シナリオを読みながら---「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」  [感想文]

勇者ヨシヒコと魔王の城.jpg

お気に入りの映像作品のシナリオを読むのは至福である。
じっくり黙読しながら 役者さんの台詞や間や動きを脳裏によみがえらせてみたり、自分でも声に出して発してみたり、本編DVDと照らし合わせながらパラリパラリとやってみたり・・・・
作家の全集や月刊シナリオに収められているものは、大抵 完成台本ではなく決定稿なので、現場で変更された箇所が詳らかに判り そこがまた興味をそそられる大きな要因でもある。
殊に、十年ほど前に 安部公房全集からコピーをとったシナリオを自分で小冊子に綴じた「他人の顔」と「砂の女」は、頁が反りかえるほど繰り返しパラパラやっている。

と、昨年暮れ、私の最も好きな役者さん・山田孝之さんの公式サイトを覗いていたところ、山田さん主演のテレビドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの二作のシナリオが発売されていることを知り、早々に購入した。
シリーズ第一章の「勇者ヨシヒコと魔王の城」本編は 既に勘定不可能なくらい反芻しているが、第二章となる「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」のほうは未だ観ていないので、シナリオを先に読む運びとなった。
----思い返してみると、舞台作品に関しては、三島由紀夫の近代能楽集であるとか ベケット諸作品であるとか、戯曲を先に読み後で公演を・・・といった順序は幾らもあったが、映像作品で先にシナリオは初めてである。

「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」、毎夜、読みすすむ内 つい時を忘れ、ふと顔を上げれば もはや就寝時間・・・というほどに引き込まれてしまっている。
「魔王の城」同様、山田さんをはじめとする役者さんがたの芝居の観どころ・聴きどころがぎゅぎゅっと詰め込まれているのが如実に判り、また、本書中の解説にもあるように 前作よりストーリーに展開・うねりが見られ、未だ観ぬ映像に思いを馳せては胸を高鳴らせている。
今回は、何度も何度もシナリオを読んで、それから、本編DVDをプレイスタートしようと考えている。
とりどりの牡丹の花弁が溢れるように開くのを待つのと同じくらいに 期待高まる春さなかである。

勇者ヨシヒコと悪霊の鍵.jpg


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コメント 24

そらへい

戯曲を読んだことはありますが
脚本とかシナリオはあまり読んだことがないような気がします。
実際に演じられたものと比べると
面白いのでしょうね。
by そらへい (2013-03-23 17:14) 

rantan-nya

わたしの友達がシナリオの勉強をしているのですが、まぁ短い科白の中に
いろいろと思いや情景やギッシリと詰め込んで凄いなぁと思います
シナリオというのは演じられてナンボのものかと思うのですけど、
書き手と演者の解釈の違いなどで、さらに良いものになっていくのでしょうか?
やっぱり演者によって、良くなったり悪くなったりもするのでしょうね~ 難しい!

by rantan-nya (2013-03-23 18:54) 

ぼんぼちぼちぼち

そらへいさん

戯曲は、演じられることのみならず 読み物としても書かれている文学の一ジャンルである というのはありやすね。
そこが、戯曲は読んだことがあってもシナリオはない というかたが多い結果を生んでいるのかも知れやせん。
あっしは---極めて個人的な見解でやすが、もっとシナリオも読み物として浸透してよいのではないか・・・と思ってやす。

演じられたものと比べるのも まだ観ぬ本編を想像しながら読むのも 面白いでやすね~o(◎o◎)o
「勇者ヨシヒコ」シリーズ、シナリオが発売されるとは予想だにしていなかったので
もぅ、飛び付くように買っちまいやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-23 20:33) 

ぼんぼちぼちぼち

rantan-nya さん

やはり演者さんによって 良くも悪くもなりやすよね。

素人のあっしがこういうことを言うのは非常に生意気なんでやすが
テレビドラマの中には、演出家からして脚本を理解できてないケースを時々見やす。
また、役者さんが やっと台詞入ったぎりぎりの段階で 掛かるべき言葉が掛かってなかったりと 解釈云々まで辿り着けてなかったり
あるいは、連続物で 回によって演出家が違うために つけかた・解釈が違っていたり・・・
様々な事情というのがあるのは解りやすが、観ていてすごくストレス溜まりやす。

