似合うファッションと流行りのファッション、どちらが大事? [ファッション]

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私は、自分のファッショントータルコーディネートを決める時、一にもニにも大切に心を砕いているのは「如何に自分という一個人に似合うか」です。
似合うものを身に着けていれば、長所は底上げされ欠点は隠す事ができます。
又、「似合う」という中には「心に似合う」事も含まれるので、精神的にも心地良く日々を過ごす事ができます。
その結果として出来上がるのが、世界に一つだけの私のファッションコーディネートです。
流行は、ごく稀れに、そんな自分の「似合う」部分にたまたま偶然シンクロした時にだけ 取り入れています。
今であれば、ナイキのエアリフトの黒やフルレングスのスカートです。
流行っているから取り入れるのではなく、自分に似合うトータルコーディネートを完成させる為に最適なので「これは都合が良い!」という理屈で取り入れています。

けれど世の中には、自身に似合おうが似合わなかろうが、とにかく 流行りモノ流行りモノで上から下まで揃え、それを次々と変化してゆく流行りに合わせ、次々と流行りモノでかため続ける人もいます。

私はそういう人が、不思議でなりませんでした。
何故、自身を良く見せる事や心底愛せるものではなく、ファッション業界が、回転させ売り上げを伸ばす目的で作り上げた「流行」という戦略に乗って、自身を悪く見せたり個性を無くしたりするのだろう?ーーーと。
そういう人は、自身では、プロのモデル以上に何でも似合う 欠点のない容姿だと自負しているのだろうか?
好みというものが存在しない、海のように許容範囲の広い人なのだろうか?ーーーと。

私が中学生高校生の頃は、友達全員がファッション命!で私と同じ考えで、流行でかためる人など学校にいなかったので、放課後 街で 流行でかためた女性を見かける度に 皆で「不思議だねー」と首を傾げていました。

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ーーーと、四十才になった時、
私は、趣味で演技のレッスンを受ける為に 某演劇研究所に通い始めたのですが、同じクラスに私よりちょうど十才下で、まさに流行りモノ流行りモノで上から下まで次々とかため続ける女性がいました。

レッスンの日数を重ねてある程度話し易くなったところで、これはいいチャンスだと、私は彼女に尋ねてみました。
「Tさんは、どうしていつも流行りモノ流行りモノでかためるの? プロのモデル以上に自分に自信があるの? それに、Tさんの好みっていうのはないの?」ーーーと。
するとTさんは、「とんでもないです!アタシ、自分に自信なんてぜんっぜん無いです。逆にコンプレックスの塊なんです。 なんで流行りモノばかりを追いかけるかっていうと、流行りのファッションの人って、あっちにもこっちにもうじゃうじゃいるじゃないですか。そういう人達と同じ格好をしたら、目立たなくなれるじゃないですか、砂底のカレイみたいに。 アタシは砂底のカレイになりたいんです。アタシっていう存在そのものがコンプレックスだから、アタシっていう存在を少しでも目立たなくしたいんです。 その為に流行でかため続けてるんです。」
なるほど、そうだったのか、納得の理由だと、私は深く頷きました。

けれどちょっと考えたところ、こういう疑問が私の内に浮かんだので、重ねて尋ねました。
「確かに流行りモノでかためたら砂底のカレイになれるけど、流行りモノの中には、Tさんを良く見せる流行りも来るかも知れないけど、悪く見えてしまう流行りも絶対にどこかのタイミングで来てしまうわけじゃない。それでも、悪く見える流行りも取り入れるの? それに、いつも流行りモノでかためてると、自分のアタマで何んにも考えてない アタマの悪いミーハーちゃんって思われちゃうけど、それも平気なの?」
Tさんは間髪おかず、「はいっ!それでいいんですっ! とにかくアタシは、砂底のカレイになって目立たなくなれる事が大事なんですっ!!」

私はTさんが、生まれて初めて出逢った リアルに話しのできる 流行りモノを追う人でしたが、そんな切ない理由だったのか、、、と、それまで流行りモノを追いかける人に少なからずの軽蔑感を持っていたので、そういう感情を抱いていた事を反省しました。

勿論、世の中の流行りモノを追いかける人すべてがTさんと同じ理由とは限らなく、流行りモノを追いかける人も、それぞれ様々な事情があって流行りモノを追う人生を選択しているのでしょう。
人生、何を選択するかは各々の自由なので、私は、それらの人に対して否定も口出しもする気はありません。
ーーーが、いずれにしろ、どんな説得力のある答えが返ってきたところで、私にとって流行りモノ流行りモノを追いかける人は、一億光年離れた遠い異星の住人であることには変わりはありません。
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