一才半の女の子 [独り言]

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三年ほど前、親友と鎌倉へ遊びに行くために 湘南新宿ラインの四人掛けの向かい合わせの席に 並んで座っていた時の事である。

私達の向かい側に、ヨチヨチ歩きの女の子と若いお父さんが掛けた。
女の子を見るともなしに見ていると、彼女は、私達の方に手を振りながら「バイバイ」と言った。
私は合わせて「バイバイ」と応えた。
親友は「僕達はまだ降りないよ」と 静かに笑った。
若いお父さんは「過ぎてゆく景色に向かって『バイバイ』と言っているんですよ」と説明してくれた。
親友が「お嬢さん、お幾つなんですか?」と尋ねると「一才半です」とお父さん。
赤ん坊や小さい子供の事を何も知らない私は、内心「へえ〜、産まれてたったの一年半で、もうヨチヨチ歩くくらいに大きくなるんだ! そして、会話こそまだ成立しなくとも、言葉も発するようになるんだ〜!」と 驚いた。

いつだったか、確か立花隆先生のお作りになったNHKのドキュメンタリー番組で映っていたが、赤ん坊の時は、人間もチンパンジーも、一緒に遊ばせると 対等に同レベルで遊ぶのだそうである。
そしてそこから少し大きくなって、件の女の子くらいに成長すると、人間の子はグーンと知能が発達し、ゆるやかに知能があがり そう高くない時点で止まってしまうチンパンジーとは「もうこんな馬鹿馬鹿しい遊びやってられないよ」となるそうなのである。

地球上の全ての生物の中で 偶然にも人間だけが突出した知能を得るという進化を辿った。

電車内で遭遇した女の子の大脳は、ものすごいスピードで細胞分裂している最中だったのだな、と思った。
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