あっしはそういうテレビドラマは二度と観たいと思わないんでやすが
このドラマは、きちんと創られていて 「作品」としての完成度が高いので
何百回でも観たいでやす(◎o◎)b

by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-23 20:59) 

さといも野郎

シナリオからのイメージは、時に実際の映像よりも深く、強い印象の場合がありますね。
自分の主観も多少入ってくることで、さらに記憶と感動が強められるといいましょうか。素敵な体験だと思います(^^

by さといも野郎 (2013-03-24 00:02) 

k_iga

私も書籍化されてるシナリオを読んだり、神保町やヤフオクで
好きなドラマのシナリオを購入します。

by k_iga (2013-03-24 00:12) 

cafelamama

もう何年も、シナリオを読んでいないなぁ。
僕は映画を観る前にシナリオを読むことが多かった。
その脚本から映像的なイメージをふくらませ、
その後、完成された映画を観るというパターンです。
だから、シナリオを読むことは、
自分なりに演出プランを立てることになるので、
なかなか骨が折れる作業でした。
自分はこう考えたけど、映画ではこうなっているのか、というように
監督が実際に映像化した作品と自分がイメージした映像の違いを
確認するのが面白かったですね。

by cafelamama (2013-03-24 08:09) 

ぼんぼちぼちぼち

さといも野郎さん

そう、本編と照らし合わせながらシナリオを読むと、より一層ぐぐっと深く作品世界に入りこめやすね。
書かれている台詞を目で追いながら発せられている台詞を聞くと
改めて役者さんの偉大さを実感しやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-24 14:48) 

ぼんぼちぼちぼち

k_iga さん

おぉ、そうでやしたか!
神保町の矢口書店は必須でやすよね(◎o◎)b
ヤフオクは、どうもあっしは不安で利用したことがないんだなぁ・・・
そんなに不安に思わなくていいのかな・・・
by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-24 14:57) 

ぼんぼちぼちぼち

cafelamama さん

そうでやしたか。
先にシナリオを読むと、カット割りや間など あれこれ想像しちゃいやすね。
今回挙げた「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」は、「魔王の城」で既に どういったマチエールで創られているかや主要な登場人物は解っているので
かなり具体的に想像することができやしたが
まるで初めてこれから観ようという単発の映画作品だと
自分の思い描いたのと大きく違うこともあるでやしょうね。
良く裏切られるのは それもまた愉し でやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-24 15:14) 

Sizuku

私も気になること・好きなこととなると、時間を忘れて夢中になるところがあるので
シナリオを読みながら映像と照らし合わせる瞬間に想いを馳せていらっしゃる
ぼんぼちさんのお気持に共感しています^^
頭の中に描いたイメージとの違いや合致を確認する時が楽しみですね(^^)
by Sizuku (2013-03-24 23:59) 

orange

安部公房…「砂の女」。
学生時代の記憶が甦ります。
by orange (2013-03-25 01:40) 

ぼんぼちぼちぼち

Sizuku さん

共感していただけて嬉しいでやす・ぺこりっ
「魔王の城」のほうは、のんびりかまえてて観るのが随分遅くなってしまったのでやすが
今度の「悪霊の鍵」のDVDは、シナリオ読んだら 早く観たくていてもたってもいられずに
発売早々に購入しやした。
明日あたりから観始めよう と思ってやす。
頭の中に描いたのとの合致や違いを確認するの 愉しみでやす~o(◎o◎)o

by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-25 11:47) 

ぼんぼちぼちぼち

orange さん

「砂の女」 名作でやすよね。
「他人の顔」のほうは、原作の小説とシナリオはまったく違う切り口で以って展開する(原作のほうは置手紙という設定でやすね)のに対して
「砂の女」は 原作をほぼそのままシナリオに立ちあげた感じでやすね。
どちらも原作者である安部公房先生によるシナリオだからこそ成功した というのは大きいと思いやすね。

by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-25 11:57) 

エコピーマン

想像力を頭いっぱいに膨らませて シナリオを読む
楽しいでしょうね DVDではどう構成・表現・編集してあるか
作品をこういう角度から観ることは おもしろいでしょうね...(´ー`)b

