おでんにまつわる些細な雑文 [料理・ソフトドリンクス]

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幼少の頃、私は異常に おでんに憧れを抱いていた。
影響を及ぼしたのは、ーーーそう、テレビアニメ「おそ松くん」のチビ太が、いつも手にしていた△○□が串に刺さったあれによってである。

我が家は、鍋物の類いを一切食べない家庭だったので、おでんもやった事がなく、又、給食にも出て来た事はなく、その頃はコンビニもなかったので、私のおでんへの憧れは、ふくらみ続けた。

△○□が、コンニャクと大根と練り物というのは、なんとなく解っていた。
だが、どういう味付けがされている料理なのかが、かいもく想像がつかなかった。
それに、何と言っても私の心を惹きつけた一番の要因は、「串に刺さっている」という形状であった。
「おでんというものは、必ず串に刺さっていて、串を持ってパクパクかじりつくものなのだ」と、みぢんの疑いもなく信じていて、その形状と食べ方に、無性に惹かれていたのだ。

私が18才くらいの時に、世の中にコンビニが登場したのだけれど、私は、18才~27才まで、仕事が寝る間もないくらいに忙しかったので、コンビニという所に行った事がなかったし、コンビニにおでんが売られている事も知らなかった。

時間の出来た30才くらいの時だったと思うーーー
カラオケスナックに友人と行った時、ママさんが、「はいっ!おでんよ!」と、小鉢を出して来た。
しかし、その小鉢の中身は、具の種類こそ、私の想像通りだったが、串に刺さっていなかった。
味も、出汁の効いたしょう油味だった。
私はひどく落胆した。

その後、「あれは、カラオケスナックという、料理メインの店じゃなかったから、まがい物のおでんを出して来たんだ」と思い、居酒屋に「おでん」の表記を見ると、何度も頼んでみた。
だが結果は、カラオケスナックの初おでんと同じであった。

「なんだ、、、本物のおでんって、串に刺さってないんだ。 それに、味だって、何か特別な意匠が凝らしてある訳じゃなくて、しょう油味なんだ、、、」
私のおでんへの憧れは、一旦ふくらみにふくらんだハンペンが、シューと平たくなるが如くに、しぼんでいった。

が、40代になってからだろうかーーー
おでんの具の中に「ちくわぶ」と「牛スジ」がある店があると知り、食べてみると、この二つの具は、単なる出汁しょう油の味付けでも 大変に美味だと感じた。
私のおでんへの温度は、ぐんぐん上昇した。

そして、ほんの何年か前ーーー
「トマト」のおでんという物があるとネットで見、「これは食べてみたい!」と、幼少期以来に、おでんへの憧れが沸点に達した。

私は、トマトは生は、ダイエットをしていた中高生時代に食べ過ぎて嫌いになっているのだが、火を入れたトマトは、オリーブオイル炒めでも、焼き鳥屋のトマト串でも、中華のトマトと玉子炒めでも、好きなのである。

いつか、皮の剥かれた赤いまん丸を、フーフーしながら、突き崩してみたい!
果たして、トマトのおでん、私の中でのおでん温度を、上げるだろうか?冷ますだろうか?

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