三島由紀夫の自決の真相についての主観的な見解と感情 [感想文]

古書店街を歩くと、カフカと並んで三島由紀夫の研究書が溢れているのが、いやがおうにも目に留まる。
手に取りパラリパラリとやると、内容は、彼の自決の真相を追究したものが圧倒的に多いことが判る。
それだけ彼の自決は、いまだにあれこれと憶測が飛び交い、まるで理解不能だと首をひねったり 気が狂ったのではないかと結論づける知識人も少なくないようである。

しかしーーー
私は、三島が死を選んだ本当の理由が明確に理解が出来るし、そういう行為に及ばずにおれなかった気持ちも痛いくらいに解る。

彼は、表向きは、国を憂いて云々 大義が云々、、、と熱弁していたが、あれは、最も格好良く 称賛を浴びつつ命を了えるための理由付けであったと思う。三島ならではの、ええかっこしいのパフォーマンスであったと思う。

薔薇.JPG本心から皆に解ってほしかったら、一体全体何故、芝居の演出まで手掛けた人間が、市ヶ谷駐屯地で、垂れ幕にチマチマとした小さくて読めない字で訴え文を書き 性能の良いマイクを使わずに届かぬ声を張り上げたのだろう?
あれは、読めてしまっては 聴き取れてしまっては いけなかったのである。
皆が納得して「そうだ!三島の説く通りだ!おー!」となってはいけなかったのである。
つまり、全ては、三島が自身のために書き上げた脚本通りに事が運んでくれたのである。
彼は、その計画が見破られないために、何年も前から周到に、裏付けとなる言動をし 予算も貯めていたのである。

本当の理由はーーー
せっかく多大な努力で手に入れた肉体美が老いによって失われてしまう恐怖と あらゆるテーマであらゆるシノプシスで余りにも幾多の作品を生み出し続けたことで自身の頭蓋が涸れてしまったことである。

元々美しい人なら 老いによる美しさの消失を受け入れられるかも知れないが、三島は、陽の当たらない屋根裏部屋で育ったエノキダケのような貧弱な容姿だった。
その頃のコンプレックス・屈辱感は、尋常ならざるものがあったと察する。
そして、血反吐を吐くほどの努力により、筋肉隆々の肉体美を我が物とするや、胸元を開けたシャツに金のペンダントといったファッションには留まらず、浅草マルベル堂でプロマイドを作ったり 細江英公に薔薇1.JPG写真集「薔薇刑」を撮ってもらったりと、美しさの天国を 花畑を駆け巡るが如くに満喫するのである。
それが「老い」という どうにもならない理由で失われ、肉体美天国の甘露に浸れなくなるのは、彼にとって「死んだほうがよっぽどマシ」なほどの恐怖だったのである。

頭蓋が涸れてしまうことも同様に、彼にとっては「死んだほうがよっぽどマシ」な地獄への転落なわけである。
安部公房氏は見抜いていた側の一人で「彼は書きたいことがなくなってしまったんだよ。作家にとって書くことがなくなるほど辛いことはないからね」と 話している。

多くの反論を百も承知の上で、あくまで私個人の主観的感情を述べさせていただくとーーー
三島の自死は、決して不幸な死ではなかったと思う。
醜く老いた肉体や 書くことがなくなった元作家でいながら生きながらえるより よほど幸せだったのだから。
私は自死というものが全て 不幸のどん底の果てのものだとは限らないと考えている。
三島の母上も、彼の死を知った時、冷静にこう発したという。
「あの子はやりたいことをやったんですよ」ーーーと。


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風太郎

事件を知ったのは、市ヶ谷駐屯地(現防衛省)の近くを、自衛隊を除隊したばかりの部下と車の中でニュースを聞きました。
部下は後日「上官の命令ならばわかるけど、なぜ三島の『集合』命令で集まらなければならないだよ」と、不平をこぼしている隊員(友達)がいた話をしてくれました。
by 風太郎 (2019-07-24 06:20) 

taku1_lily

元自衛官の叔父さん(故人)から聞いた話
三島さんが檄を飛ばす場に居合わせた叔父さんは上官から「野次れ、野次れ」と命令され、声を涸らして叫んだそうです。
美声とは言えない声で叫ぶ三島さんの檄
確かに何言ってんだか分かりません。
「聞き取れてしまってはいけなかった」
成程です。
by taku1_lily (2019-07-24 09:22) 

