ビルと空と電線 [写真]

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トワイライトタイム時の個性的な外観のビルと空に幾筋も張った電線。
直線ばかりで構成されたこの一角は面白いな と立ち止まり、ビルと空の分量のバランスを適切な具合に切り取り、そして加工は、ビルが空の色の補色になるようにしやした。元のビルの色は、もっとアイボリーっぽかったでやす。
あっしなりにでやすが、キメたかった所がキマり、納得している一枚でやす。

これは、神保町の裏通りで撮ったものでやすが、最近あっしは自宅のある西荻窪の他は、三鷹 高円寺 中野 新宿、そしてこの神保町にしか遊びに行ってやせん。
これらの街は特に好きな街で、その中でも寄る店というのは、コーヒーはここ、夕飯&飲みはここ と決まってきてるんでやす。
以前はよく 知らない街を散策して、知らない店を楽しんでやしたが、そうすると、アタリもあればハズレもある訳でやす。
なんか最近は、ハズレるのがすごいストレスを感じるようになってしまって、「この街を歩いてこの店に入れば絶対にハズレない。解ってるから。」という風になってしまいやした。
まあ、冒険家から保守派になった といったところでやしょうか。


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昭和40年代に定番だったケーキあれこれ [喫茶店・レストラン・カフェ]

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昭和40年代、ケーキはまだ 喫茶店では、ケーキ屋併設の喫茶室以外では、どこにもなく、又、ケーキというもの自体が、日常的に食するものではなく、誕生日かクリスマスか 知人が特別感を持った日の土産として買ってきてくれるのみだった。

ケーキのラインナップは、大抵、ショートケーキ モンブラン スワン タヌキ サバラン アップルパイ、そんなところだったと記憶している。

ショートケーキは、苺ショートが出るのは春先だけで、その他の季節は、確か マスクメロンのスライスが乗せられている事が多かった。
当時 苺は、春にしか出回らない食材で、ちなみに クリスマスケーキも誕生日のケーキも、ホールケーキはバタークリームかチョコレートの二択だった。

モンブランは、カステラの土台にトッピングのニョロニョロはきんとんみたいにまっ黄色で、上には これまたまっ黄色な甘露煮の栗が鎮座していた。
味もきんとんそのもので、今思い返すと、あれは「半和菓子」だった。

そして、スワン。
これはシュークリームの上部のシューを半分に切ってスワンの羽の様にクリームに刺して スワンの首を模した「S」の字型のシュー生地をクリームの端っこにつけたものだった。
スワン形にせずに 単に「シュークリーム」という商品名で出していた店も少なくなかったが、私は、一寸工夫して あの美しいスワンに見立てる という意匠に、幼心に惚れ惚れしていた。
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それから、タヌキ。
これもまたカステラの土台に生クリームを雪だるま状に絞り チョコレートでコーティングし 目鼻をチマチマッと描き チョコレートの薄く丸く小さな耳をつけて タヌキの姿にしたもの。
店によっては「タヌ公」「ポン太」「タヌ吉」、そんなネーミングを与えられていたりもしていた。
私はどうも、見た目もネーミングもお洒落度が低いので、このケーキは食べる気にはなれなかった。

あとは、サバラン。
砂糖とホワイトラムを加えた水を熱しラムのアルコールを飛ばし ブリオッシュにたぷたぷに浸し、ブリオッシュの首の所を切って生クリームを少量挟みこんだもの。
私は幼い頃からラムの香りが無性に好きで、このサバランが圧倒的に好みだった。

最後に、アップルパイ。
これが一番 今現在売られているものと違いが少ないように思うが、やはり 現在のと比較すると、パイ生地のサクサク度 焼きリンゴのシャクシャク度が低かったように思う。

以上、昭和40年代に街によく在ったケーキ屋のケーキというのは、こういったものだった。
尤も、横浜や神戸や どこかの一流ホテルで修行をしてきた職人さんが開いた店には、世間一般的にはもっと時代が下ってから登場するケーキが並んでいたのかも知れないが。

だから、当時は、チーズケーキもミルクレープもコーヒーゼリーも無かった。
それらが一般的に市民権を得たのは、1970年代である。
ティラミスなんてのはもっと後で、1980年代バブル期だった。

あれらのケーキ、カステラを使ったものはパサパサでキメが粗く、生クリームを使ったものは、どへっと重たい食感がした。
したがって今食べると、決して「美味しい!」とは声を上げられない代物だと思うが、懐かしい「気分」先行で、も一度口にしてみたい気もしないでもない。

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透明な波板越しの洗濯物 [写真]

