我が街の負のランドマークおじさん [独り言]

私が住む街の駅付近には、三日に一度とおかずに「負のランドマーク」と言えるおじさんがいる。

おじさんは、六十代くらいで、白髪混じりの長めの髪を後ろでキリリと結わえ アースカラーのストリート系ファッションに つばのついた帽子でキメた 一見洒落者で、見るからに人の良さそうな顔立ちをしている。
そして必ず、缶チューハイを片手に サイコーにゴキゲンな様子で「○○はなあ!○○だからなあ!○○なんだよ〜!」と 大声で独白している。
ーーーそう、明らかに アルコール中毒患者である。

20200228_194906.jpgおじさんを最初に見たのは、もう何年も前、プラットフォームの真下に在る西友だった。
西友の食品売り場の中で、やはり缶チューハイを片手に「○○はなあ!○○だからなあ!」を響き渡らせていた。
それを何度となく見かけていたが、さすがに西友も迷惑だったのに違いなく、ベテラン警備員のおばさんに ズボンのベルトの後ろ側を掴まれ、まさに「つまみ出される」といった形容がぴったりの様子で、店外に連れ出されるのを三回見た。
三回ともおじさんは、自分がつまみ出されつつある自覚などみじんもないらしく、ゴキゲンに「○○はなあ!」と 後ろ向きに歩を運びつつ延々と独白していた。

いつしか、西友からは見かけなくなった。
おそらく店側で、出入り禁止としたのだろう。

と、今度は、改札口の向かい側に在るKINOKUNIYAの表の 採れたて野菜や花を売っている場所で、店員さんに「○○はなあ!○○だよなあ!」と話しかけるようになっていた。
若い女性店員さんは困った顔をしてうつむいていたが、そんな表情など目にも入らないといった様で、ゴキゲンに「○○だよなあ!」を続けていた。

しばらくそれを繰り返していたが、いつしかKINOKUNIYA前からもいなくなった。
やはり店長に「ここには来ないで下さい!」と厳重注意をされたのだろう。

20200228_194948.jpgそして最近は、南口のパチンコ屋の脇の自販機の前か ガード下のペットボトルのソフトドリンクスを積んだトラックの停まる辺りにいるようになった。
でもって、自販機前でコーヒーをすすってくつろいでいる数人の若者や トラックの中で待機をしている運転手さんに「○○だよなあ!」をやり、若者達や運転手さんに「あー、ハイハイハイハイ、そっすねー」と苦笑されていた。

「今日はいなかったな」とプラットフォームに上がると、ホームの下から「○○だよなあ〜!」がうわんうわんと反響してくる事もあった。

がーーー
ここ三週間ばかり、おじさんを何処にも見かけなくなった。声も聞こえなくなった。
ご家族の方にその方面の病院に入院させられたのだろうか? 身体の方もイカれてしまったのだろうか? はたまた、ふらふらと車道に出て事故に合ってしまったのか、、、???

おじさんがいた時は「我が愛する街の恥は自分の恥」という気持ちがあり、かなり恥ずかしいものがあったが、いなくなったらいなくなったで 一抹の寂しさが残る。

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