わたし

あまり詳しくありませんが、衝撃的な事件だったことは事実です。
ぼんぼちさんの見解も衝撃的です。
悪い意味ではないですよ、その観点はすごいです。
by わたし (2019-07-24 10:02) 

きよたん

言えてますね よく解ります。
三島美学を貫いたのでしょうね
by きよたん (2019-07-24 10:04) 

ファルコ84

普通だと思っている私にはなかなか理解が出来ません
しかし、人はそれ様々です
三島の生きざまは、それが最高だったんですね。
by ファルコ84 (2019-07-24 11:26) 

Rchoose19

「綺麗な人は可愛そうだね。綺麗じゃなくなった時に生きられないもの」
と昔々、詩を書いていたころに思ったことがありますよ。
美しいだけが取り柄の人は美しさに陰りが見え始めた時に
生きる希望が無くなるんだって思っていましたよ。
ええ、今でもそう思っています。
by Rchoose19 (2019-07-24 12:47) 

斗夢

三島由紀夫の小説は読まなければならないという強迫観念に
囚われていました。読んでも何も理解できなかったのに。
人間は年相応に老いていくもので、その中で生きがいを見つけるものでしょう。
それが理解し実行できないのは、やはり脳みそが壊れていたのでしょう。
by 斗夢 (2019-07-24 12:53) 

Boss365

こんにちは。
「三島由紀夫の自決の真相」難しいですね・・・。
諸説色々あり、不明なのが魅力になっています。
市ヶ谷駐屯地で心神喪失に似た状態だったと勝手に推測?
死の恐怖と戦って命を失ったと想像です!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2019-07-24 13:18) 

ピストン

私が文学から一番影響を受けたのが三島由紀夫でした。
彼の文章は他の作家とまったく違います。「美」です。
一行一行が美しい。
最近は純文学を喉から手が出るほど欲しがる世相ではなくなりつつあるのが寂しいです。

by ピストン (2019-07-24 14:11) 

ackylacky

世間というのはよほど謎が好きなようです。
一般的でない理由の殺人事件が起こると、ワイドショーでは謎だ謎だと言い続けます。
犯人が犯行理由を述べても、「理解できない!謎だ‼?」
と視聴率が取れる限り言い続けます。

自殺願望はそれほど珍しい心理ではないし、三島の作品を読めばそれが強かったことは明白なのに、それには気付かないふりをして売れそうな本を書く人が多いのでしょう。

by ackylacky (2019-07-24 15:07) 

Take-Zee

高校時代だったかな・・
衝撃的な出来事でしたね。

by Take-Zee (2019-07-24 16:06) 

とし@黒猫

大局的に見て老いて死を待つのみと悟ると、居ても立っても居られないという闇に心が囚われたようにも思えます。
by とし@黒猫 (2019-07-24 16:09) 

garden

今まで、彼の死の理由を考えたことがなかった。
書くことが亡くなって、老いへの恐怖・・・。
私などは、ぶよぶよの脂肪と一緒に
ぼぉ~っと生きています。
by garden (2019-07-24 16:38) 

g_g

仙台から東京に転勤して間もなくの事だったと記憶してますが
何故自殺をしなければいけなかったのか!諸説あるようですが
よく分かりませんでした。今日はほぼ納得出来た気がします。
by g_g (2019-07-24 17:31) 

れもん

三島文学のファンでした。ぼんぼちさんの説わかります。あの時の演説を録音したソノシート今ももっています。
by れもん (2019-07-24 17:56) 

hirometai

ぼんぼちぼちぼち様
うーん
ニュースを知った時は、会社の駐車場でした。
余りのショックで動けませんでした。
ぼんぼちさんのおっしゃる事、思いもしませんでした。
数年前の母の会の視察で、市ヶ谷の自決した会議室を見たときに戦慄を覚えました。
by hirometai (2019-07-24 18:02) 

アニマルボイス

三島個人に関心はなかった私にとって、「豊饒の海」はどうなるのかということばかりが気になっていました。「天人五衰」の連載は「新潮」で始まっていましたので、果してラストまできちんと書いてから決行に及んだのかどうか・・・。
(私の怪しげな記憶では)翌年の掲載で完結はしたのですが(書き終え決行に向かった!)、さて、作品としての出来映えはどうだったのか。文学者・三島は満足していなかったのではないかと私は思うのですが。
by アニマルボイス (2019-07-24 18:22) 

