シミ

　　とっておきの純白のＴシャツを　おろした
　　雑踏で　すれ違いざまに　コーヒーがかかった
　　シミになった
　　帰ってすぐに洗ったが　シミは消えなかった

　　諦めずに　くり返し洗った
　　こんなシミ　いつか消してやるぞと誓って　くる日もくる日も洗い続けた
　　シミを消すことに　心血を注いだ
　　シミは　薄くなった

　　まだだまだだと　洗い続けた
　　シミを消すために　日日(にちにち)を生きた
　　完全にシミが消えたので　物干し竿に勇み通し　はっとした
　　ここにあるのは　もはやＴシャツなどではなく　荒野にちりぢりにひるがえる敗者の白旗なのだ　と

コメント 35

ぼんぼちぼちぼち様お早うございます。
この詩を読んで想像してしまったのは…会社の業績を上げるために私生活をも犠牲にして会社一筋で猛烈に働き続けたサラリーマンが、結局最後にはリストラにあってしまう…そんな場面を想像してしまいました。
そのサラリーマンも入社した時には、何も知らない真っ白な状態だったわけです。
発想が貧困でごめんなさい…

by ノンノン (2011-11-02 06:26) 

もう意地というか強迫神経症的というか、勝つに勝ったが
なぜか虚しさだけが残る・・きっと、Tシャツもシミは落ちても
風合いが様変わりしていた・・なんて想像をしてしまいました。
とっても素敵（詩的？）な文をありがとうございます。
by toyo (2011-11-02 08:29) 

いつも、訪問・ナイスありがとうございます
　　　共感しました　　　シミ　　　落ちないんですよね・・・・
お気に入りのＴシャツ　　数回で　　首回りが　　　ダラーーーん
　　　超　　　ショックに　　なるのは　　母だけでしょうか？？
by もーもー (2011-11-02 09:10) 

ああ・・何となく気持ちがわかります。
私もこんなシチュエーションあったような・・・？
それが何だったのか？
思っただけだったのか？
by ようこせんせい (2011-11-02 10:20) 

あ～あ、ぼくもきっと、敗者の白旗を上げてしまうような人間ですね＾＾；。
でも、そういう人間がいて、世の中は動いてるんだとも思う。
by ＮＯＮＮＯＮオヤジ (2011-11-02 10:39) 

着るために買ったTシャツが、シミを落とすために洗う布切れに
なってしまった・・・

ありがちですね。
自分も、プロセスに陶酔して、結果を見誤ることが多々あり。

でも、シミが落ちた時は、それはそれで、達成感があるから
良いのかもしれませんね。(^^)

by やまだ (2011-11-02 12:18) 

先を読み過ぎて、どっちつかずになるよりはいいのかな～。
by トックリヤシ (2011-11-02 13:32) 

こんにちは。
一人で一生懸命に洗う…敗者の白旗…悲しいですね。
by musselwhite (2011-11-02 14:08) 

盲目的に躍起になってしまったのですネ。
情熱がないと、ここまで出来ないけれど
シニカルな含みがいいなと思います。
by つなみ (2011-11-02 15:16) 

自分自身のことをうたわれているようで、はっとしました。
by ひでほ (2011-11-02 16:44) 

浦島太郎を読んだ後の気持ちになりました。。
ハッとして。。。。。
by ゆう (2011-11-02 20:06) 

みなさん

早いもので既に11月なんて信じられない昨日今日、こんばんはでやす(◎o◎)／

みなさん　それぞれに色んな感慨を寄せていただき　とても勉強になりやす・ありがとでやす・ぺこりっ。
この詩は隠喩詩なので、読んでくださるかたそれぞれの人生を通して様々に解釈していただければ幸いでやす。

あっし自身はどういった経験に基づいてこさえたか　というと
家庭の事情(親を養わなければならないとか)そういった　自分のせいではない　自分ではどうにもならない状況にて犠牲になっていると
いくらそれが胸を張って言える正しい理由であっても、
好きな仕事を目指すということは叶わなくなってしまうんでやすよね。
いざ　好きなことができるぞ　という状況になった時には　何もかも遅すぎるっていう・・・
趣味のお遊びの世界でしか実現不可能っていう・・・
恵まれた状況というのも実力のうちなんでやすよね。

そんな現実を痛感して　書きやした。



by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-02 21:54) 

