第34回の演技のレッスンを受けて [リポート]

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今日は、7月20日(木)に行なわれた34回目の演技のレッスン、「お気に召すまま」の、リポート&感想を、つづらせていただきたいと思います。

先ず、ジェークイズという 前公爵の廷臣の、一頁の長台詞を、「感情抜きで、目読するとしたら、こういう声が、頭の中に浮かび上がるであろう」という読み方をやりました。
私は一番最初に、「では、ぼんぼちさんから」と指名され、結果、「滑舌の弱さはあるけれど、そういう読み方だよね」と肯定され、ホッとしました。

次に、ロザリンドとオーランドーという 相思相愛であるものの、事情があって、ロザリンドが男のなりをしていて、オーランドーはそれに気づかず(気づいていて気づかぬふりをして、ロザリンドの話しかけに乗る、という解釈もあるそうですが)ロザリンドが仕掛けた恋愛ごっこに興ずる、という件りをお勉強しました。

私は初めに、ロザリンド役をやりました。
主にダメ出しをされたのはーーー
ロザリンドは、自分からこの恋愛ごっこを仕掛け、つねに先頭きって話しを進めてゆくのだから、もっとぐいぐいゆかなければ!という事、
そして、恋し合う若者にありがちな、相手を翻弄して遊ぶ様子や、センテンスセンテンスでどんどん言い方(気持ち)を変えてゆかないと!ーーーという事でした。
先生に、一つ一つそれがどこかを指摘され、初めて「あぁ!ここは、そんなにも深い意味で言っていたのか!」と気づかされ、まだまだ自分の読み込みが浅かったのを反省しました。
先生に、「こういう事は、役者が自分で気づけないとダメよ!」と、これまでの回よりグーンと高いレベルを要求され、難しいけれど、次回からは、自分でそこまで気づけるよう目指そう!と、拳を固くしました。

それから、オーランドー役をやりました。
一つの台詞でも、何種類もの言い方(気持ち)を、「今度は、、、」と、求められました。
その中で、「この私なのだ、その恋の熱病にとりつかれている男というのは。どうかきみの治療法を教えていただきたい。」という台詞を、一度目は、熱くストレートにワアッと言ったら、では今度は、抑えた言い方でとのご指示が出たので、弱々しく頼る様に発したら、「そうじゃない!熱く湧き上がるものを、抑えて抑えて言うの! ぼんぼちさんのは、単に弱くなってるだけ。(先生は、ご自身の片手をグーにしてグーッと出し、もう片手でそれを抑え込むアクションで説明してくださり)この強さを抑え込む言い方しなくちゃ!」
私は、そういう言い方は発想がなかったので、「なるほどー!そういう台詞の言い方もあるのだな!」と、目からウロコだったのと同時にーーー、そういえば、映画「蒲田行進曲」のクライマックスシーンで、風間杜夫さんはこのテクニックを使ってらしたな!と、ハッとしました。

その後、先生は、「ドラマティック・アイロニー」とは何かについて、レッスン生一同に、お話しをされました。
ドラマティック・アイロニーというのは、「登場人物より観客のほうが、劇の仕組みをよく解っている事」を指すのだそうです。
今回お勉強した ロザリンドとオーランドーの件りはまさにそれで、「オイオイ、なんでそこ、気がつかないんだよ!」と、観客を笑わせられなくてはいけない。 だから、役者にとっては、大変難しく、高い力量が求められるーーーと。
日本人にとって非常に解りやすい例えをするなら、ドリフのコントの、「志村!後ろ後ろ!」という、あれです。

今回のレッスンも、とってもお勉強になりました。
次回のテキストも「お気に召すまま」なので、今回ダメ出しされた所は全て出来ているように、又、違う風にやって!とご指示が来た時も、瞬時に求められた事が出来るように、様々なパターンを自主練しておこう!と思いました。

