「映画カフェ」と冠していながら、、、 [喫茶店・レストラン・カフェ]

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もうだいぶん前だが、私の住む街に、「映画カフェ」と冠したカフェが出来た。
ガラスのドアに大きく、「映画カフェ○○」と書かれていた。

映画好きの私は、早々に映画カフェ○○の扉を押した。
「、、、、、、、?????」
ここのどこが映画カフェなのだろう???
映画のポスターが貼られている訳でも、モニターに映画が映されている訳でも、映画音楽が流れている訳でもなかった。
店内をくまなく観察すると、棚に、西ヨーロッパのメジャーどころの映画関係の本が、十冊ほど並んでいた。

実験映画好きの私は、明らかにオーナー店主であると判る中年女性に、「実験映画の本のコーナーは、どこにありますか?」と尋ねた。
するとオーナー女性は、「ジッ、、、ジッケン???」
眉間にシワを寄せ、首を傾げた。
どうやらこのオーナー女性は、実験映画というジャンルの存在そのものからして、知らない様だった。

「あの、、、映画関係の本は、ここ(西ヨーロッパのメジャーどころの十冊を指し)の他には、どこにありますか?」
と聞くと、あからさまに不快な表情になり、「ここだけですけどっ!」
つっけんどんに言い放った。

私は呆れ返ってしまった。
「映画カフェ」と冠していながら、実験映画というジャンルすら知らずに、映画らしいところといえば、一般の映画ファンの読む、つまり、専門書とはいえない 大衆向けの、映画本の十冊を並べているだけなんて、、、

映画に限らず、何かに特化したカフェなり喫茶なりバーなりを営るのなら、店内は、その方面の関係グッズで溢れかえっており、店主は、その方面に於いては、百科事典の如くに詳しくあるのが当然であろう。
それで以て、客からお金を取れる、つまり、客側は、それで以て、金を払い時間を費やす価値を覚え、通おうという気持ちが沸くものなのに。

この、自称映画カフェ、私と同じに、期待を胸にワクワクと扉を押し、すぐさま、落胆と憤りでいっぱいになり、仕方なくコーヒーの一杯もすすり、「あぁ!なんて、時間と金の無駄遣いをしてしまったのだろう!!!」と、心の足で砂をかけまくり、二度とは訪れない映画好きが、何人も何人もいたのだろう。

映画カフェ○○、二年たらずで無くなった。
あまりにも当たり前過ぎる展開である。
店主は、今頃、己れの店の敗因に気づいているだろうか?

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