カンナと石炭貨車 [詩・詞]
八月になると わたしの頭蓋には 朱赤のカンナが燃え 石炭貨車がやってくる
わたしは五才にちぢんでゆく
五才のわたしは 踏切りに立っている
巨大な怒りのたいまつのようなカンナの朱赤と 山と盛られた悪のような石炭の漆黒の対比に
わたしは圧され 呼吸も動きもうばわれる
五才のわたしは立ちつくす
尽きなくカンナは燃えつづけ 切れなく貨車は石炭を運ぶ
五才のわたしは からだ全体が 小さな撮影機となる
そして 対比という主題の個人映画を 憑かれたように撮りつづける
遮断機の上がる九月まで
わたしは五才にちぢんでゆく
五才のわたしは 踏切りに立っている
巨大な怒りのたいまつのようなカンナの朱赤と 山と盛られた悪のような石炭の漆黒の対比に
わたしは圧され 呼吸も動きもうばわれる
五才のわたしは立ちつくす
尽きなくカンナは燃えつづけ 切れなく貨車は石炭を運ぶ
五才のわたしは からだ全体が 小さな撮影機となる
そして 対比という主題の個人映画を 憑かれたように撮りつづける
遮断機の上がる九月まで
カンナと石炭貨車の気持ち分かる様な気がします。
by タカタカ (2011-08-25 06:23)
からだ全体が、小さな撮影機となるって・・・素敵☆
by ラブスコール (2011-08-25 06:48)
何か・・・凄く迫るものがありますね。
by キャスリーン・ケリー (2011-08-25 10:54)
悲しくて怒ってる小さい頃のぼんぼちさんがそこに・・・
記憶は消せないね。 どう付き合うか・・・
今をどう生きて行くかかな? って・・・・^^
by hatumi30331 (2011-08-25 11:21)
タカタカ さん
ありがとでやす。
カンナってまるで 巨大なたいまつが燃えてるみたいで
石炭貨車は、重厚感の塊のように迫力あって
小さい頃のあっしは、それらに「どうだい~? ちっぽけなおまえさん」って言われてるように感じたものでやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-25 12:43)
幼児期の原風景というヤツには、たくさんの隠し絵が埋まっている…そんな気がしました。機会があれば私もその辺をモチーフにしてみたいと気づかせてくれた詩でしたね。ありがとうございます。
by 扶侶夢 (2011-08-25 12:48)
ラブスコール さん
そこに着目していただけて すごく嬉しいでやす!
視覚的に強烈な記憶をどう表現しよーかと考え
目がキャメラになる・・・より
いっそ、身体全体が撮影機 のほうが あのときの自分の
ただただ ほかの一切を忘れて見上げてた感じが出るなーと思いやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-25 12:49)
キャスリーン・ケリー さん
そう感じていただけたとは、この書き方で良かったんだなーとほっとしやした。
伝えたかったニュアンスが伝わって嬉しいでやす・ぺこりっ。
心象風景って、なんだか 夢か現実のことだったのか解らないような断片的な記憶の残り方で
でも、その断片は ものすごくキョーレツに頭に突き刺さり続けてるわけで・・・
そんな まるで理路整然としてない強烈さをどういう切り口で書くのが一番伝わるかなーと考え
これに決まりやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-25 12:59)
hatumi30331 さん
これは 別段、あっしにとって消したい記憶でも辛かった記憶でもありやせん。
視覚的に圧倒された原風景の記憶、
色彩の対比に対する最初の感動・驚きでやす。
本文の「怒り」というのは、あっしが怒っているのではなく
カンナが 怒ってるようにメラメラ燃えるたいまつ みたいだ
という カンナの花の状態の形容でやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-25 13:08)
扶侶夢さん
そんなふうに思っていただけるなんて恐縮でやす・ぺこりっ。
たくさんの隠し絵が埋まっている・・・
まさにそう感じやすね。
今回の作品、どういった切り口で表現しようか あっしなりに結構考えやした。
幼児期の原風景の記憶って 今となっては具象的記憶ではないわけで
つまり、カンナと貨車以外に 周りに何があったかとか まるで憶えてないし
圧倒される感じとか 蒸し暑い空気とか そーいうのはものすごく強く残ってて
だから、具象的表現よりも このくらい抽象表現使ったほうが
むしろ あのときの言葉にならない感覚が伝わるんじゃないかな と思いやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-25 13:23)
カンナの花の赤が鮮明に頭の中に浮かびました
ぼんぼちぼちぼちさんの『赤と黒』ですね(^^
by 藤並 海 (2011-08-25 21:53)
藤並 海 さん
頭の中に浮かばれたとは 嬉しいかぎりでやす・ぺこりっ。
そう、あっしの「赤と黒」でやすね(◎o◎)b
色彩の対比というものの迫力に 生まれて初めて圧倒された強烈な記憶でやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-26 10:23)
私が小さい頃は、石炭で走る「汽車」がまだ走っていました。
線路を渡る時の「ポーッ!」とか「シュッシュッ」という大きな音が怖くて
未だに駅に行くと大きな音がするかも・・・とドキドキしちゃいます。
小さい頃のことって影響が大きいですよね~。
by イヴママ (2011-08-26 10:34)
土盛りした上に敷かれた線路の脇には
なぜかカンナの花をよく見かけましたね。。。
思い出しました(^w^)
by rtfk (2011-08-26 16:23)
イヴママ さん
そうでやしたか! 北海道では まだその頃 汽車 現役だったんでやすね!
