第35回第36回の演技のレッスンを受けて [リポート]
今日は、8月7日(月)第35回「お気に召すまま」、8月30日(水)第36回「マクベス」の、演技のレッスンのリポート&感想をつづらせていただきます。
先ず、8月7日(月)第35回「お気に召すまま」。
この日は、実技のレッスンが始まる前に、先生の講義がありました。
「エレメンツ」についてでした。
エレメンツとは、当時(シェイクスピアが書いていた16世紀イギリス)では、地、水、風、火、の、この四つの要素のいずれか又は混じり合いで人物が出来ており、したがって、劇の登場人物のキャラクターも、そのどれかに設定していたそうです。
そして、これらが安定した状態をテンパーと呼び、最も不安定なひっちゃかめっちゃかな状態をテンペストと呼ぶのだそうです。
講義の後、ジェークイズという 追放された臣下の長台詞の実技に入りました。
ジェークイズの言っている内容は、「しょせんは人生なんて、、、」といった厭世的、悲観的なものなので、明らかに「地」の人物となります。
長台詞の冒頭の四行は暗記してくる事が宿題となっていたので、この四行を、地の人である事を意識しながら言う様に、とのご指示が出ました。
私には、目をつむって、とっても小さな声で発する様に、との条件付きでのご指示でした。
ダメ出しされたのは、「すべて」の「す」が出過ぎている、「舞台」という語を作り過ぎている、「さまざまな役を演じる」が、意図的になっている、でした。
自分では無意識に言っていたので、ダメ出しをされて初めて「ああ、そう言っていたのか、、、」と気付かされました。
次に、オーランドーとロザリンドという 相思相愛でいながらも、それを互いに言えずにいる 若い男女の恋愛ごっこで、徐々にロザリンドの本音が出てくる、という件りをやりました。
最初に私は、ロザリンドを読みました。
先生は、「幼稚です。年齢が幼な過ぎるという意味の幼稚ではなく、演技が幼稚です。 ロザリンドはもっと落ち着いていて、したたかです。 それから、オーランドーの事を好きで仕方がないのに、その感情が出ていません」と、仰いました。
私は、自主練していた時にも、なんか薄っぺらくて「好き」の感情が出せないなあと思いつつも、そこを克服出来ずにレッスン日が来てしまったので、「やっぱり、、、」と思いました。
その次にはオーランドー役をやりました。
演技をしている人に聞こえるので、現実にそう言っている風に聞こえる様に台詞を読む様に、とダメ出しをされました。
このダメ出しは前回もされたので、「あっ!しまった!」と反省し、「演技をしていない風に読む」というのが、今の私の最大の課題だな。すぐには出来る様にはならないかも知れないけれど、いつかは絶対に出来るようになろう!!と、自分に言い聞かせました。
その後、ここは結婚相談所で、オーランドーは相談しに来た人、ロザリンドは相談所の職員、という設定でお勉強しました。
この設定の時もやはり、ロザリンド役をやった時もオーランドー役をやった時も、「好き」である感情が聞こえて来ない、とダメ出しを受けました。
言葉では、真逆や、軽〜いニュアンスでも、本心はそうではなく、深ーく好きだ、という感情を出すのは難しいな、、、と思いました。
この日のレッスンでは、先生は他にも、様々なお話しをされーーー「にせだぬきじる」と「にせたぬきじる」はどう違うのか等ーーーそういった点でも、とても収穫の多かった四時間でした。
それから、8月30日(水)第36回「マクベス」。
この日は、最初に、マクベスと共に殺人を犯したマクベス夫人が、夢遊病になってしまい、ワンセンテンスワンセンテンス、「今」と「ここにはいないマクベスへの語りかけ」が交互に来る長台詞を、お勉強しました。
私は、「マクベス夫人が、『今』と『夫への語りかけ』の所を、『今』はゆっくり、『夫への語りかけ』は早く、テンポの緩急をパッパッとつけて読むと、夢遊病者の感じが出ます」と、指摘されました。
あー!なるほど!そういうテクニックもあるのか!と、目からウロコでした。
次に、マクベス夫妻が、殺人を犯した後(マクベス夫人が夢遊病になる以前の幕)、地位の高い者達を招待して、宴会を開き、最中、マクベスが、殺したバンクォーという人物の幻影を見てしまい、宴が途中でお開きになる場をやりました。