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透明な波板越しに見える洗濯物。
あっしの写真は、コントラストを強めることはあっても弱める場合はめったに無いのでやすが、このモチーフは明らかに少々弱めたほうが作品イメージに合うので、適切と判断したほど加減に弱めやした。
そして、季節や撮影場所や時間帯は、観てくださるみなさん各々に自由に想像していただきたいので、あえて この記事本文では書かないことにしやす。(のちほどコメント返しにて書きやすね)

ところでみなさん、みなさんはお洗濯するにあたって、拘っている点って、何かおありでやすか?
あっしは、以下の3点に拘ってやす。
1 漂白剤の入っていない洗剤を使う。
2 ネットを大中小極小と揃える。
3 乾燥機は使わない。

理由はーーー
先ず、1は、あっしはインド綿の服を多く持っているのでやすが、インド綿というのは、色落ちしやすいんでやす。なので、漂白剤入りの洗剤を使うと、みるみる脱色されてしまうんでやす。
逆に、白シャツなどは1枚も所有していないので、襟の黒ずみが気になって、、、ということはありやせん。

2は、アイテムに合った大きさのネットを使わないと、ぶかぶかでネットに入れた意味がなくなったり きちきちで洗濯した意味がなくなるからでやす。
一番大きなネットは、モッズコートを入れて洗い、一番小さなネットは、マスクを入れて洗ってやす。

そして3は、服によっては、乾燥機の熱で縮んでしまうのではないか?という不安があるからでやす。
不安な気持ちを抱えながら賭けに出るよりも、雨続きの日は、何日でも部屋の中に吊るしておいたほうが、あっしとしては安心なんでやす。



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「個性」と「協調性」 [独り言]

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二十代後半、カクテルラウンジでアルバイトをしていた頃、四十代半ばくらいの 一目してサラリーマンと判る二人組の男性に、顔をしかめられ 突然 こう叱咤された事がある。
「キミ!それじゃダメだよっ!!」

私は驚き、「はっ?!私、何か失礼を致しましたでしょうか?」と返すと、
「今やってる事をダメだって言ってるんじゃないんだよ。 キミは大勢でいる時、みんながお寿司を食べに行こうって言っても 一人でカレーじゃなきゃ嫌だ!って言い張るだろ!」
「そうだろ! それじゃあ、友達もみーんな離れていっちゃうんだよ。 それをダメだって言ってるんだよ!」

私はますます驚き「いいえぇ〜、私、そんな事言いませんけど。 みんながお寿司を食べに行こうって言ったら、私もお寿司いいね!って合わせますけど、、、」と目を丸くすると、サラリーマン二人組は「えぇっ?そうなの??」と、釈然としないといった風に顔を見合わせた。
そして、「だってキミは、そんな髪型してそんな化粧してピアスまで開けてるじゃないか、、、」と。

そのカクテルラウンジは、着る物は、制服の白シャツに黒パンツ 赤のチェックのチョッキであったが、ヘア メイク ピアスに関しては何も規則が無かったので、自分の好きな 私服に合わせた六十年代ボブにマゼンタ色のアイシャドウにマゼンタ色のピアスをしていた。
どうやらこの二人は、「個性的なファッション感覚の者は協調性がないものだ」と、揃って思い込んでいた様なのだった。

その時は「世の中には、何の関連性もないものを関連づける妙ちきりんな人がいるものだな」と思って終わったが、歳を重ね 人生経験を経てみると、あの二人のサラリーマンと同じに「個性的なファッションの人は協調性がないものだ」と勘違いしきっている人が、ある一定の割合でいる事を知った。

余りにも短絡的な 飛躍し過ぎた 非現実的な イメージのみの 愚かしい結びつけである。
まるで、肉を旨い旨いと食べている人を「あの人は暴力をふるう人だ」と決めつけて恐れるのと同じぢゃないか。

あの二人のサラリーマン、四十代半ばともなれば、部下を何人も抱えていてもおかしくない年齢である。
部下に対しても、その様な愚かしい勘違いで振り分けていたのだろうか?
だとしたら、部下も気の毒だし、そんな上司が二人もいる会社は 伸びるものも伸びないだろう。

もしも、この記事をお読みの方の中に「個性的なファッションの人は協調性がないものだ」と信じ込んでいる方がいるとしたら、どうか直ちに その認識は誤りであった と改めていただきたい。

現実には、個性的なファッションの人の中にも、協調性がある人もいればない人もいるし、個性のないファッションの人にも、協調性がある人もいればない人もいる、のだ。
「個性」と「協調性」は、まるで別物で、その二つの間には何一つとして関連性などない、のだ。
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四枚のストライプの金属枠 [写真]

