マンレイ 「理性への回帰」  [感想文]

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今日は、「アニメーション好きなら外せない!」 「フランス映画といえば これ抜きには語れない!」 という有名作品をひとつ紹介します。
「理性への回帰」
作者は、写真家としての仕事が最も知られている かのマンレイ、1923年の製作です。
レイヨグラフ(一般的呼称はフォトグラム)という カメラを使わずに直接印画紙にモチーフを置き感光させて作ったスチルを元に起こされた短編アニメーションで、ラストは 光と影の織りなすモアレに浮かぶ女性の裸体の実写で〆られます。

レイヨグラフのアニメーションは、やはりカメラを使わず直接フィルムに彩色するキネカリグラフ同様、チラチラパラパラとした独特の動きで、これが観ていると 理屈抜きに実に楽しい!
モチーフには、釘 画鋲 コイル 塩 胡椒などが用いられてい、単純に それぞれの無機質な輪郭の面白さに引き寄せられ、そして、モアレをまとう事でよりいっそう柔らかな曲線を強調された生命体の代表とも言える裸体との対比により、その両者の形状美を再認識せずにはおれなく ハッ!とさせられます。

アニメーションやフランス映画に興味のないかたにも是非とも一度観ていただきたい、世界映画史上に輝き続けている達作です。 

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コメント 12

昆野誠吾

このような作品があるんですね~
見てみたくなりました!
by 昆野誠吾 (2013-12-15 23:18) 

ぼんぼちぼちぼち

昆野誠吾 さん

人にはそれぞれ好みがあるので、あっしは通常、オススメというようなことは言わないのでやすが
この作品は、短くて難しくなくて楽しいので どなたが観ても面白く感じるのではないかな と思いやす(◎o◎)b
もしかしたら ゆーちゅーぶで全編観ることができるかも知れやせん。
by ぼんぼちぼちぼち (2013-12-16 09:29) 

ackylacky

このヴァイオリンのワルツがいいですね。
映像も何もかもがクルクル回って、ワルツを踊っているのかな。
最後の裸婦は、モンパルナスのキキと日本語で書いてましたが、ほんとに印象派のモデルで有名なキキなんですか?
by ackylacky (2013-12-16 21:05) 

PENGUIN

アニメやフランス映画は好きなので
見てみたいですね。
by PENGUIN (2013-12-16 22:28) 

ぼんぼちぼちぼち

ackylackyさん

特に画鋲は ほんとにくるくるとワルツを踊ってるようで楽しいでやすよね。
キキに関しては、あっしはきちっと調べたわけではないので はっきり言い切れないのでやすが
マンレイがモデルによく使い 個人的関係も深かった あのキキなのではないか・・・と思いやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-12-17 11:33) 

ぼんぼちぼちぼち

PENGUIN さん

ネットで全編観られると思いやすので、是非・・・(◎o◎)b

マンレイの作なので、写真好きのかたはみなさんよくご存じだと思いやす。
また、アニメーション史を勉強する中でも 必ずテキストに取り上げられる作品でやす。

by ぼんぼちぼちぼち (2013-12-17 11:48) 

るね

マン・レイ、自分はシュルレアリスム(あるいはダダイスム)の文脈の中で語られる名前として認識していました。
一時期、デュシャンと混同していたのはナイショですw

「理性への回帰」もダダイスムの映画的表現ということだそうで、視たものをそのまま受け取ったらいいのかなぁ……と感じました。
by るね (2013-12-18 00:37) 

ぼんぼちぼちぼち

るねさん

あぁ、デュシャンと混同されてたの 解りやす。
その文脈から認識すると ね(◎o◎)b

この作品は、「ひとで」と並んで マンレイの映像の代表作でやすね。
あっしがこの作品を初めて観たのは、世界実験映画史の講座の中でだったので
そういった文脈から、講師の解説付きで知りやした。
実験映画の中には 解説無しだともう何がなんだか解らない作品も少なくないわけでやすが
これは、技法に関しては、写真をまるで学んだことのないあっしは解説がないと解りやせんでやしたが
解釈としては、何の予備知識がなくとも、ただただ単純に観て楽しめる作品だと思いやした。
なので、今回 こういう形で紹介してみやした(◎o◎)b

by ぼんぼちぼちぼち (2013-12-18 10:39) 

ちゅんちゅんちゅん

こんばんは!
マンレイ・・・知らなかったので
ゆーちゅーぶで探しました。
余分なものがないのに
余白があって
想像できるスペースがとってあるような
不思議な魅力がありますね。
余白がある余裕って
現代では無理なのかもしれません。
いい時代のいい作品を教えていただき
ありがとうございます(^^)
by ちゅんちゅんちゅん (2013-12-19 00:34) 

ぼんぼちぼちぼち

ちゅんちゅんちゅんさん

おぉ!観てみられやしたか!
なるほど、余白がある余裕・・・確かに(◎o◎)b
だから 観る人それぞれにいろんな想像を膨らませられやすよね。
あっしが紹介した作品を愉しんでいただけて嬉しいでやす・ぺこりっ
by ぼんぼちぼちぼち (2013-12-19 10:32) 

t-youha

お久しぶりです。

当記事を拝見して、思いだしたようにこの作品を観ました。
観てしばらくの間は、つまらないな~という感じで見ているのですが、自分の中のとかく刺激を受けたがる感覚や五感がいよいよ退屈さを通り越すと、言葉にできない観念のようなものだけが残るような気がします。するとありふれたモチーフが、まるで一度も見たことがないかのような新鮮さで迫ってくる感じがします。すべてが美しく見える。眠くなる感覚とは少し違うのですが、もしかしたら、それをマンレイは「理性」としたのかなと思いました。言葉にできない感覚を覚えます。同時に自分が理性を失う時の感覚も見えてきそうな気がします。
by t-youha (2013-12-19 23:43) 

ぼんぼちぼちぼち

t-youha さん

題名に対する解釈、あぁ なるほど と思いやした(◎o◎)b
何故「理性への回帰」なのだろう?と ちょっと不思議に思いやすよね、逆説的でもあるような。
>言葉にできない感覚・・・解りやす。
無生物が呼吸(いき)が吹きこまれたように動き出すというアニメーションの原点に それまでの理性がぐらついてしまう感じ、ありやすよね。
by ぼんぼちぼちぼち (2013-12-20 21:48) 

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