私は先ず、マクベス役をやりました。
自主練してきた通りにやったら、先生は、「ぼんぼちさん、とてもがんばってくれたと思います。ただ、ぼんぼちさんは、宴会に集まった人達に対して声を大きくして、幻影に対して声を小さくしていたので、その逆の方がいいです」と、仰いました。
ここでも、なるほどー!その方がいいのか!と、目からウロコでしたが、めったにお褒めにならない先生に「がんばった」というお言葉をちょうだい出来て、とても嬉しかったです。
今回のテキストの予習時間は、2日とちょっとと短かかったので、レッスン日当日に体力が底をついてしまわない様に調節しながらも、今の自分自身のマックスの力を出し切れる所まで出来る様にしておきたかったので、バーーーッ!!!とエネルギーを使って、かなりきびしく自身を追い込みました。
それを先生に見抜いて頂けた様で、本当に嬉しかったです。
マクベス夫人をやった時はーーー
夫がこんな風になってしまって、うろたえて、それが増幅する、という読み方をしたら、先生は、「マクベスに対しては怒り、招待客に対しては冷静に笑顔で接する読み方で」とのダメ出しを受けました。
そしてラストの、宴客が帰り、二人だけになった時に、初めて、マクベスへの愛で包み込むーーーさながら、キリスト教画のピエタ(母子像)の如くに、と言われ、ああ、この場のマクベス夫人の台詞はそう多くはないのだけれど、こんなに読み方(心情)に変化をつけるものなのだ!と、やはりまたまた目からウロコでした。
最後に再び、最初にお勉強した、マクベス夫人の夢遊病の台詞をやりました。
一カ所一カ所「ここは早く」「ここはゆっくり」とご指示を受け、又、「血の臭いがする」「嫌な臭いは消えはしまい」を、もっともっともっと、「嫌な」感じを出す様にとのご指導の元、何度も読みました。
あと、その次に「ああ、ああ、ああ」と負の感嘆の言葉が続くのですが、後悔でいっぱいで、地獄に引きずり込まれる様な言い方で、と、ここも何度も読みましたが、難しくて、なかなかその雰囲気が出せなかったです。
次回のレッスンのテキストも「マクベス」で、次回も、今回と同じテキストが使われるようです。
次回のレッスンは、9月19日と、20日間、自主練期間があるので、今回ダメ出しを受けた箇所は、全部出来る様にしておこう! たーーーっぷり自主練しておこう!と、じっ!とカレンダーを見つめました。
次のレッスンが楽しみですね
by kazukun2626 (2023-09-04 09:23)
こんにちは。
舞台を想像しながら「岩波文庫のマクベス」を読んだ事ありますが、マクベスの幻覚・幻影を見るシーンを演技するのは大変難しと感じます。また、狂気的なマクベス夫人?悪役を演じるのも大変です。どう解釈してどう表現するか、奥が深い「マクベス」です。次回もマクベスみたいですが、自主練!!踏ん張って下さい!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2023-09-04 12:18)
こんにちは!
一生懸命打ち込めるあるのは羨ましいです!
by Take-Zee (2023-09-04 12:51)
レッスン、頑張ってるね。
ぁぁ、コバルトの季節の中では秋の歌でした。
by 英ちゃん (2023-09-04 16:27)
先生のお言葉はズバッと厳しく感じますが、
的を射ているんですね。先生もぼんぼちさんも、
レッスンに真剣に取り組んでいるのが伝わって来ます。
by フヂ (2023-09-04 17:03)
「好き」ということを演技で出すのは、本当に難しいでしょうね。
by たいちさん (2023-09-04 19:12)
頑張ってくれた
と言われた時、嬉しかったでしょうね。
それが、伝わってきますよ。
by 八犬伝 (2023-09-04 20:40)
何にもやる気が出ないような暑さの中、
心は熱く熱く燃えて頑張ってらっしゃいますね(#^^#)
実生活で人を本当に好きになったりすると
なかなか言葉には現せませんものね~~。
心の中のことを科白として口に出すのは
本当に難しそうです!
