純喫茶から早々に消えていったフルーツポンチ [喫茶店・レストラン・カフェ]

20210909_131316.jpg

純喫茶(あっしの指す純喫茶とは、最近 流通している「単に古い喫茶店」という意味ではなく、特殊喫茶があった時代の真の意味での「純然と飲食を享しませる喫茶店」という意味での純喫茶でやす)で、1960年代後半に 早々に消えていってしまったメニューがありやす。
それは「フルーツポンチ」でやす。

ここで、純喫茶のフルーツポンチが解らない世代のかたに簡単に説明しやすとーーー
脚の付いた大きめのゴブレットに、あの毒々しい緑色のメロンのコンクを水で割った、いわゆるまがい物のメロンジュースの中に、サイコロよりももっと小さな直方体にカットされた リンゴ 缶詰めパイナップル 缶詰めピーチ のざくざく入った、今思い返すと、パーティー会場でホテルマンさんが注いでくれるのとはまるで別物の、チープで 明らかに幼い子供を対象としたデザートメニューでやした。

1962年生まれのあっしは、最も古い記憶が1965年でやすから、その時代はすでに、パイン缶もピーチ缶も、日常利用するスーパーで安価に売られていて、しょっちゅう茶の間で口にする、別段 嬉しくも何ともないデザートで、飛び上がって喜ぶフルーツは、マスクメロンくらいの時代になっていやした。

加えてその時代、純喫茶にはもう、パフェ アラモード サンデー といった アイスクリームと生クリーム盛り盛りの、派手で美しいデザートメニューがあったので、それらに対してフルーツポンチは、ビジュアル面でも ただただキッチュなだけで、見劣りのする 目にも舌にも魅力に欠ける、イマイチ イマニのメニューでやした。

なので あっしは、フルーツポンチを食べてみたのは、ほんの一、二度ほどで、すぐに デザートの選択肢は、パフェ アラモード サンデー の中から、小さな頭を振りながら嬉しく悩むこととなりやした。

あっしと同じに感じていた同世代の子供達は多かったのでやしょう。
1960年代後半には、メニューにフルーツポンチが記載されている喫茶店は、殆どなくなっていやした。
ーーー唯一、現代までメニューに載せ続けていたのは、近年惜しまれつつ閉店した 浅草のアンヂェラスくらいのものだったと思いやす。

「純喫茶にはフルーツポンチというメニューがあった」という事実、当時を知る人と純喫茶マニアなら当たり前の情報としてご存知のこととお察ししやすが、一喫茶店マニアとして、それを知らないかたがたへ、ささやかに ここから発信しておきたく思う所存でございやす。
20210909_131316.jpg

nice!(244)  コメント(65) 
共通テーマ:映画