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さてーーー
私は、演技のレッスンが終わると、必ず、帰りがけに、10年来行きつけにしている 高円寺の音楽カフェで、飲みながら 空いたお腹を満たすのですが、この日は偶然、飲み仲間である W大で在学中、そしてご卒業後も米文学を研究していらっしゃる男性が、カウンターにおられました。
私が、「今日は演技のレッスンの日だったんです。シェイクスピア勉強してるんですーーー」という声がけをきっかけに、彼は、「僕は、シェイクスピアは専門じゃなくて詳しくはないんですけど、、、」と謙虚につぶやかれながらも、16世紀エリザベス調時代に、現代にも全く通ずる人間の本質が描けているシェイクスピアの天才性や、訳者である小田島雄志さんの名訳の素晴らしさや、彼の在学中に(もしかしたら、今もいらっしゃるかも?と話されてましたが)F先生という シェイクスピアがご専門の女教授がいらして、その先生のゼミは大人気だった事や、小田島雄志さんの息子さんも、シェイクスピアがご専門ではないけれど、彼の在学中にW大で先生をやられていて、酔うとハムレットの真似をされるという噂が、W大生の間にはあったりしたというお話しや、私が、今回のテキストを見せると、興味深げに全て読んでくださり、「やっぱり面白いですねぇ!部分だけを読んでも、これだけ面白いって、すごいですよね! こういうのって、ドラマティック・アイロニーっていうんですよね。」と、昼間、先生がお話ししてくださったのと同じ説明をされました。
なんだか、今日の音楽カフェでのひとときは、いつもの与太話とは違って、二時限目の授業を受けている様に、有意義なものでした。

西荻窪への帰路は暑さも和らぎ、ほおを撫でる風が、とってもとっても心地良かったです。

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八犬伝

へええ~、夜までも
有意義な一日でしたね。
by 八犬伝 (2023-08-05 10:34) 

drumusuko

「お気に召すまま」の台詞もやはり難しそうですね~。私は良く知らない事もありますが、言葉も感情もその表現は奥深い物があると思いました。高円寺のカフェでの出会いも、色々なお話を聞けて、良かったでしたね~(^^♪。
by drumusuko (2023-08-05 10:59) 

Boss365

こんにちは。
「34回目の演技のレッスン」お疲れ様でした。ロザリンドとオーランドーの役・台詞回しの指摘・注文?大変そうです。小生なら頭の中がグルグル?パニクリそうですが、「お勉強になりました。」の文字あり、大変有意義で何よりです。また「様々なパターンを自主練」素晴らしい気概です。シェイクスピアに詳しくないですが、読んでます。今の小説・ドラマ・映画を観ると「シェイクスピアが原点になっているモノが多い」と感じる事が多々ありました!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2023-08-05 14:07) 

フヂ

毎回実りあるレッスン、すばらしいです。
ドリフのコントのたとえ、とても
わかりやすいです。なるほどと思いました。
しかも今回は、2時限目も!こういう日は、
気持ちの良い疲れに浸れそうですね。
by フヂ (2023-08-05 17:02) 

そらへい

深まりますねぇ
今日アップした字ブログの歌、シェイクスピアのソネット
小田島雄志さんの邦訳で、素敵な詩だと思いました。
by そらへい (2023-08-05 17:08) 

JUNKO

がんばりますね。打ち込めるものがあるのは素晴らしいことです。
by JUNKO (2023-08-05 19:36) 

ファルコ84

シェイクスピアは、私には縁遠いですが ・・・
いい勉強になっていますよね!
達成感があって素晴らしいです。
by ファルコ84 (2023-08-05 19:56) 

りみこ

とても良い時間でしたね
良かったですねぇ
by りみこ (2023-08-05 20:36) 

kiyotan

わー お勉強の続きでまたそれに関連するお楽しみが
あったなんて・・神の思し召しみたいで素敵
良い夜でしたね 
by kiyotan (2023-08-05 21:12) 

HOLDON

楽しみながら勉強になるレッスンって本当に羨ましいです。
でも読ませて頂いているとレベルが高いです。
特に色んな役を受けてみる・・・
音楽にもありますがメロディとハーモニー、これをしっかりと知るにはどちらもしっかりと演奏出来てこそ。
今回もレベルの高さを知りました。
by HOLDON (2023-08-05 21:44) 

