく聞き出し、褒め、そして、その分野が自分はいかに出来ないか、をアピールする」という事です。

教えていると、当然ながら、注意をします。
「影は黒を使うのではなく、モチーフの色に補色を混ぜた色を使いましょう」等と。
どんなに優しく注意をしても、注意をされると、人間の心というのは凹みます。
ですから、その凹んだ部分を、雑談の時間を使って巧く補うのです。

「○○さんは、何をなさるのがお好きなんですか?」
「そーうですねー、主婦ですから、お料理くらいのものですねー」
「お料理は、何がお得意なんですか?」
「主人が煮魚が好きなので、煮魚をよく作りますね」
「ええっ!すごいですね!煮魚がお得意だなんて! 私なんて、煮魚作ろうとすると、いつもビシャビシャの汁に魚が浮いてるって感じになっちゃうんですよー」
「あら〜、先生! それは、お水をお入れになっているんではないですか?」
「はい、入れてます」
「ふふふ、先生〜! 煮魚には、お水、入れちゃいけないんですよ。 先ず、お酒を入れるんです。それで火加減はですね、、、」
と、その生徒さんは、「自分は、絵は素人で下手だけど、先生より遥かに出来るものがあるのだ!」と、満面の笑みになり、心を開いてくださり、結果、良好な人間関係が築けます。
本当はビシャビシャの煮魚なんて作っていなくても、失敗談、いかに自分はその人が得意としている分野が出来ないか、をアピールするのです。

私が教えていたのは、絵の私塾だった訳ですが、このテクニックは、会社組織その他、あらゆる「教える」場面で使えるのではないでしょうか?
「教える立場にあり、教わる人がどんどん離れていってしまう。信頼を得られない」、この様なお悩みを抱えている方は、ひとつ、試してみられては如何でしょうか?

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