>いざ　好きなことができるぞ　という状況になった時には　何もかも遅すぎるっていう・・・
趣味のお遊びの世界でしか実現不可能っていう・・・
恵まれた状況というのも実力のうちなんでやすよね

「シミ」の中にそんなに重いお気持ちが隠されていたなんて思いもよりませんでした。それぞれのお家の事情というのは、特に男性にとっての方が肩にずしっと来るものなのかもしれません。

今ブログという場を得てぼんぼちさんはとても生き生きしていらっしゃると思っておりましたが、そうですね、ぼんぼちさんなら、ぼんぼちさんほどの才能なら、もっと違う形でもっと早く世に出る機会がおありだったかもしれませんね。


by 九子 (2011-11-02 23:38) 

心に巣食う、固執という名のシミ。そんな風に読んでしまいましたが、違うかな・・。
by お水番 (2011-11-03 00:05) 

九子さん

いえ、あっしには才能というようなものはまるでないでやすよんf(◎o◎)

まぁ、今のあっしは　ブログという手段に遭遇できて　とても幸せでやすが
自由のない頃、親に学費を出してもらって好きな方面の学校通わせてもらってる同世代の人に対しては
歯ぎしりするほど悔しくて羨ましかったでやす。

また、親の方針であっし自身が仕事で稼がなければならなかったのが　美術の方面なんでやすが
この方面って、「好きでやってる」って思いこまれることが非常に多いんでやすね。
「夢が実現できていいですねー」とかって。
そこらへんの　自己の内側と第三者との目のギャップの大きさみたいなのもあってね。

あっしなんかより大変な思いをされてきた家庭のかたはゴマンとおられるわけだし
こんなのは　ちょっとした愚痴みたいなもんでf(◎o◎)
by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-03 00:07) 

お水番さん

へい、そういう意もおおいに込めやした。
他者により刻みこまれた負の部分を解決しないと前に進めないっていう(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-03 00:26) 

敗者の白旗…に仕上げるのに使った労力と平凡な日常が宝物に変わりました。
珈琲のシミ、Tシャツ全体を珈琲で染めてしまえば、着るたびにいい香りをまとえたでしょうか？因みに洗濯用固形石鹸なら一発です
by ピッピ (2011-11-03 01:11) 

一つの事にとらわれすぎて
その間に他の大事なことを逃してしまった
時には顔を上げて周囲を見回さないと
取り残されたような気持ちになってしまいますね
by 藤並　海 (2011-11-03 01:13) 

広い視野を持って生活しなくては・・・気をつけます＾＾；
by カリメロ (2011-11-03 01:46) 

ほどほどのところで妥協することも、必要ですよねぇ。
目的を見失ってしまう恐さ。。。

by まほ (2011-11-03 02:05) 

お気に入りの洋服だからこそより一層
懸命にシミを落としたけれど、
いつしかお気に入りの服を着ることより
シミを落とすことのほうに心が奪われてしまったのですね。
そんな自分をふと振り返ってみてみると
戦いに敗れて砂漠に倒れる兵士と同じではないかと気づいた。
でも私は悲しさや虚しさはばかりを感じるだけでなく
両者に共通するのは
一生懸命戦った証があるということではないかと思いました。
だから敗者であってもTシャツを持つ私も兵士も
胸を張ってほしいと思いました。
ぼんぼちぼちぼちさんの意図したものと違うかもしれませんがそんなふうに感じました。

by sunny (2011-11-03 10:46) 

好きなモノに限って汚される・・・
汚した側は何も気づかない・・・
人間社会の不条理なひとコマですねぇ・・・
雑踏の中、白旗が有効だといいですねぇ（××）

by くーぺ (2011-11-03 19:02) 

はじめまして。
久しぶりに詩を読んだという
感慨みたいな思いがあります。
中身のことを評論する能はないので
ノーコメントですが、
この重い詩に
たくさんのナイスがある
その意味を考えました。
by さきしなのてるりん (2011-11-03 20:27) 

大切なものを汚される哀しみはいつまでも残りますねえ。
といって、捨てるわけにもいかず、無視することも出来ないなあ。
あっけらかんと捨ててしまえれば、それはそれで楽なんだろうけれど。
by ナツパパ (2011-11-03 20:47) 

みなさん

文化の日だとすっかり忘れてた今日、こんばんはでやす(◎o◎)／

今回の記事、こんなに沢山のコメントをいただけるとは想像してなかったので　かなり嬉しく驚いてやす。
様々な解釈、様々な考え、様々なご意思を読ませていただき　とても勉強になりやす・ぺこりっ。