横 濱男

この事件は、ビックリしましたね。
どんな理由があっても、
死んで花実が咲くものか・・・と、当時は、そう思った次第です。
by 横 濱男 (2019-07-24 19:20) 

johncomeback

三島由紀夫が自決したのは僕が小六の時でした。
週刊誌に三島の生首の写真が載っていて衝撃を受けました。
ぼんぼちぼちぼち さんの説は的を得ているような気がします。

by johncomeback (2019-07-24 19:27) 

センニン

今晩は。
そのニュースは中学生だった私も鮮明に記憶しています。
「檄」と題した文章でした。
新聞をそれまで取っていた地方紙から三大紙のひとつに変えた最初の紙面がそれでした。
まるで衛星中継で最初に流れたのがケネディ暗殺のニュースだったような衝撃でした。

by センニン (2019-07-24 19:36) 

sigedonn

ほぼ同感いたします。
高3でした。昼休み、校内放送で速報を流した学友。
あいつ今どうしてる??
by sigedonn (2019-07-24 21:24) 

ニッキー

三島由紀夫 自決の謎はきっといつまでも
色んな意見があって論争を呼ぶんでしょうねぇ(*_*)

by ニッキー (2019-07-24 21:34) 

裕々

ぼんぼちさんの説には大いに頷けるものがありますね。
だって、おっしゃるように「憂国」が目的なら、あんなことをすればかえって逆効果であることは火を見るより明らかですから。
頭の良い三島がそんなこともわからない筈がないと思います。
by 裕々 (2019-07-24 21:39) 

美美

自殺というより自決という言葉が頭に残っています。
とても衝撃的な方法での自殺に脅威を感じました。
by 美美 (2019-07-24 21:48) 

ゆうみ

とても衝撃的覚えています。
by ゆうみ (2019-07-24 22:49) 

coco030705

こんばんは。
三島の小説は、一時期よく読みました。好きな作家です。でも彼の死に方はいまだに理解できていません。ものすごく純粋な人だったのかなと思って、自分を納得させていたのです。
ぼんぼちぼちぼちさんの解釈はすごいですね。作品から推しはかるとそうかもしれないとも思います。「自死というものが全て 不幸のどん底の果てのものだとは限らないと考えている」なるほど。そうですね、早逝もそうなのかもと思います。
私はQueenのフレディ・マーキュリーのファンなのですが、なぜあの才能ある人が早く逝ってしまったのか。それは、彼が、年老いて歌えなくなることを避けるための、大いなるものの愛情?なのかなとも思います。

by coco030705 (2019-07-24 23:13) 

テリー

私は、三島由紀夫の作品が好きで、よく、読んでいました。
彼の自決は、衝撃でした。理由は、永遠にわかりませんね。
by テリー (2019-07-24 23:50) 

猫の友 メルティー

三島由紀夫に憧れていた友人が、昔、自ら死を選びました。
私宛遺書のサインは平岡名でした。

三島由紀夫が憂い(文書、演説上の)は現実の世界に。
「決起せよ」が耳に。
by 猫の友 メルティー (2019-07-24 23:53) 

sana

三島由紀夫の自決、あのときの字は読めてしまってはいけなかった‥
なるほど、そこまでは考えませんでした。
最初は頭がおかしくなったのか?という疑問も覚えるぐらい衝撃でした。でも写真集や発言や書き尽くしたほどの量の作品を思うと‥
美学を貫いたのだろうとは思っていました。
憂国の志は彼なりには真剣だったでしょうが、生きて世界を動かしたり日本を守る働きかけには向かなかった。
同志とともにあって至福の最期だったのかも‥
by sana (2019-07-25 01:13) 

大学生

三島は、どこかで、日本社会に楔を打ち込まねばならないといった事を書いていたように思います。

だから自決という手段で、自らの美学を成就させつつそれを実行したんでしょう。

但し、いったいどこまでが美学の為で、いったいどこまでが憂国の想いからだったのか、それは誰にも分からないことです。恐らく三島自身にも。

憂国の想いの為に、自決という手段で社会に楔を打ち込もうと想いながら、それを美学の為に利用しようとしている自分自身の姿を三島は自覚していただろうから。
僕が想像するに、自分の憂国の想いは嘘なのではないかという葛藤はきっとあったはずです。
その上で決行した行動を、一面的な見方に限定する必要があるのかなと思います。

