「ハズシ」のお洒落について [ファッション]

ふんわりしたガーリーなワンピースにメンズのガチッとした腕時計・アクセサリーやスニーカーを合わせたり、ハードな革ジャン&革パンツに小花柄のブラウスを合わせたり、、、つまり、部分的に全体とは真逆の方向性のファッションアイテムを入れ込みつつも コーディネートを成立させることを、ファッション用語で「ハズシ」「ハズシを入れる」と言います。

ハズシを入れるお洒落の効果というのは、見た人に「うぅむ、心憎いなあ。意表を突かれたなあ」と唸らせずにはおれない 当たり前・ありきたりでない ワンランク上のお洒落上級者になれることです。
食べ物に例えるなら、お汁粉にシソの実を合わせることと似ているかも知れません。
甘さが主役の中に しょっぱい物を少々摂ることによって、より甘い汁粉が美味しく感じられる、というーーー

20200704_154058.jpgハズシのお洒落。このテクニックが出現したのは、1980年代中頃だったと記憶しています。
最初はファッション雑誌による提案やファッションリーダー的な有名人ーーー戸川純ちゃん辺りから日本では始まり、その何年か後には、街をゆくお洒落な若者達が、ハズシを取り入れたファッションで闊歩するようになったーーーと。

それ以前は、ロマンティックならロマンティックなファッションアイテムで統一、スポーティーならスポーティーで頭の先から爪先まで、それ以外はメチャクチャな着方と考えられていた訳ですが、ハズシという考え方が出現したことにより、コーディネートの自由度が増えたのみならず、身体的にも自由度がぐんと跳ね上がり、日々のお洒落生活が別世界の如く楽になりました。

それを代表するアイテムは、何と言ってもスニーカーです。
今は、ガーリーなワンピースにスニーカーは、多くの女性がしている組み合わせです。
最近の若い人は、ハズシのお洒落が選択肢の一つとして存在する時代に生まれたので、あえて「ここはハズシを入れて」という意識なく、「このワンピにはこのスニーカーが可愛いな!」と 直感的に合わせている場合も少なくないとすら察します。

20200704_154032.jpgけれど、ハズシの無かった時代に ロマンティックなワンピースを着るとなると、ストッキングにヒールのある靴、それ以外はあり得なかったのです。
男性陣は解らないと思いますが、ストッキングの締め付け感と暑さによる苦しさと ヒールのある靴を一日中履いていなければならない足の痛みは、並大抵のものではありません。
真夏の炎天下に分厚いマスク に匹敵する苦痛と想像されるとご理解いただけるかも知れません。
ハズシの時代が来る以前は、ロマンティックなワンピースをお洒落に着るには、必然 それらの苦痛に耐えねばならなかったのです。

が、ハズシが定着した今、私達女性は、ガーリーなワンピースをふんわりとまといつつも 歩幅も大きくスタスタと 何の苦痛を覚えることなくお洒落上級者になることが出来ます。
いい時代になったものだと 痛感します。
ハズシのお洒落、、、かつてコルセットから解放された時の次くらいに、女性をお洒落でいさせつつも 健康を損なうことなく 心身ともに自由にしてくれた 優れたファッション論法だと、ありがたく活用させていただいてます。


※写真は、どちらも、私がこの夏 ガーリーなワンピースに素足で合わせているスニーカーです。
一枚目がナイキのエアリフトという商品で、二枚目がリーボックのインスタポップです。


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