あの音は、小さい子供には怖いでやすよね。
あ、そーいえば、音のほうの記憶だと
あっしは花火大会での打ち上げ花火の音が怖くて泣いてしまったことがありやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-26 18:43)
rtfk さん
やはり 線路脇にカンナが植えられてたとこ 多かったのでやすね。
肥料がなくても大きく育つとか 横に這わずに上に伸びるからとか
カンナが都合良かった理由があるのかもでやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-26 18:48)
昔はカンナをよく見ました。
私のカンナの思い出と言えば、カンナの横に井戸水をいれたたらいが置いてあり、スイカが冷やしてあったという光景です。
by elm (2011-08-26 19:46)
elmさん
あぁ! 夏でやすなぁ\(◎o◎)/
井戸水、リアルタイムで体験されてやしたか!
やっぱカンナって 今より身近によくあったのかなぁ
原風景にまつわる記事、これからも ちょびちょび出してゆこーかと思いやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-27 00:01)
今でもカンナをみてぞくっとすることがあります。
真夏の暑さの中で挑発的な真っ赤なそして大きい花。
アタシはカンナが怖かったりします。
グラジオラスはギリギリセーフなんですけどね。
by 太陽の玉子 (2011-08-27 14:29)
カンナといえば私の中では松任谷由実さんの
『カンン8号線』がすぐに浮かびます。
直接花自体を見たことは多分さほどないのですが、
「カンナの花が燃えてゆれてた・・・」の歌詞が
特にこの曲を印象付けていて、
真夏の暑い日ざしの中で
真っ赤に燃えてゆれるカンナを思い出します。
ぼんぼちぼちぼちさんの作品とは逸れてしまってすみません。
by hanabi (2011-08-27 14:48)
5歳の記憶ですね。
花は赤いのに他のものはモノクロームなんでしょうね。
全体が映像的に捉えられていて
最後の
>遮断機の上がる九月まで
がかっこいいですね。
by そらへい (2011-08-27 20:26)
太陽の玉子さん
あぁ!カンナが怖いって感じ ものすごく解りやす。
で、グラジオラスがセーフってとこも(◎o◎)b
もしかして、真っ赤な鶏頭もギリギリのラインだったりでやすか?
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-27 21:21)
hanabi さん
いえいえ、今回のようなコメント大歓迎でやすよん\(◎o◎)/
やはり カンナが咲いてる様子を「燃える」と表現するかたは多いようでやすね。
まさに むし暑~くじりじりと焼けるような夏を形にしたような花でやすよね。
向日葵が爽やかに健康的なイメージなのに対して
カンナって どこか ねっとりどろりとした暗黒的なものを感じやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-27 21:39)
そらへいさん
そう、カンナの朱赤以外はモノクローム、まさにそんな感じの記憶でやす。
物理的に正確には、4歳くらいだったかもしれない。
でもやはり詩にするにあたって、四才より五才のほうがリズムに乗れてしっくりくるので こうしやした。
ラストの一行は 決まるまでちと時間がかかりやしたが
これにして やっと納得できるものとなりやした。
夏の間中とか八月いっぱいとか秋が来るまでとか
それに相当する詩的な表現は何がいいだろかと・・・。
あっしなりにでやすが、気に入ってる詩でやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-27 21:56)
最後の一行まで来て
何かが
弾かれたような気がしました。
針がコチコチと刻み往き・・・
今、高架線を往く列車の汽笛が流れてゆきました。
by sigedonn (2011-08-28 23:57)
昔、まだ国鉄だった頃、九州の小さい駅の周りの、
古い枕木利用の柵と鉄条網にカンナの花の鮮やかな色が思い出され、ふとコールタールの匂いまでして来そうな気配です。
by selybar (2011-08-29 15:58)
sigedonn さん
そんなふうに感じていただけて嬉しいかぎりでやす・ぺこりっ。
ラストの一行、どんな言葉を使って表現しようか かなり思案したんでやすが
こう決定して良かったな と思えやした。
映画に例えて進めたので 遮断機がカチンコに重ねられるかな・・・と。
物理的に正確には 個人映画でカチンコを使うことはまずないでやすけどf(◎o◎)
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-29 21:40)
selybar さん
あっ! 柵はやっぱ 古い枕木だったように思いやす、今 ばぁっと思い出したような気がしやす\(◎o◎)/
そして、あっしのこの原風景の場所、福岡の近所の踏切でやす(◎o◎)b
なんか そのあたりやコールタールの匂いまで感じていただけて
こーいう表現のしかたでよかったんだなーと 非常に嬉しいものがありやす。
独りで書きあげた段階では、「かなり抽象的な詩だから 解ってくれる人ってほとんどいないんじゃないかなー」って思ってたのでf(◎o◎)
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-29 23:32)
子どもの頃、真っ赤なかんな、不気味で嫌だったのを思い出しました。
赤と緑の色の対比、大きさ、何かこう…「お花」だと思えなかった。
田舎なので、今も夏はよく見かけるのですが、まだ好きではない^^;
ぼちぼちぼちぼちさんに題材としてとりあげられるだけの、
存在感のある不思議な花であります…。
by tomomame (2011-08-31 11:25)
tomomame さん
あぁ、やはりカンナに対して そーいったイメージでやしたか。
あっしも、カンナが特別美しい花だとは思わないんでやす。
原風景に登場する花も他に幾つもある・・・
なのに、この カンナの視覚的記憶は 物凄く強烈で
あっしの中で 一種特別な存在の花なんでやす。
やはり、あの大きさ・色彩は 幼心にべったりと塗り込められやすね(◎o◎:
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-31 20:56)