サクランボにまつわる些細な雑文 [独り言]

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サクランボの時節である。
サクランボといえば、一般には 宝石の如くに木箱に並べられた佐藤錦などがありがたがられるが、私は決して強がりを言うわけではなく、日本のサクランボには、みぢんも興味が無い。
興味があるのは、プラスチックカップにごそっと投げ入れられた 如何にも欧米!といった芳香を発散させているアメリカンチェリーである。

だから、この季節にアメリカンチェリーをたらふく食す事のみならず、アメリカンチェリーを使った食べ物・飲み物にも 昔から食指がのびている。

小学生の頃は、紀ノ国屋のチェリーパイを よく頬張っていた。
昔のアメリカのお母さんは、白いキッチンで、こんなパイを午後になると焼いていたんだろうな とイメージの広がる、素朴でかつ異国情緒のぎっしりと詰まったパイだった。

大人になってカクテルの世界に魅了されてからは、ショットバーの留まり木に留まると、チェリーブロッサムというカクテルを所望するようになっていた。
チェリーブランデーベースの、マラスキーノチェリーの沈んだ これぞカクテル!といった佇まいのショートカクテルである。

又、アメリカンチェリーが完熟した 限りなく黒に近い臙脂色というのも無性に心惹かれるものがあり、中学生の時は、そんな色の口紅をつけていた。
黒く丈の長いレエスのついたワンピースをまとい、血の気の無い色のファンデーションをべったりと塗り、当時はそういったファッション用語は無かったが、今でいう「ゴシックファッション」をしていた。
ゴシックファッションに身をかため、まだ広告業界とファッション関係の人しか歩かない 限られた大人の街だった原宿を、日曜日になると、無表情で影のように彷徨っていた。

アメリカンチェリーを店頭に見ると、毎年、そんな諸々を思ひ出す。

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