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これはいったい何なのか、無知なあっしには皆目解りやせんでやしたが、とにかく 道の傍に、四枚のストライプの金属枠が立て掛けられていやした。直径は確か、四十センチくらいでやした。

これがいったい何であるか、というのは、あっしにとってはどうでもいいことであって、あっしにとって重要なのは、写真作品になるか否かでやす。
で、「ハイコントラストの白黒にしたら間違いなくキマる!」と直感したので、迷わず撮りおさめやした。
四枚が全く同じ物で、それがそれぞれ、ほんの少しづつガタガタに置かれているところが面白いな!と思いやした。
何だろう?という問いかけで撮っているわけではなく、完全にデザイン画を構成するスタンスから撮り加工しているので、みなさんもデザイン画を鑑賞するような視点から観ていただけると幸いでやす。

ところで、横ストライプ、、、というと、みなさんは何を連想しやすか?
あっしは、囚人服 昔の男性のワンピース水着 イマドキのカフェのマスターのTシャツ、、、そんなとこかな。


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ペンダントトップいろいろ [ファッション]

今日は、私が最近よく着けているペンダントトップをご紹介させていただきたく思います。


①太刀魚のモチーフ
直径は、紐を通すリングの部分を含めて、約5センチです。
素材はシルバー。買って半年以上経つので、いぶし銀っぽい渋さが出てきてくれました。
くるりんとしたしなやかな曲線ではなく 無骨な感じに曲線を描いている所が、前衛的なイメージで気に入りました。
フィギュアで有名な海洋堂の作で、目や鰓もリアルに緻密に彫られています。
アヴァンギャルドな服や曲線で構成されたプリントの服に合わせています。
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②鍵と英字の彫られた金属プレートのモチーフ
象牙色の部分から先までが7センチ強です。
アンティークな雰囲気ですが、本物のアンティーク品ではありません。
ストリート系の古着にしっくり馴染むので、そのようなファッションの時に、あまり主張させない感じで着けています。
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③サソリのモチーフ
直径が4センチ強のシルバー製です。
買って3ヶ月くらい経ち、そろそろいぶし銀っぽくなってきてくれたぞ!という段階で、これからますますいぶし銀度が増すのが楽しみです。
これを購入したお店にはサソリのペンダントトップが全部で5種類あり、順番に胸にあててみて、長さの一番短かかったこの品が 小柄な私に最もしっくりきたので、これを選びました。
アヴァンギャルドな服に合わせて全体的に溶け込ませたり、また逆にすっきりした無地のセーターに着けて この一点で個性を出したりしています。
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④十字架のモチーフ
十字架のペンダントトップは昔からいくつも持っているのですが、シルバーでも一つ所有していたいな!と思い、購入しました。
直径は4センチ強です。
十字架というモチーフは王道なので、店にも7種類くらいあり 嬉しく迷いましたが、長さより太さがあり存在感か大きいことと 輪郭の内側が黒く塗られていてアンティークな雰囲気がする所が、これにした決め手となりました。
キリスト柄のTシャツや 彩度低くまとめられたクラシカルな花柄のTシャツに合わせています。
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⑤四角い枠のモチーフ
10年前に初めて老眼鏡を買った時に グラスホルダーとして購入した一品。
眼鏡を引っ掛けずとも、アクセサリーとしても十二分に洒落たデザインなので、ペンダントとして活用させています。
直径は約5センチ。
このシンプルさ故のインパクトを活かして、ルージィーなファッションの引き締め役として出動させています。
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⑥人間の首のモチーフ
パンキッシュなイメージの人間の首のモチーフ。
直径は、約5センチです。
もう20年近く前に、吉祥寺の公園へ向かう通りの店で求めた物で、その店は、映画「殺し屋1」の1役の革の衣裳をデザインしたりと、個性的な展開がエネルギッシュだったのですが、残念ながら だいぶ前に閉店してしまいました。
顔のモデルは、世界残忍殺人事件に名を遺す悪人の一人だそうです。
ほんのスパイス的に、パンクやゴスの匂いを感じさせたい時のコーディネートの仕上げに使っています。
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以上が、最近 私が特に好んで着けているペンダントトップです。
これらの6点、非常に都合が良いのは、全て革紐の長さがチョーカータイプからみぞおちの長さまで調整出来る事です。
①③④⑥はトップだけが売られていたり シルバーの長さ調節できないチェーンがついていたので 自分で長い革紐を購入して通しましたが、後の2点は最初から自在に調整出来る仕組みとなっています。

コーディネートに於いてベストバランスでペンダントトップがおさまる位置というのは、そのコーディネートコーディネートで全て違ってくる訳で、それが出来るというのは、とてもとても重要な事なんです。