by Rchoose19 (2023-09-04 20:56)
演技って難しいのですね
自主練は自宅でするんですか
それともどこかするところがあるのかな
体を壊さないように頑張ってください
応援しています。
by kiyotan (2023-09-04 20:56)
エレメンツ、ピクサー映画みたいですね
by mau (2023-09-04 22:09)
体調管理も準備も全て繋がっていきますね。
大切にレッスンを思い受けられているのが伝わります。
そう思えたり集中できる事は素晴らしいと思いました。
by erena (2023-09-05 00:20)
すごいですね~夢中な気持ちが伝わります。
自主練、がんばってください^^
by おと (2023-09-05 04:10)
みなさん
このシリーズ、長い記事にも関わらず、読んでくださったかたがた、ありがとうございやす。
あ、読むのがめんどいかたや、こういう方面に興味がないかたは、サラッとスルーされていいんでやすよ。無理して毎回読まなければならない理由はないので。ブログって、書く方も読む方も自由なので。
へい、ぼんぼち、ほんとに頑張ってやす!頑張ることが楽しいんでやすね。
自分自身の今のマックスまで自主練できてからレッスンに向かわないと、気持ちが悪いんでやす。
今の自分のマックスを先生の前で読んで、その結果なら、どんなダメ出しを受けても、今度はそこ、頑張ろう!って思えやす。
自主練は家の中でやってやす。
立て続けに何十回も読むと、体力がすぐ消耗して集中力も低下するので、
3回くらい読んだら、ブログ訪問をしたりして、心身ともに休めて、再び自主練、、、を繰り返してやす。
あと、ただ何回も読むばかりが自主練ではなく、登場人物の置かれている状況や気持ちを考えることも自主練の一つなので、そこにも時間を取るようにしてやす。
マクベスの戯曲、今回のレッスン日までに、いつもの古本屋で手にはいらなかったんでやすね。
シノプシスだけを調べて、レッスンに臨んだ。
で、先生に、「マクベス夫人が『しみ』と言ってるのは、何のしみでしょう、ぼんぼちさん」と指名された時に、「椅子についた血のしみ、、、あれ?えっと、、、じゅうたんについた血のしみ?」とか、トンチンカンなことを言ってしまいやした。
正解は、自分の手についた殺した王の血のしみの幻視。
なので、次回までは、戯曲全編をしっかり把握しておこうと、図書館に行って借りて読んでやす。
全編読むと、この作品、いかに素晴らしいかが、改めて解りやすね。
何を演じても難しいなあと感じるんでやすが、「好き」の感情を、ストレートな言葉を使わないで表現するのって、ほんとに難しいなあと、思いやしたね。まだ、あっしには出来やせん。
現実の世界では、何にも言わなくても、なんとなあく、「ああ、この人と私は相思相愛だな」とか、傍で見ていても、「この人はあの人のことが好きなんだな。」とか、「あいつら、口をではあんな事言ってるけど、お互い好き合ってるな」って、解っちゃうものでやすよね。
そういうのって、子供の年齢でも解りやすよね。
本能的に解るのかな?
だけど、演技でそれをやるとなると、なんて難しいんだろう、、、って。
この課題は、いつかぼんぼちにも出来る日があるのだろうか???って感じでやす。
先生は、とても厳しいんでやすが、あっしも厳しく教えていただく事を望んでいるし、先生はあっしをよく見抜かれていると思うし、演技に対するお考えも、納得できやす。
だから、これからも、今の先生に、お習いし続けたいと思ってやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-09-05 09:09)
セリフを言う役者たちの演技の深さは
こうしていろいろ指摘されるのを読むと
大変なのが良く分かります。
改めて映画や舞台を見る時に心して
聞かないといけないと思いました。
ぼんぼちぼちさんは素敵な時間を過ごされて
いるのですよね。
もちろんご苦労も多いけど・・・
by yoko-minato (2023-09-05 11:28)
「お気に召すまま」「マクベス」とどちらも良く知られる著作ながら。
シェイクスピアの眠る寺院、所縁の土地は巡ってきたものの、そのような内容はどのガイドブック、現地ガイドさんの口からも聞いていませんでした。
by hana2023 (2023-09-05 12:21)
読ませて頂いて頭がヒッチャカメッチャカになりました
凄いですね~シェークスピア劇の奥深さを改めて感じました
台詞を覚えるだけでも大変なのにそれぞれに違う感情を入れるなんて
普通の人間からみるとマジックです
by ムサシママ (2023-09-05 15:52)
マクベス・・・有名ですが読んだことないです。
有名だけど読んだことのない作品が多いですね。
観たい映画もたくさんあるし、なかなか手が出ないです(^_^;)
by werewolf (2023-09-05 21:29)
「めったにお褒めにならない先生に.....お言葉をちょうだい出来て、とても嬉しかったです....」
おめでとうございます....
