「純喫茶」の「純」とは何か [喫茶店・レストラン・カフェ]

20200323_174109.jpg

この答えはすでに 私のブログの「喫茶店・レストラン・カフェ」のカテゴリーの過去記事の中の何記事かで補足として必要だったので書いていますが、今回はここだけに焦点をあてて、改めて 簡潔に解りやすく述べたいと思います。

「純喫茶」の「純」とは何か?
ーーーそれは、「女性のお色気サービスは一切しないで、純粋に飲食を愉しんでもらう事を目的とした喫茶店」の「純」です。
1960年代後半までは、街街に ロングドレスの女性が横に座り酌をしてくれる お色気サービスをウリにする「特殊喫茶」が在り、それに対して「ウチはそういう喫茶店ではありません!」という事を判らせる為の「純」です。
稀に「アルコール類を出さないのが純喫茶でしょ」と思っておられるかたがいらっしゃいますが、それは間違いです。

事実 殆どの純喫茶にアルコールドリンクスはありました。
瓶ビール ウイスキーの水割り フィズ類(ジンフィズ バイオレットフィズ カカオフィズ等)ーーーそれらには大抵 ピーナッツの小皿が付いてきました。
ですから私が幼かった60年代、日曜日の純喫茶では、パパはジンフィズ ママはコーヒー 子供達はフルーツポンチにプリンアラモードなんていう構図が定番でした。
又 フードメニューでは、サンドイッチにバターと和辛子を練ったものが塗ってあったり、蟹缶をポン!と一缶 キャベツのせん切りの中央に乗せた蟹サラダがある店も 少なくありませんでした。

時代は下り 60年代後半、特殊喫茶は減少、そしてついには消滅し、したがって純喫茶は「純」と冠する必然が無くなり、それ以前に出来ていた純喫茶は「純」を付けた看板をそのままに営っていましたが、以降に開店した純粋に飲食を愉しませる喫茶店は、「喫茶」とだけ名乗る様になった、という訳です。

同時にこの時代には、お色気サービス無しの喫茶店は様々な個性をまとう様になり、純喫茶とほぼ同時代から在った名曲喫茶に加え、ジャズ喫茶 ロック喫茶 民芸喫茶 和風喫茶 「珈琲専科」等と冠する幾種類ものストレートコーヒーやアレンジコーヒーを供する喫茶店、、、と百花繚乱、70年には喫茶店黄金期となります。

そんな喫茶店黄金期もみなさんご存じの通り、徐々に衰退、今でも頑張っている店も何店も在るには在りますが、開店した時代の古かった純喫茶は、フィズやポンチや蟹サラダといった余り注文の来なくなったメニューは排除してゆき、それでもその他の理由も加わり存続が難しくなり、現在では絶滅危惧状態となりつつあります。

目の前の父のジンフィズの真っ赤な缶詰めチェリーも 淡い緑のキャベツに赤白だんだらの蟹の身のコントラストも チューリップ型の大ぶりのグラスのグリーンのソーダ水の中から掬いあげたキューブ状のフルーツも、もはや過去完了、、、
喫茶店マニアとして歩み始める前身が純喫茶だった私・ぼんぼちにとっては、一抹もニ抹も寂しさを覚えずにはおれないものがあります。

20200323_174109.jpg

nice!(232)  コメント(72) 
共通テーマ:映画