ただ、50年経ってもこの事件が話題に昇ることからも、三島の思惑通り社会に楔を打ち込むことに成功したのは明らかですね。
俺の思い通りになったと、あの世でほくそ笑んでることでしょう。
by 大学生 (2019-07-25 03:06) 

ヤマカゼ

感性の鋭いぼんぼんちぼちぼち様のどうさつですね。
当時は衝撃的なニュースでした。
by ヤマカゼ (2019-07-25 06:06) 

kiki

私が知っている手話では、
古いと汚いが一緒だったような。
老いていく自分と対峙するということは、
面白くもあり、切なくもあります。

by kiki (2019-07-25 07:51) 

ぶーけ

深いですね。
息子の自殺を知ったお母さまの一言に一番感心しました。
さすが三島の母、です。
by ぶーけ (2019-07-25 12:33) 

ぼんぼちぼちぼち

みなさん

今回の記事、関心を示してくださるかたは少ないだろうと予測していたのでやすが、予測以上にたくさんの反応をいただけて小さく驚いてやす。

今回記事にしたことは、決して「何が何でも私の説いてる説が正しいんです!みなさんも信じてください!」と訴えているわけではなく、あくまで私個人はこれが理由に違いないと考えてますよ、という一個人の見解なので、同意見のかたの書き込みのみならず、みなさん、それぞれに思うところを聞かせていただけると嬉しゅうございやす。

あの事件をリアルタイムでご存知のかた、多いのでやすね。
特に、身近なかたに自衛隊関係者がおられたかたのコメント、貴重なお話として読ませていただきやした。ありがとうございやす。

あっしは、事件当時はまだ小さくてほとんど記憶にもなかった年齢だったので、大人になってから書物で、そしてネット時代になってからはネットであれこれ調べやした。
ネットにも、生首出てやすね。週刊誌にも出ていたのでやすね。
それで、たくさんの情報を掻き集め、結果、彼の死はこうだったに違いないという見解に辿り着いたのでやす。

「謎だ謎だと書くと本が売れるから」そういう理由で、自身の金儲けのためや名を売るためや、あるいは「こういう見解の内容の本を書いてくださいよ。間違いなく売れますから」と出版社に話を持ち掛けられて書かれた研究書、あっしも幾多あると思いやす。
記事本文ではそこまで踏み込んで書きやせんでやしたが。

彼の作品や言動の点と点を線で結ぶと、あっしは今回の見解に辿り着いたわけでやすが、別に「ほら!目からウロコでしよ?新説でしょ?」と言っているわけではなく、安部公房氏のように、こういう見解の人は以前から少なからずいたわけで
でも、世間って、謎だ謎だと言い続けたい風潮があるんでやすよね。

年相応に老いてそれに相応しい生き方を見出すのが正常な人間で、それができない人間が狂っているとしたら、三島は狂っていたし、その気持ちが痛いほど解るあっしも狂っている ということになりやすね。

どういう形で命を了えたいか、は、人それぞれ様々であって良いのではないのでしょうか?
生きる権利があるのと同じく 死ぬ権利もあるとあっしは考えていやす。

病院でたくさんの管につながれて意識朦朧とした状態で100まで生きるより、美味しいものを食べ 自分の足で歩けるうちに80で死んだほうがずっとマシ、と考えておられるかたは少なくないとお察ししやす。
その人の価値基準が「美しさ」や「作品を生み出す能力」だったとしてもいいでしょう、とあっしは思うのでやす。

人間、生まれることに関しては、何一つとして選べない、国も 時代も 家柄も 性別も 親も。
だから、死ぬ時は、自分の決めた死に方を選んでもいいんじゃないですか?と思うのでやす。

by ぼんぼちぼちぼち (2019-07-25 12:50) 

sasanono

私も、三島は「自己陶酔型」の自殺だと思っています。
若さ, 美, 才能,... 他者から持て囃されなくなる惨めさを
想像するに堪え難く、その想いを悟られぬよう
小説のような「死」の演出をしたのだろうと思っています。
強い自己愛は、自らの小説との相乗効果で更に強められ
周囲の者を巻き込み、導くまでの威力をもった ...
一種の宗教のような印象を受けました。
by sasanono (2019-07-25 13:37) 