シナリオなんて 見たこともないですね
原作を 読んで映画を観ると 本が良かったな~って
思うことが 多いですね私は・・・
by エコピーマン (2013-03-25 19:34) 

ackylacky

検索して第1話だけ見ました。
ロールプレーイングゲームのような物語ですね。
良く解らないのですが、役者さんがテレビや映画というよりも、劇団の人たちのような感じがしました。
テレビのシナリオなどは読んだ事ないですね。戯曲までです。
by ackylacky (2013-03-25 20:36) 

ぼんぼちぼちぼち

エコピーマン さん

作品によっては、台詞が変わったりしているのみならず、
シーンが前後していたり まるまるワンシーン切られていたり、逆にシナリオには無かったシーンが入っていたり・・・
元のシナリオ通りに仕上げてたのとどう違う効果が生まれているのかを考えるのも すごく面白いでやす(◎o◎)b

そう、習慣的に映画やテレビドラマを観るかたは少なくなくても
シナリオを読む習慣のあるかたは そう多くないかもでやすね。
あっしは個人的には、このヨシヒコシリーズのような形で いろんな劇映画・テレビドラマの単独シナリオを発売してほしいなぁと思いやす。

by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-25 21:51) 

ぼんぼちぼちぼち

ackylacky さん

>ロールプレーイングゲーム・・・・
あっしは恥ずかしながら そのゲームのほうはまるで知らないのでやすが
そうみたいでやすね。
主要な登場人物の衣裳も ゲーム通りなのだそうでやすね。
あっしはてっきり、山田さんの衣裳、あまりに似合っておられたので
何の前情報もなく衣裳を見た時点では、山田さんが着用するためにデザインされたものだと思ってやした。

端役の役者さん達は、監督・脚本の福田雄一さんが率いておられる劇団のかた達のようでやす。
あと、この作品そのものが、舞台の芝居っぽいマチエールで創られている というのもありやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-25 22:08) 

jewel

勇者ヨシヒコはドラクエのパクリが
超面白くて、ダンナと毎回楽しみに
観てました^^  映画化されるみたいで
それもまた楽しみです~♪
山田くんも好き!

by jewel (2013-03-25 22:45) 

ぼんぼちぼちぼち

jewel さん

テレビでリアルタイムでご覧になってたのでやすね!
あっしは「悪霊の鍵」のほうは これからDVDで観るので めちゃくちゃ愉しみでやす~o(◎o◎)o
「悪霊の鍵」がテレビ放映されていたらしい期間に、街のあちこちで---カフェとか電車の中とか---「勇者ヨシヒコ面白いよねー」って話が聞こえてくるのに三度くらい遭遇しやした。
なので、世間的にも ものすごい人気なんだなあと思いやした。

山田さんお好きでやすか!
あっしはヨシヒコで、ますます山田さんの熱烈なファンになりやしたo(◎o◎)o
by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-26 09:54) 

tetsu

http://music-1000.blog.so-net.ne.jp/

からこちらへ来ました。初めまして。

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の画像ですが、フルートケースのキーでしょうか。不躾な質問で失礼しました。
by tetsu (2013-04-02 23:44) 

ぼんぼちぼちぼち

tetsu さん

初めやして(◎o◎)/

画像のキーは、今回の記事のために アクセサリーパーツの店で求めたものでやす。
恥ずかしながら、あっしはフルートについてはまるで無知なのでやすが
子供の頃バイオリンを習っていたので、バイオリンケースの鍵にも似ているなぁ と気付きやした(◎o◎)b
このキーのデザインをされた人は、楽器のキーのイメージがあったのかも知れないなぁ と思いやした。

by ぼんぼちぼちぼち (2013-04-03 11:04) 

まろり〜な

ヨシヒコ!大好きで全部見ましたよ。
とにかくあのバカさ加減が素晴らしい・・・!!
凹んだ時に見るとなぜかむちゃくちゃ勇気をもらえる作品でした♥
特に山田君の演技が素晴らしいですね。
by まろり〜な (2013-04-05 22:07) 

ぼんぼちぼちぼち

まろり〜なさん

おぉ! 全部観られたのでやすね!
あっしは、今回の「悪霊の鍵」、1ディスクを二度づつ観進んで
今、2ディスクの二度めの途中でやす。
そう、山田さんの演技、後ろに白い子供の幽霊がいて表向きは強がってるんだけどじょじょに涙ぐんでしまうとこなど
やっぱ流石だなぁ と思いやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-04-06 10:20) 

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