なので、街を歩く時のバランスでキメる為に、靴を履いて鞄も掛けて パーカーやコートを羽織る時はそれらも羽織って、姿見の前で どの長さがベストかを決定します。



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青緑色の重機 [写真]

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夜になって立ったまま眠っている青緑色の重機。
赤いラベルの部分を主役に撮ってみやした。
遠景にビルの窓の灯りが最適な位置に入ってくれたので、構図が完結したのと同時に ここが都会の一角だという説明にもなってくれやした。
特別奇をてらった写真ではありやせんが、重機好きのあっしのお気に入りの一枚でやす。

重機は、あっしがホースの次に頻繁に撮っているモチーフでやす。
ホースを一番多く撮っている と以前書いた時、「何故ホースが好きなんですか?」という質問をいただいたので、今回は、何故二番目に重機が好きか を先にお答えしやす。
理由は、怪獣みたいでカッコイイから でやす。

あっしは幼い頃から怪獣が大好きでやした。
爬虫類が好きだったので(今も)、それが巨大化したような形態の怪獣って、なんてカッコイイんだろう!と思ってやした。
なので、女の子が観るアニメやおままごとには全く興味がなく、ウルトラマンの怪獣に夢中でやした。
まあ、小さかったので、怪獣の名前を覚えるところまではいきやせんでやしたが。
大人達には「女の子なのに怪獣が好きだなんて変わってるねぇ」と言われてやした。


タグ:重機
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年末年始にDVDで観た映画5本の感想 [感想文]

今日は、この年末年始に自宅にてDVDで鑑賞した映画5作の感想を、それぞれ簡潔に綴りたいと思います。


○「青春残酷物語」 監督・大島渚氏 1960年製作

多くの若者が60年安保闘争に熱く憤りをぶつける中、ふとした事から知り合った二人の男女は、美人局まがいの不良行為をする事によって、若さ故のやるせない負のエネルギーを噴出させる という概要。

大島監督ならではの理屈っぽい説明台詞が全編にちりばめられていて、テーマをいやがおうにも納得させられる。
ロケ地に建設現場を使用している所などには、時代の変革の暗喩の巧さを感じる。


○「舟を編む」 監督・石井裕也氏 2013年製作

辞書作りに生命を掛ける編集部の、地味でありながらも熱意溢るる模様。そして、新人から主任にまで昇格した 一見まじめだけが取り柄の主人公の仕事ぶりと恋愛を描いた作品。

何といっても、主人公役の松田龍平さんのスキのない演技力には、息を飲まずにおれない。
たいてい、キレのいい役者が、この様なボーッとした不器用な人物を演る時は、つい 所々で「キッ!」と強い素の目つきが出てしまうものだが、松田さんは一分の抜かりもなく、終始 ボーッとした 焦点の合わない目を演り通している。
又、何かを指す時 走る時も、この主人公なら絶対にこういう動きをするに違いない という事を、細胞の一つ一つから駆使して演り切っていてアッパレである。

一方、脚本も、「この人物ならこういう言葉を使うよね」といった 一言一句までも生命が吹き込まれていて、さすが辞書作りを主題とした映画に相応しいホンである。


○「乾いた花」 監督・篠田正浩氏 1964年製作

日本中がザッザッザッザッと、経済及び精神の前進する高度成長期真っ只中、ヤクザの男が賭場で謎の美女と出逢う。
男は恋とは別物の、自分と同じ 刹那的で世の中に退屈している匂いを美女から感じ、惹かれてゆくが、男にとっても観客にとっても、謎の美女が最後まで何者だったのかが明かされないラストが心憎い。

世の中全体の向かおうとする方向と逆行する人物がここにいる というテーゼが、白黒の映像効果によって、観念的に巧妙に打ち出されている。

謎の美女役に 最も美しかった頃の加賀まりこさんがあてられているのだが、ここも実に ミステリアスで適役である。


○「るろうに剣心」 監督・大友啓史氏 2012年製作

幕末から明治初期が舞台の大娯楽活劇。
見所は、劇中 幾度も繰り広げられる派手な殺陣シーンと、主役のるろうに・佐藤健さんの美しさと身体能力の高さにある。

又、大金持ちの悪党役の香川照之さんの、非リアリズムの本作に合わせたデフォルメした憎たらしい演技も、思わず笑ってしまうほどに見事である。


○「万引き家族」 監督・是枝裕和氏 2018年製作

実は全員が他人だが、寄る辺がなかったり放置されていたりというきっかけで、一つ屋根の下に、万引きを副業として 身を寄せ合って、時にケンカをし 時に溢れんばかりの愛情を注ぎ注がれして生きている6人の物語。

