悲しかったプレゼント [画家時代]

このブログを長く読んでくださっている方は、ご存知のように、私は、18才~27才まで、毒母を養う為に、画家をやっていた。
そして、テレビの美術番組や美術誌に私の作品が紹介されると、調べて、私の所に「絵を習いたい」という人が、何人もやって来たので、日曜の午後は、自宅アトリエで、絵を教えていた。

それとなく私の誕生日を聞かれたのか、クリスマスだったのか、中元歳暮の時期だったのか、そこは失念してしまったが、ある時、生徒一同が、私にプレゼントをくれた。
「先生!これを着けて、毎日お仕事してください!」
「みんなで相談して、選んだんですよ!」
「そうなんですよ!先生、絶対、お似合いになりますよ!」
と、一筋の濁りもない笑顔とともに。

教室が終わって箱を開けるとーーー
出てきたのは、40才代~60才代の主婦が着ける様な、いわゆるオバチャンエプロンだった。
私は確かにその頃、ほうれい線があご先までくっきり深々とあり、頬全体がブヨンと垂れ下がった、いわゆるギョウジのウチワ型の顔で、老けて見られている事は百も承知だったのだが、改めて鏡を突き付けられた様で、悲しさがこみ上げ、泣いてしまった。
生徒達には、いちるの悪意も無いと解っていたから、よけいに悲しかった。
悲しくて悲しくて、身体を二つに折り、一人、アトリエの真ん中で、わんわん泣いた。
それはもうアトリエ中響き渡る声で、わんわん泣き続けた。

ーーーその時、私は、19才だったのだ。

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