他人で一番嫌いな人 [独り言]

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私がこれまでの生涯の全ての関係性の中で一番嫌いな人間は、言わずもがな 生まれた時から私が二十七才の時に死ぬまで 私を虐待し続けていた 人格の破綻しきった実母なのであるが、今日は、他人で一番嫌いな人の事を書こうと思う。

何故、嫌いなのかーーー
常軌を逸して意地が悪いからである。
私は今までの人生で、自身に対して悪意のある行為を何一つとしてされた訳でもないのに、他人に対して あれほど意地の悪い言動をする人に遭った事がない。

そのご婦人は、昭和十一年の生まれだそうだ。
戦争を体験している世代でありながら、ひもじさや生活の不自由を感じた事はない土地と家柄で、末っ子として大切に育てられたという。
見合い結婚をしたが、ご主人は、数人を使う小さな会社を経営していて、経済的には困らせなかったが、女遊びが絶えずに、ずいぶん泣かされたという。

そんな半生を経てきたご婦人、私が高校生の頃に、同市に住むというちょっとしたご縁から 家族ぐるみでの付き合いとなった。
とは言え、私はたまにお顔を拝見して 会釈するだけだったが。

そのご婦人とのお付き合いが密になってしまったのは、以下の経緯である。
私の母親が突然の病で死んでくれたので、私は画家を辞められ、カクテルラウンジでアルバイトを始めた。
するや、そのご婦人は、子分的な存在の近所の主婦仲間を数人引き連れて「絵を教えてほしい」と やって来たのだ。
私はバイトが休みの日曜日には、演劇や映画の勉強をするために使いたかったが、そのご婦人は「日曜日は空いているんだから日曜日に教えてくれればいいじゃないですか!」と 引き下がらなかった。
私は、母親の葬儀を手伝ってくれた義理があるので 断われなかった。

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教室を始めてみるとーーー
そのご婦人は、描きながら ひっきりなしに、自分や家族の自慢と他人のけなしをするのだった。
「うちの娘は有名人なんです!」と言うので、娘さんが親族を含めて社員五人の会社を営っていると知っている私は、「有名人って、、、どういう有名人なんですか?」と目を丸くすると
「やり手の実業家で有名人なんですよ!」
「、、、というと、ホリエモンみたいな有名人 という事ですか? テレビや週刊誌にも出ていらっしゃるんですか?」と問うと
「そうですとも!出てますとも!!」キッ!と強気の返事。
「では、そのテレビ番組、観てみたいです。何という番組ですか? 週刊誌も読んでみたいです。何という週刊誌ですか?」
「娘の仕事の事なんて、私は知りませんよっ!!」
嘘八百の見栄で、窮地に追い込まれるとキレて了るのである。

又 別の日はーーー
「サラリーマン家庭の旦那さんの月給って、百万もないんですってね? 月に百万もなくって一家どうやって暮らしているんですか? やっぱり生活保護?生活保護?」
他の生徒さんの殆どの旦那さんがサラリーマンだと知っていて、わざと目をぱちくりさせながら、彼女達の顔を覗き込んで首を傾げるのである。
だけど、そのご婦人の息子さんはサラリーマンなのである。
他の生徒さん達は、そのご婦人から、その後 どんな陰湿な嫌がらせをされるのかが怖くて 皆 黙っていた。

又 別の日は、矛先が私に向く事もあった。
「ぼんぼち先生はお顔はいいけど、背が低いから、女性としての魅力は丸潰れですね。 あぁぁ〜〜、身長さえ高ければいいのにねぇ。 あ〜、これじゃあ、丸潰れだ!丸潰れ!!」
けれど、ご婦人の自慢の孫の女の子は、私とたいして変わらない身長なのである。

この様に、口を開けば、一言一句、自分側の自慢 他人のけなし、しかも矛盾だらけ穴だらけなのである。
それでいながら ご婦人は自分では「アタシって、いつも自分の事は犠牲にして 人様の事を第一に思い遣っているんですよ」と 本心からそう誤認しているのか、日頃の意地悪を誤魔化そうとしているのか、ことある毎に言っていた。

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時はくだりーーー
このブログの過去記事「ケータイ音痴---知らないにもほどがある」にも書いたのだが、ガラケーを家族から二台持たされていて「この二台は一台で同じ番号なんです」と訳の解らないことを言い張り、私が「そうではありませんよ。 試しに、両方のケータイからそれぞれ私のケータイに掛けてみてください。違う番号が表示される筈ですから」と言うと、「そんな変な事を仰るなら警察呼びます!警察呼びます!警察呼びます!」発狂したが如くにわめき散らし、その一件で私は我慢の限界点に達し、ご婦人との一切のお付き合いをやめた。

娘さんとは今でも交流はあるが、あの顛末を話せば、「それはしょうがないわね。ばあちゃん、まだらボケきてるみたいだから。 ごめんなさいね」と謝ってもらえるに違いなく、考えようによっては、堂々とお付き合いを絶たせてもらえる恰好のきっかけになったと思っている。

それがもう数年前だから、ご婦人は今ではすっかりおボケになっていることだろう。
私は他人だからプツリと関係を切る事が出来たが、ご家族は大変な事とお察しする。

ともあれ そのご婦人、いったい何故に、あそこまで意地の悪い人間に形成されてしまったのだろう?
末っ子で何不自由なく わがままに育てられたから?
ご主人に女遊びされて、女性としてのアイデンティティを踏みにじられたから?
それとも、元々生まれ持っての性格?
私は、赤の他人でもある訳だし、知る由もないが、、、

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