カトリーヌ

三島さんは私が生まれる前にお亡くなりに
なっていたので、作家であることしか知らず。
あの演説シーンはTVで何度か見ましたが
作家であるはずの方がなぜあのようなカッコで
自決したのか不思議に思っていました。
ぼんぼちさんの見解を拝読して、興味を持って
しまってwikiなどで調べてみました^^
本も読んでみようかなと思います。
by カトリーヌ (2019-07-25 15:07) 

拳客の奥様

子供の頃の、衝撃的なニュースと記憶しています。
自らの死を演出したという事かと…
by 拳客の奥様 (2019-07-25 17:05) 

rannyan

彼の美意識から選んだ死であることは多分間違いない気がします
本人に聞いたわけではないけれど^^;
そして太宰や芥川みたいじゃなくて、ああして死にたかったのでは
という気がします
人生を色々と考える時期と重なり、かなりの衝撃でした
by rannyan (2019-07-25 19:00) 

足立sunny

普通に自分は死ぬのが怖いので、これだけ人に印象付けて自殺できるというのはある種の才能なんでしょうと。
by 足立sunny (2019-07-25 20:14) 

森田惠子

三島由紀夫の自死をなんとなく身近に感じています。
理由の一つは、市川の駐屯地が元陸軍省のあった地で私の母は陸軍省に勤めていたから、なんとなく身近。
三島由紀夫の死に衝撃を受けてオロオロしていた当時の私の周りにいた大人たちは喧々諤々だったけれど、なんとなくいいかっこしぃだったのでは?と私は感じて遠い存在と思わなかったのです。
by 森田惠子 (2019-07-25 20:16) 

そらへい

太宰治の心中と同じだと思います。
あの死に方が彼にとっての美学だったのだと思います。
by そらへい (2019-07-25 21:16) 

kenji-s

徴兵検査で不合格となった時から三島は英雄としての死を
渇望するようになった。
戦争で死ぬことが許されず、川端康成が自殺し取り残され、さらには太宰を嫌っていたというが本質的には同類ではなかったか。
昇る日輪を仰ぎながら鍛え上げられた美しい肉体を持った英雄が白刃を自ら突き立て美しく死んでいく、この一点のためだけに彼の人生は織り上げられてきたのだと思う。

by kenji-s (2019-07-25 21:49) 

サンフランシスコ人

ブラジルで、2018年8月に、三島由紀夫の文化イベントを開催したのです....

http://www.nikkeyshimbun.jp/2018/180808-74colonia.html

『三島由紀夫再発見』
by サンフランシスコ人 (2019-07-26 01:32) 

なかちゃん

そうだったんだ。
母親の言葉も深いですね。
ここに書かれた全てのことが新発見でした(^^;

by なかちゃん (2019-07-26 06:21) 

ともち

難しい話で、正直私には理解が( ̄▽ ̄;)

コメントありがとうございます。
確かに、お皿に書かれた文字、きれいですね。
デザートに気を取られ、気付きませんでした。。。
by ともち (2019-07-26 08:45) 

ぼんぼちぼちぼち

みなさん

様々なお考え・情報をありがとうございやす。
やはり、世界的に知名度のある日本の作家というと、川端康成 安部公房 そして三島となるのでやしょうね。
三島は、自決の方法も 海外のかたがたの興味を惹く大きな理由となったのでやしょうね。

そう、あっしも彼は人一倍自己愛が強い人間だったと思いやすよ。
家庭というのは小さな国家なわけでやすが、どうして家庭を守り成立させようと思わない人間が、国家を立て直そうと心底思うのか?と。
まあ、そもそもあの結婚自体が、偽装だったと思いやすしね。

徴兵検査で、結果的には不合格となってしまったことは、彼にとって非常に大きな出来事だったことは否めないと思いやす。
で、あっしはあのことは、彼のうちで 貧弱な容姿のコンプレックスが他者の判断にもより決定的になった、だからこのコンプレックスを何が何でも払拭してやるぞ!という大きな決意になったと読んでいやす。