わたし

暑い中、それでもやりたい事のために出かけられるって素晴らしいですね、2時限目の授業も楽しそうです
by わたし (2023-08-05 22:39) 

hana2023

「恋するシェイクスピア」と言う映画の中に、エリザベス一世が登場するのも納得の内容です。
by hana2023 (2023-08-05 23:38) 

mau

複数の専門家の指摘は本当に勉強になりますよね。
アプローチはそれぞれ違うけど、本質的なところは外さないし
by mau (2023-08-06 00:18) 

Ja-Kou66

いつも演技していた場で、感情抜きで読み上げるというのは斬新です。
教え手は、ものごとをいろいろな方向から見ることができ
しかもそれを他人に伝えることができるので、すごいなと思います。
そして、共通の趣味について深く話せる知人がいるのはいいですね。
by Ja-Kou66 (2023-08-06 00:53) 

ぼんぼちぼちぼち

みなさん

今回もレッスンの記事、長かったにも関わらず読んでくださったかたがた、ありがとうございやす。
そしてコメントくださったかたがた、さらにありがとうございやす。

へい、楽しみながらお勉強、好きなことをお習い出来る、ってなんて幸せなことなんだろう!と、毎回、充実感でいっぱいでやす。
今まで出来なかったことが、少しづつ少しづつ出来るようになる、
今まで知らなかったことを、先生の説明で知ることができる、
独学で演技論の本を読んでいただけでは、出来なかった、解らなかったことだらけでやす。

まず、感情抜きで読んでみるのは、基礎なので、とても大事なことなんでやす。
でもこれをやること、あっしは今の先生にお習いするまで知りやせんでやした。
感情抜きで読むことによって、台詞の構造が解り、アクセントの確認や、滑舌が正しいかの訓練になりやす。
絵画でいうと、デッサンそのものでやす。
あっしはここのレッスンの場に来て、初めて、感情抜きの読み方というのがあることを知り、なるほどー!と、その理由と意義に納得しやした。

現代の劇構造の原型って、シェイクスピアにあったんだなあと、気付かされること多々でやすね。
悲劇にしろ喜劇にしろ、ラストの〆め方とか、
ドリフのコントの原型も、「志村、後ろ後ろ!」に限らず、
「夏の夜の夢」では、数人のバカな町の職人が出て来て、その中でも目立ちたくてしようがない奴が一人いて、そいつが引っ掻き回してめちゃくちゃにしてしまう、つまり、志村と他のメンバーとの関係性の原型とか。

あと、あっしは、言葉を書くことに関しては、ブログを始める以前からやってきて、悲劇より喜劇のほうが、ずっと書くのが難しい、笑かせるのは、ほんとに高レベル、って実感してたんでやすが、
演じる側にとっても、全く同じことが言えるんだなあと、今、身を持って感じてやす。
元々面白いホンを、読むより遥かに面白く演じるって、なんて難しいんだろう、って。

シェイクスピアのソネットも、小田島雄志さんが訳されているのは知ってやしたが、それが歌になっているとは、そらへいさんの記事を拝読し、初めて知りやした。
シェイクスピアも天才なら、小田島雄志さんも天才でやすよね!
シェイクスピアは、韻を踏んだり、駄洒落や言葉遊びやリズミカルな台詞が多いわけでやすが、それを見事に日本語にされている。
あっしは英語は全く解らないので、比較して読むことは出来ないのでやすが、
日本語に訳されたものがこれだけ面白いって、すごいな、と。

行きつけの音楽カフェでの米文学を研究されてるかたのお話しも、ほんとに有意義でやした。
いつもはなんてことない世間話しかしてなかったんでやすが、シェイクスピアは専門じゃなくて詳しくないと仰りながらも、深ーーーいお話しをしてくださいやした。
やっぱり研究者って、すごいんだなあと、そのかたを見直してしまいやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-08-06 08:13) 

