「前っぱり」とは [映画・演劇雑記]

今日は、舞台用語の中の「前っぱり」という言葉について 解説させていただきます。
「前ばり」ではありません。「前っぱり」です。

前っぱりというのは、舞台・ステージの一番前の突端の部分です。
駅のプラットフォームに例えると、黄色い点字ブロックの外側の、歩いたり立っていたりしてはいけない端っこに相当します。

演劇ではしばしば、それまで舞台のそれほど前方ではない部分で芝居が行われていたのに、起承転結の転や大団円の場になると、主役が舞台の突端から爪先を出すくらいに前に立ち、ピンスポを浴びて 真剣な表情で独白の長台詞を吐いたりします。
こういう時は、「ああ、演出家は、この台詞の内容を特に訴えかけたかったんだな」と解釈して間違いありません。

また、ロックコンサートなどでは、アンコールの後半に差し掛かると、そのバンドの人気曲をノリにノッた動きでーーー多くは、ステージ奥から勢いをつけてドドドッと走り出す感じで、前っぱりまで出て来て演奏したり歌ったりしてくれます。
この時も、観客は「ああ、今回のライブでは、メンバーはここを一番盛り上げたいんだな」と解釈すれば、まずハズれません。
観客は、ここでノラなければ完全燃焼出来ないので、後悔のないよう 思い切りノリ切りましょう。

前っぱりに爪先を出す立ち方は、盛り上げ効果が大きい半面、半歩誤ってしまうと舞台・ステージから転落してしまう 演者にとっては賭けのような立ち位置です。
演劇では、走り出てくる訳ではないので、前っぱりから転落してしまう役者はまずいないと思いますが、ロックコンサートでは時々、勢い余ってステージと客席の間に落っこちてしまうミュージシャンがいるようです。
まあ、ロックの場合は、これもご愛嬌、、、というか、ファンにとっては嬉しいラッキーなアクシデントかも知れませんね。

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