「次回のレッスンは、9月19日と、20日間、自主練期間があるの....」
割りかし、すぐですね....頑張ってください.....
by サンフランシスコ人 (2023-09-06 01:27)
みなさん
温かいお言葉を、ありがとうございやす。
20日あるうち、前半は、観たい映画を何度も観に行ったり、ブログ記事を書いたり、ブログ仲間と逢ったり、かかりつけの病院に行ったりと、用事が多いので、自主練は、朝、感情を入れない読み方で3回くらいしか出来ないんでやすが、残りの10日は、全エネルギー注いで、頑張って自主練して、また、その時点での自分のマックスまで出来るようにしておきたいと考えてやす。
この2回のレッスンで、暗記を課せられたのは、「お気に召すまま」のジェークイズの4行だけだったので、あっしにも覚えられやした。
いつも、そんなに膨大な量の暗記は、宿題に出されやせん。
丸々1ページとか、そんな膨大な量の暗記だったら、ぼんぼちは、レッスン諦めてやす。
でも、実際に舞台に立つ役者さんって、3時間くらいの長さの芝居の台詞を全部覚えるんでやすよね。
それこそ人間技じゃない!と思ってやす。
あっしはアマチュアなので、ただただすごいなあと、尊敬するばかりでやす。
シェイクスピア作品は、題名だけは有名で誰もが知っているけれど、話しの内容までは知らない、という場合が多いでやすよね。
今回の2作品も、あっしはそれまで、題名しか知らなかったでやす。
で、今回、マクベスを全編読んでみて、全体の流れが掴めやしたし、
マクベスって人物は、自分の地位のために悪行の限りを尽くすんでやすが、
人となりとしては、心の底からの悪人で強靭な人物ではないんでやすね。
迷ったり、気弱になったりする。
それを、魔女達の予言や幻影や夫人のそそのかしによって、極悪非道のマクベスが出来上がる。
なんか、そういうところが、すごくリアルな人間を描いていて、やっぱりシェイクスピアって天才だな!と思いやしたね。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-09-06 08:17)
難しいところを指導されているのですね
そんなに細かな演技が私にできるだろうか?
わざとらしくではなく感情は込めてセリフを言うのって、プロでも難しい内容だなぁと思います
by よいこ (2023-09-06 09:00)
テンペスト・・・シェークスピアの戯曲にも、こんなタイトルのがありましたよね。単に「嵐」という意味だけでなく、エレメンツの不安定さも暗に示してたのかしら。
by Inatimy (2023-09-06 21:52)
私も先生にだめだしされた時は
ちょっと悔しい気持ちと次は絶対克服するぞって思い、
ほめられた時は
先生、練習してきたことわかってるんだ、
よーし、この調子でがんばるぞって思ったりしました(笑)
充実したレッスンを重ねられてるご様子、今後もがんばって下さい^^
by めりー (2023-09-07 00:29)
登場人物をエレメンツに分けて設定するなんて、わかりやすい上奥が深い。
先生のおっしゃることはいちいちごもっともですが、やはり手厳しいですね。
若い男女の恋愛ごっこなんて、この歳で再現できませんよ(笑)。
そんな厳しいレッスンに挑むなんて、尊敬に値します。
by JUNJUN (2023-09-07 01:55)
よいこさん
この先生の授業は、とてもレベルが高いでやす。
あっしは、こういう場を望んでやした。
「演技をしている様に聞こえてはダメ、現実にしゃべっているように」
あっしは、こういう方向性の演技が好きなので、納得して頑張ってやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-09-07 07:37)
inatimyさん
テンペストは、まだレッスンのテキストになったことはないので、はっきりとは言い切れないのでやすが、何重もの意味を込めたり、暗喩を使うシェイクスピアのことだから、そういう意味も含まれているのではないか、と思いやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-09-07 07:41)
めりーさん
めりーさんも、あっしと同じタイプでいらっしゃるのでやすね!
一つ一つダメ出しを克服してゆくことは、とても大切な事なので、
全部メモして、それを見ながら復習して、次のテキストがきたら(告知されたら)予習してやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-09-07 07:47)
JUNJUNさん
人物像をエレメンツに分けて考えて演じる、、、ここも、なるほど〜!と思いやしたね。
恋愛ごっこは、ほんとに難しくて、今のあっしにはまだ出来やせん。
言葉では一言も言わないのに、好きの感情を出す、、、
現実世界では、殆んどの人がすぐ見抜けちゃう事なのに、なんて難しいんだろう、どういう台詞の発し方をすればそう聞こえるんだろう、とあれこれ考えてやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-09-07 07:55)
「真逆』「軽〜い」「深ーく」、そして「にせだぬきじる」と「にせたぬきじる」の違いなんて面白そう(^_^)v
by yokomi (2023-09-09 09:59)
yokomiさん
今の先生は、講義もとても為になる興味深いことをお話ししてくださいやす。
ちなみに、にせだぬきじる は、たぬきがニセモノ、
にせたぬきじる は、たぬきじるがニセモノでやす。
これはぼんぼちが当てやしたよ!
by ぼんぼちぼちぼち (2023-09-09 10:07)
どんどん細部に渡っていきますね。
指摘されるばかりではなく、
ほめられるとモチベーションもアップしますね。
by そらへい (2023-09-10 19:37)