我が街・西荻窪の素敵な風習 [独り言]

私は西荻窪に住み始めて、二十一年になる。
生まれて初めて自らの意思で住み始めた街で、又、住んでみてから「ああ!こんなにも素敵な街だったのか!」と感嘆した事が幾つもある。

その中で殊に魅力に感じたのは、自宅で使っていた 食器や家具や、庭で採れた花やハーブを「よろしかったら ご自由にお持ちください」の札を立て、玄関前に置いてある家がそこいらじゅうに在る、という事である。
越して来てニ、三ヶ月目、最初の二軒くらいそれを見た時点では、「ずいぶん良心的な人がいるものだな」と微笑んだだけだったが、年月を重ねる毎に、それをやっているお宅が、あっちにもこっちにも在る事に 嬉しく驚いた。

この様な風習が、何故 根付いているかというと、西荻窪という街は、関東大震災の折に焼け出された下町の人達がごっそりと移り住んで、街の骨格が形成された街だから、に他ならないと察する。
下町ではないが、下町の人情・思いやりの精神が、被災者に運ばれて移り、根付き、連綿と受け継がれているのである。
私がそれ以前に長年住んでいた国立は、新興住宅街だったから、この様な家は、まず一軒も見なかった。

私はしばしば、自分の好みに合うグラスや皿などがあると、ありがたく、一つ二つ頂戴して来る。
昨年の冬至の日には、庭で採れた柚子を段ボール箱いっぱいに入れて、段ボールの札に「柚子湯にどうぞ!ご自由にお取り下さい!」というお宅があった。
私は一個いただき、鞄の中からペンを取り出し、段ボールの札の端に、「1コいただきました。ありがとうございます。」と書き残して来た。

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