キャスト全員の徹底したリアリズム演技により、「家族って何なんだろうね?」というテーマが、グーッと強烈な波の如くに押し寄せてくる。
こういったテーマを演る時は、一人でも様式的な演技の役者がいると、鼻白んでしまうものだが、脇役や子役に至るまで完璧にリアリズムでハズレた所がなく、中でも 家の中でのお母さん的立場の安藤サクラさんの演技には、目を見張るものがある。

又、テーマのテーゼの仕方も、「家族って、こういうものなんだよ!」と明確に結論付けずに、ポーンと「何なんだろうね?」と放り上げて、観客一人一人に考えさせる仕組みにした所も、この深いテーマに最良の選択である。

この作品に於いての「万引き」は、放置されていた他人の子供を連れ帰り家族にする事の暗喩であるが、是枝監督は、万引きという手段を暗喩に使う事をよくぞ発想したものだと 唸らずにおれない。

カンヌでパルムドール賞を受賞したのに相応しい 現代の「家庭が崩壊した時代」を象徴する 世界映画史上に遺り続ける大傑作である。


以上が、私がこの年末年始にDVDで鑑賞した映画5作です。
幸い、観た事を後悔した作品は1作もありませんでした。
もしもお気が向かれたら、みなさんも この5作のうちのいずれかをご鑑賞ください。

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黄色い外壁とグレーのチューブ [写真]

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一見 黄色くペイントされたシャッターのように見えやすが、木製の外壁でやす。
外壁の黄色に対してのチューブのグレー、外壁の横の溝に対してのチューブの縦が、バランス良く呼応してくれたので、これを完成作品としやす。
これが何であるという説明ではなしに、平面構成を制作するのと同じ考えかたで切り取りやした。
なので、観てくださるかたも、平面構成を鑑賞するような観点から観ていただけると幸いでやす。

この黄色い外壁は、繁華街の店舗の外壁だったので、店舗は目立つのも一つの戦略としてあり!なので理解出来やすが、たまに普通の住宅でも、こういう真っ黄色の外壁の家ってありやすね。
まあ、人様が住むお家だから どんな色に塗ろうがその人の自由なんでやすが、そういうお家をたまに見かける度に「この人は、小中学校の図工・美術の時間に、何をやっていたのだろう?」と 首を傾げてしまいやす。

そういえば以前、テレビの視聴者投稿番組の若い主婦のかたからの投稿で「なんで網戸ってみんなグレーなんですかね? 赤やピンクやオレンジ色の網戸を作れば可愛いのに!」というのが読まれていて、すかさず司会者の人は「網戸でそれやったら気持ち悪いでしょ」と返していやしたが、やっぱりその時も「この若い主婦のかたは、小中学校の図工・美術の時間に何をやっていたんだろう?」と 首を傾げてしまいやした。


タグ:黄色い外壁
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魚の目を食べていたばあちゃん [福岡時代]

福岡県に住んでいた三才から九才までの間、私は、ばあちゃん(父の母)に溺愛されていた。
ばあちゃんは、自身も住む父の実家である久留米の家に私と同じくらいのいとこ二人がいるのに、それはもうしょっちゅう、私の家の在る春日市まで一時間以上も西鉄に乗ってやって来たり 久留米の家に泊めてくれたり 料理屋に連れて行ってくれたりした。

料理屋に行くと、ばあちゃんは、必ず 魚の煮付けを注文した。
そして 身を食べ了ると、これこそがとっておきの享しみ!とばかりに 魚の目を箸先でぐるりとえぐり取り、ゼラチン質になった白目ごと しゃぶりつくのだった。

私はその度に「ばあちゃん、美味しいのー?」と ばあちゃんの顔を見上げ、ばあちゃんは「旨か〜!」と言いながら、私の顔に自分の顔を寄せて ちゅっちゅっちゅっちゅっと、旨か〜!の表現を口でもやってくれた。

しゃぶり尽くすと、火を通されて真白くなった真円型の眼球を口から出して、皿の中にコロン!と転がすのだった。
私は、目玉ってまん丸いものなんだなあと その都度凝視し、あんなにドロリとした魚の目が美味しいなんて不思議なものだと、幼心に思っていた。

光陰矢の如しとはよく言ったもので、今や私は、あの頃のばあちゃんと幾つも変わらない年齢となった。
十二分に大人の酸いも甘いも解る歳となったことだし、そろそろ、魚の煮付けを食べる機会に恵まれたら、目をえぐり しゃぶってみようと考えている。

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