ポケットにはベケット [独り言]


    遊具も ベンチも 花壇もない公園、中央に一本の木。

    ぼうぼうの髪に 全身真っ黒に汚れの染みついた男が二人 茫然と座りこんでいた。

    黒テントに入団できず、赤テントにも断られ、今は青テントに暮らす役者志望者の果てか?

    人を待たせている自分は、足早に通り過ぎた。 




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未来

これが現代の、都会の縮図でしょうか。
考えさせられます。
by 未来 (2010-04-23 08:31) 

ぼんぼちぼちぼち

未来さん

そう、ますますふえる浮浪者に これが現代の都会なのだと痛感しやす。

この作品は、そんな この頃よく目にする景を
ベケット作「ゴドーを待ちながら」を下敷きに仕上げてみやした。
ウラジミールとエストラゴンという二人の浮浪者が
一体 何者かも解らず いつ来るかも解らないゴドーという人物を ただただ待っている 
という起承転結のない 不条理演劇の代表的作品でやす。
ゴドーとはゴッド 神であろうという解釈もされたりしておりやす。

そして、黒テント 赤テントは、現実に存在する劇団でやす。
浮浪者の住む青いビニールシートの囲いを「青テント」と呼ぶのを知った時に
あっしの中には 上の二つの劇団が浮かんで こんなショートストーリーを創らずにはおれやせんでやした
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-23 10:21) 

hatumi30331

いつもながら、素晴らしく、鋭い視点!
by hatumi30331 (2010-04-23 11:44) 

にすけん

 先日はお寄りくださってありがとうございました。
 ウチはどうも深い思考を誘う芸術に才能のある方々が覗きにいらしてくださることが多いようで、光栄に存じます。

 よろしければ、また時々おいでください。
by にすけん (2010-04-23 14:11) 

ぼんぼちぼちぼち

hatumi30331 さん

ありがとうございやす。恐縮でやす。

この、あっしの好きな作品を下敷きに 自分の遭遇した日常のひとコマを重ねて膨らませたショートストーリー
あっしの中で、勝手に「ポケットシリーズ」と名付けておりやす。
過去に公開した「ポケットには安部公房」に続き 二作目でやす。
このシリーズ 時々登場させたいと考えておりやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-23 19:36) 

ぼんぼちぼちぼち

にすけんさん

そうなんでやすか。
そう言っていただけて こちらこそ光栄でやす。
また 伺いやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-23 19:39) 

空兵

紀伊国屋ホールで 星セント・ルイス演じる
「ゴトーを待ちながら」
見たことがあります。
それよりも隣りに座った女の子が
気になって仕方なかった思い出があります。
by 空兵 (2010-04-23 21:54) 

リンさん

今は、青テントなんですね。
昔は夢と希望にあふれていたんでしょうね。
私の兄も役者志望だったんですよ。
今ではすっかりサラリーマンですけどね。
by リンさん (2010-04-23 22:06) 

ぼんぼちぼちぼち

空兵さん

「ゴドーを待ちながら」様々なかたが演じられてやすね。

あっしは、佐藤信氏演出 石橋蓮司氏・柄本明氏出演のと
串田和美氏演出 串田和美氏・緒方拳氏出演のを
観たことがありやす。

隣の席の女の子は 余程魅力的だったんでやしょうなぁ。
あっしは、それよりも その時の演出家が誰だったのかが気になって仕方がないでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-23 23:07) 

ぼんぼちぼちぼち

リンさんさん

お兄さん 役者希望でいらしたんでやすね!
ご兄妹揃って文系でやすね♪
人生、希望の職業に就くことが必ずしも幸せとは限らなかったりしやす。
そういうことを 大人になって様々な人を見て 痛感しているあっしでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-23 23:30) 

RobertCole

最後の一行・・・パンチ効きました
こんな一瞬、撮ってみたいです
by RobertCole (2010-04-24 00:52) 

TanTan

失いて彷徨いし、未来もなくて何も無く。
思えるは 考えもなく迷いしも、感じるは、選べ得ぬ現実。
感じずに、感じる事は食べる事で、愛す事忘れしも、再びに。
希望の一言、添えたしベケットに。

シュウ
by TanTan (2010-04-24 03:07) 

未来

いつも感心しているのですが、
ぼんぼちぼちぼちさんの文章は論理的で、
文体は無駄肉をすべて削ぎ落としたようなカミソリの切れ味があります。
ぼくも簡潔な文章を書きたいとは思っているのですが、
自分の体と同じでメタボがら逃れることができません。
by 未来 (2010-04-24 06:54) 

ぼんぼちぼちぼち

RobertCole さん

今回は かなりひとりよがりな作品だっただけに
そう感じていただけたとは とても嬉しいでやす。

「ゴドーを待ちながら」の中では ゴドーは最後まで来ないんでやすが
ここは、やはり 浮浪者の「静」に対して「動」でしめるのがベストだな と。
どんなジャンルにも「対比による浮き立たせ」は効果的に使えやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-24 10:42) 

ぼんぼちぼちぼち

TanTan さん

説得力ありやすね。
ベケットに贈りたいでやすね。
あっしは 他の作品では「しあわせな日々」と「芝居」を観に行ったことがありやすが
それらも 果てしなく絶望に向かって彷徨しつづけるものでやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-24 11:00) 