そして、作品やインタビューなどで日本を憂いているのは、そういう発言をするのが最もカッコイイと彼が判断したから。

みなさんは、映画「憂国」をご覧になったことはおありでやすか?
彼の同名小説を脚本に起こし、彼自身が主演をつとめて演じ切った短編映画でやす。
全体的には、様式美といったマチエールで創られているんでやすが、自決シーンだけが常軌を逸してリアルなんでやす。
そこだけ調子が外れてバランスに欠けるんでやすが、彼はどうしてもリアルにやらねば気が済まなかったんだろうな、、、と察しやす。
プレ自決でやすね。
あの時の三島、気持ち良かったでやしょうね〜
まさに自己陶酔の義死、、、そして、その後の本当の死も自己陶酔大全開。

太宰の死も、仰るとおり、一見 対極にあるように見えやすが、自己陶酔の死という点では同じだと思いやすね。
何に陶酔の対象が向くかの違いだけであって。

太宰は「自分は最もみっともない死に方をしたい」と切望していたようで、太宰にとってはみっともない死に方をすることが、彼の中での最高のカタルシスだったんでやすよね。
だから、両者とも、死に方は、それぞれの思うところの理想の理由付け。

ちなみに、川端の死は、あっしは三島に対する申し訳なさの死だと解釈してやす。
晩年の大傑作「眠れる美女」は、実は三島が川端のふりをして書きあげたもので、川端はその申し訳なさに耐えられなかった、と。

以上、全て主観的見解でやすが。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-07-26 12:39) 

okko

深く彼の気持ちを書き上げておられますね。
感服しました。三島自体にあまり興味がなかったからかもしれません。目立ちたがりやさん、憂国の士であっても、あそこまでやるのは、如何なものか、そんな風に単純にかんがえておりました。
ぼんちさん、凄いです!!
by okko (2019-07-26 16:29) 

ぼんぼちぼちぼち

okkoさん

いえ、こう分析しているのはあっしだけでなく、すでに多くの知識人が書物やネットで書かれてやすよ。
コメント欄にも「私も同じに思ってました」というかた 幾人もおられやしたし。
で、今回あえてこの事を記事にしたのは、あっしは最近つくづく三島の気持ちが解るし
自死の中には、幸せな自死もあるんですよ、ということを言いたかったからでやす。
三島を離れて、自死に関するテーマで、近いうちに一記事書くかも知れやせん。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-07-27 11:08) 

MASARU

「さようなら!高円寺・オービス!!」の記事にコメントさせて頂いたmasaruです。
御無沙汰です。
三島由紀夫と聞くと真っ先に思い浮かぶのはやはり市ヶ谷駐屯地のバルコニーでの演説する姿と『楯の会』の派手な、あのカッコイイ制服ですね。
高円寺オービスでポール・シュレイダー監督『MISHIMA』をレンタルして見ました。
劇中劇で「本物の肉体があるんだらロダンだのミケランジェロだのが作る彫刻何て価値はない。つまり芸術何ていらないんだ」と説くボディビルダー(倉田保昭)に対して画家(横尾忠則)が「ならその芸術である己の美しい肉体が老いさらばえるのはそれを作った人間としてどう責任をとるんですか。一番美しい時に死んでしまうしかない」と言う場面があるのですが、やはり一番美しい時に、更には日本中を巻き込んだ「舞台」で死にたかったのかなと。
スタジオボイス・三島由紀夫特集号で色んな方が三島の市ヶ谷駐屯地での決起と死について語ってるのですが『孤独のグルメ』の久住昌之さんは「自分は禿げてく人間なので」と前置きして「禿げの三島は耐えられなかったのでは」と「ハゲ説」を主張してましたが·····
荒俣宏『帝都物語』では総監室で魔人・加藤保憲と妖刀・関孫六で戦ったり、更には冥府に居る加藤の本体を倒すべく「生きながらあの世に行く」為に切腹した事になってました。
ps
ぼちぼちさんは男性だとばかり思ってたのですが、御写真拝見したら何と素敵でお美しい女性な事か!と驚きました。
更にps
タコシェ、東京旅行の際はほぼ中野ブロードウェイに行くのですが今も絶賛営業中ですね。
中野ブロードウェイも昔からのマニアックな店が次々と閉店して行き寂しい限りですがタコシェはずっとあすこに在りつづけて欲しいです。
それでは<(_ _)>
by MASARU (2019-07-28 16:32) 

yokomi

 末尾から3行目。自死、その通りですね(-_-) 歳を取っても、そんな選択肢をポケットに入れていたいですが...(>_<)
by yokomi (2019-07-28 21:26) 