横 濱男

勉強になりました・・・最近無くなったなぁ~!!
刺激があって良いですね。
by 横 濱男 (2023-08-06 11:28) 

yokomi

「蒲田行進曲」を思い出すとは流石ぁ(^_^)v
ドラマティック・アイロニーって面白いですね。でも役者さんって大変だなぁ...と思うのです。厳しいなぁ(>_<)
我が従兄弟の子が中野辺りに住んで売れない役者をやっていますが、そろそろ引導を渡してやりたいです(>_<)
by yokomi (2023-08-06 14:03) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

演技、奥が深いですね

なるほどなと思いながらも、そもそもそちらの才能のない私などには、やれと言われても絶対できないな思いながら読まさせていただきました。

先生もなかなかの人。

また機会があればレッスンのお話、聞かせてください。


by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2023-08-06 20:12) 

Rchoose19

やりたかったことを、やり始めて、
自分が納得できる方向へ導いてくれる人と出会って、
それを自分で消化して次に進んでいくって
出来そうでいて、なかなかできないことだと思います。
難しい宿題も一段階段を昇れるんだぁと思えば
楽しく挑戦できますよねぇ~~~(#^^#)
by Rchoose19 (2023-08-06 21:11) 

ぼんぼちぼちぼち

横 濱男さん

へい、とってもいい刺激になってやす!
レッスンの何日か前から、自主練に集中するのでやすが、
あっしなりのその努力を先生の前で披露した時、そしてレッスンが終わって飲む開放感、たまりやせん!
by ぼんぼちぼちぼち (2023-08-07 07:22) 

ぼんぼちぼちぼち

yokomiさん

喜劇を演じられる役者さん、芸人さんを、今回、改めて尊敬し直しやした。
笑かすって、ほんとに難しいでやす。
中野は、役者さんや芸人さんを目指している人が多く住んでやすね。
都心に近いわりに家賃が安くて、住みやすいようでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-08-07 07:28) 

ぼんぼちぼちぼち

老年さん

仰るように、演技って、ほんとに奥が深くて、勉強のしがいがありやす。
あっしにとっては、ホンを書くことより、ずっとハードルが高いでやす。
一連のレッスンの模様は、毎月初めに、こうして公開させていただいてやす。あっし自身の健忘録も兼ねて。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-08-07 07:32) 

ぼんぼちぼちぼち

アルチューズさん

へい、仰る通りでやす。
ほんの少しづつでも、今まで見えなかったことが見え、出来なかったことが出来るようになってゆくのが、とても楽しく充実感がありやす。
長年願い続けていた「納得のできる先生にお習いする」という夢がようやっと叶ったので、努力すること自体も楽しいでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-08-07 07:37) 

青い森のヨッチン

白熱のレッスンですね!
灰皿も飛んでくるのも時間の問題?
声優さんも音響監督さんからこうした高いレベルの演技を要求されるそうです。
by 青い森のヨッチン (2023-08-07 10:51) 

naonao

今までよりも先生からレベルの高さを
要求され難しいですが、演技の向上心と
やり甲斐もありますね(≧∇≦)b
by naonao (2023-08-07 20:52) 

ぼんぼちぼちぼち

青い森のヨッチンさん

しばしば先生は、ダメ出ししても出来なかった時「灰皿飛ばすぞ!」と、半分ジョークでおっしゃいやす。笑
でもまじ、そのくらい真剣勝負のレッスンでやす。
何故なら、プロやプロを目指す人をより向上させて、いい仕事につなげてゆかせよう、というレッスンなので。
アマチュアで趣味でやりたい、というのは、あっし一人なんでやす。
でもあっしは、このくらい厳しいレッスンの場で、本格的にお勉強するのが夢だったので、本望でやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-08-08 07:59) 

ぼんぼちぼちぼち

naonaoさん

そうなんでやすよ。
今の先生は、このレベルが出来た、となると、しばらくそこに留めることなくすぐに次の上のレベルを要求される。
レッスン時間中は必死でやす。
そして、後日、それがきちっと出来るようになるまで復習しやす。
でも、たまにまた同じことを注意されてしまうことがあって、しまった!と思いやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2023-08-08 08:06) 

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