ぼんぼちぼちぼち

未来さん

お誉めの言葉 恐縮でやす。

これは、過去記事の「接続詞」でも少しふれたんでやすが
趣味として何か書くことをしたいなー と思って最初に習ったのが シナリオなんでやす。
で、次に書物によって独学したのが短歌。
簡潔にせねば という心がけは それらによって刷り込まれたものだと思いやす。
「散文の書き方」というものは まるで本をひもといたこともないので 
接続の言葉には どう取り組んでいいのか 今だに悩むところでやす。

あっしは元々 理論的な人間なので 書く時も 自分としては理論で詰めていくのが自然・・・というのはありやすね。
その辺りについては、5月11日公開の「理論派・感覚派」にてふれてやす。

これは決して、誉められたからお返しとして言うのではなく
お世辞も一切抜きで
未来さんの作品は 純粋でキラキラしているなー 自分には絶対書けないなー と思いやす。
だから、最初 あっしより遥かにお若いかただと思ったんでやす。
あっしの心なんて、もう随分前から 愛用のゴムぞうり同様 ドブネズミ色でやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-24 11:26) 

perseus

先日は私のブログの記念すべき1000nice目を
踏んで頂きありがとうございました。
今後もよろしくお願いいたします。。。
by perseus (2010-04-24 11:54) 

junbouママ

都会だから家を失くしても何とか生きていけるのでしょう。。。
こんな田舎で。。。テントがあれば、生きていけるのかしら?
ギリギリの生活をしている人は結構いるのでしょうが・・・
景気は緩やかに回復しているって・・・本当でしょうか
by junbouママ (2010-04-24 15:20) 

すうちい

ご訪問ありがとうございます。

黒→赤→青ですか。^^;なるほど。
すると次はさしずめ“箱男”ってとこですかね。
by すうちい (2010-04-24 16:37) 

ぼんぼちぼちぼち

perseus さん

そーでやしたか♪
こちらこそ これからもよろしくでやす~(◎o◎)/
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-24 20:00) 

ぼんぼちぼちぼち

junbouママ さん

んーーー、やはり都会だから 店もいっぱいあって食べ物の確保にあたれるんでやしょうか・・・・

景気、あっしには 上向いているとは思えないでやす・・・
あっしんちの最寄駅付近では、大手の店がどんどん撤退していってやす・・・
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-24 20:07) 

ぼんぼちぼちぼち

すうちいさん

そう、「箱男」を下敷きにしたのも書いてみたいでやす。
安部公房氏は、浮浪者をよく観察されていて
「箱男」も そこから発芽した作品のようでやすね。
箱の内側からは見えても外側からは皆目解らない恐ろしさ・・・
「他人の顔」にも流れる奇怪さでやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-24 20:16) 

空兵

こんばんは
脚本・演出は早野寿郎ですね。
残念ながら、残っているチケット、チラシ広告には
日付と時間は入っているのですが年度がありません。
たぶん1970年代後半だったと思います。
by 空兵 (2010-04-24 22:36) 

ぷうにゃん

10年前は札幌にも青いテントたくさんありました。
今はどうしてるんだろ。。。。青いテントみたことないです。 

地下鉄の乗り換えのとこの壁の隙間に上手にはまって寝てるおじさん、
最近みなくなりました。春が来たから移動したのかな。
by ぷうにゃん (2010-04-24 22:38) 

ぼんぼちぼちぼち

空兵さん

ありがとうございやす。
早野寿郎氏、あっしは殆ど知らなかったので 今 ざっと調べてみやした。
俳優小劇場を創られたお一人なんでやすね。
映画と違って 現在観ることが出来ないのが残念でやす。
星セント・ルイスが出演というところから
哀しい可笑しさを より強調した演出だったのかな・・・
などと思いを馳せておりやす。

by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-24 22:56) 

ぼんぼちぼちぼち

ぷうにゃんさん

そうなんでやすか。
どこへ行かれたんでやしょう・・・・
啓蟄が過ぎたので地上へ出られたんでやしょうか・・・
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-24 23:03) 

さーやん

ご来訪ありがとうございます
by さーやん (2010-04-25 06:28) 

にゃはは

おはようございます、はじめまして。
ご訪問&nice有難うございました。^^

by にゃはは (2010-04-25 08:41) 

oziat

ご訪問&nice! ありがとうございました。

by oziat (2010-04-25 16:39) 

GOTCHママ

訪問&nice ありがとうございます。
また遊びにきますね♪
by GOTCHママ (2010-04-25 21:34) 

ぼんぼちぼちぼち

さーやんさん
にゃははさん
oziat さん
GOTCHママ さん

こちらこそ ありがとーでやす♪
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-26 12:43) 

yoikosan

創作でしたか。そんな行き場のない人の姿が、思わず目のうちに焼きついてしまうのも、演劇の世界に思いがある ぼんぼちぼちぼち さんだからこそ。
by yoikosan (2010-04-27 13:08) 

ぼんぼちぼちぼち

yoikosan さん

人を待たせている自分は足早に・・・
という件りは完全に 作品として完成させるための虚構でやす。

「ゴドーを待ちながら」をあっしが舞台で観たのは
今ほど浮浪者が多くない時代でやした。
観客は必然、今という時代のフィルターを通して観劇するので
今 あの作品を観ると、多くの人は 切実なものを感じるかと思いやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-04-27 19:16) 

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