そう、コーヒー染めにして新たに楽しめたら　一転　そこで思わぬ楽しい人生の始まりでやすよね。
そういうふうに生きられる人って　かなり羨ましいなと思うぼんぼちでやす。
あっしは、お気に入りのTシャツは二つとなく　それでなければ駄目な　神経症的に執着する人間でやす。
この道が閉ざされたら　なら　限られた道の中で喜びを見出してゆこう　とは思えないんでやす。
コーヒー染めにしよ！ってのは　「逃げ」みたいに思えてしまうんでやす。
あ、勿論これは、比喩としての話であって、現実には　コーヒー染め　ナイスアイデアでやすよね(◎o◎)b
真っ白より　きなり色や茶系好きなので　機会をみつけてやってみたいでやす＼(◎o◎)／

最近になって、自分ではどうにもならない　自分のせいではないことは
たとえ結果的に敗北であったとしても、自身が後ろめたく感ずることなく　隠さず　堂々と胸を張っていいんじゃないか　と思うようになりやした。
そう思うことでかなり楽になりやした。
人生なんて不公平で理不尽なもので、誰にどんだけの量のコーヒーがかかってしまうか　当人のせいじゃないことが多々あるんでやすよね。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-03 21:00) 

こんばんは☆
ぼんぼちぼちぼちさんの言葉ってすごいな。
不公平でも理不尽でも、堂々と。
素敵な言葉です、いただきます！
by くみちょう (2011-11-03 21:19) 

くみちょうさん

こんばんはでやす(◎o◎)／
そんなふうに感じていただけて恐縮でやす・ぺこりっ。
まぁ、ちいと歳を取って　見えたっていうか開き直ったっていうかf(◎o◎)
それにしても、学校って　みんな平等だって教育するの、もういいかげんやめたらどう？百害あって・・・
って思いやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-03 22:06) 

真っ新な気持ちが世間に汚れちゃったのかな？
最後が何ともだけど、実は勝利の勲章に思えて仕方ないのですが。
何よりも真っ白に戻るまで洗う姿勢が素晴らしい。
アタシならチョイ落ちで妥協してしまいます。
by 太陽の玉子 (2011-11-04 12:37) 

太陽の玉子さん

勝利の勲章・・・なるほど、それ　嬉しいでやすね。
結果が全てとみるか　過程の努力を認めるか・・・
あっしは他者に対しても前者だったりするので
状況によっては　後者であることも必要だなぁと考えやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-04 13:05) 

がんばりやさんで自分に厳しい。
この主人公さんの人生は大変でしょうね。
シミが取りたくって、シミが取れたら大成功ですよー。
私も「勝利の勲章」に1票。
てか、私なら壁に飾って自慢しちゃいます。(*^_^*)
by ぴぃ (2011-11-04 14:51) 

今、この年（いくつだか^^;）になったので、多分、じゃいっそ珈琲色に染めましょう♪　
と思えそうですけど・・
もっと若かったら、必死に洗いそうです・・
by ｒａｎｔａｎ－ｎｙａ (2011-11-04 22:51) 

ぴぃさん

過程の努力を認めてくれるかたって　けっこうおられるのだなぁと
みなさんからのコメントを拝読して　感慨深く思いやした。
こういうテーマは、またいつか、違う視点からも記事にしたいと考えてやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-04 23:12) 

ｒａｎｔａｎ－ｎｙａ さん

そうでやすか。
ｒａｎｔａｎ－ｎｙａ さんは　精神的にも大人になられたのでやすなぁ。
あっしは・・・たぶん、一生　思えなさそーでやす。
最近は　そんな自分に開きなおってやす・苦笑。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-04 23:22) 

きっと、白旗を積み重ねないとわからないことがこの世界にはいっぱい。
……そうなんじゃないかなぁと、思ったりしました。
努力と無駄は紙一重。
と、そんなこと言いながら私は、無駄なものはないんだって……信じてます。
ありがとうございましたっ
by 伏井えりあ (2011-11-06 21:00) 

伏井えりあ さん

>無駄なものはないんだって・・・
前向きな考え、尊敬しやす。
あっしは「負けは負け、つまり無駄。だから　自分のせいではなくても全て言い分け」とか思ってしまうので
みなさんの考えをお聞きして、つくづく「なるほどー」と思いやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-11-06 21:30)