ぼんぼちぼちぼち

masaruさん

おぉ!あの時コメントくださったmasaruさんでやすか!
再訪 大変嬉しゅうございやす。

仰るとおり、三島は、一番美しいときに一番日本中の注目を浴びる形で命を了えたかったのだと思いやす。
久住さん説、あっしは女だからか、そこ、気がつきやせんでやした。
確かに自身が禿げてゆくことにも 彼は耐えられなかったでやしょうね。

本物の生きているものの美しさにはどんな造形物(芸術)もかなわない、、、一見、大きな説得力がありそうでやすが、生きている限り「永遠」ではないんでやすよね。

あっしは若かった頃、家庭の事情で画家をやっていたのでやすが、
花の画がよく売れるから花をモチーフに選ぶことが多かったんでやす。
で、実物の花を前にすると「実物と肩を並べるほどに美しくなんて描けない。自然の作った美に人工の美など叶う筈がない」と、花を描く事の無意義さを感じていたのでやすが、画商に「実物は実物、作品は作品。作品を求めてくれるお客さんがいるんだから、そこに躊躇することないじゃない」と言われたことがありやす。
その時は、花の美しさは永遠ではない ということに、目の前で枯れてゆくのを見ても気づきやせんでやしたが、、、

そう、生きているものの美を美のまま完結させてしまうには、死しかないんでやすよね。

映画「MISHIMA」まだ観ていないので、これからチャンスに恵まれたら観てみようと思いやす。
オービスがあったうちに観ておけば良かったなあ、、、

それにしても、中野ブロードウェイ、いい店が次々となくなってゆき、セルアニメーションファンの聖地になりつつありやすね。
レコミンツも3年くらい前にまさかの閉店をしてしまいやしたね。

あっしの容姿をお誉めくださり恐縮でやす。
あっしは10代20代の頃 とても醜くコンプレックスの塊で、並々ならぬ努力の末に今の顔になったので、容姿を誉めていただけることは何よりも嬉しゅうございやす。
だから、三島の美への執着というのも、強く共感できるものがありやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-07-29 12:17) 

ぼんぼちぼちぼち

yokomiさん

自死というものを全否定する人というのは少なくないわけでやすが、
自分の命なのだし、死より辛い生というものもゴマンとあるわけだし
自分の死を自ら 計画・決行するのも、ひとつの選択肢としてあっていいと、あっしは考えてやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-07-29 12:33) 

Ginger

確かに・・・美輪センセは己の顔にシワを刻むこと、生き続けることを選んでますね・・・どちらの美意識も本当にピュアだから・・・。
by Ginger (2019-07-29 13:12) 

ぼんぼちぼちぼち

Gingerさん

美輪さん、そうでやすね、生き続けるほうを選ばれてやすね。
今も、三島の近代能楽集の演目を演られているようでやすね。
あっしは20年くらい前に「卒塔婆小町」と「葵の上」を観に行ったことがありやす。
美輪さんが着けられていた宝石、ホンモノでそれはそれは豪華でやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-07-29 14:29) 

森田惠子

自決する数日前にご自宅で『憂国』を上映し、三島由紀夫は数人と一緒に『憂国』を見ているそうです。
その時、わざわざ、自宅に映写技師を呼んで映写させているのは、あまり知られてない事実です。
版権は本人が持っていたそうです。
その映写をされた方のお話では三島由紀夫は淡々としていたそうです。
by 森田惠子 (2019-07-29 21:35) 

ぼんぼちぼちぼち

森田恵子さん

おぉ〜貴重な情報をありがとうございやす!
うん、彼が淡々としていた、、、納得でやすね。
自分は数日後にこれと同じことを現実に決行するのだ、と己の内にに言いながら観ていたのでやしょうね。

彼の死後、版権は奥様に渡り、奥様はご自身が生きている間中、上映を拒否し続けていたそうでやすね。
で、奥様が亡くなって、部屋の茶箱から状態の良いフィルムが出てきて、子供さんが上映を許可したので、三島特集上映やDVDになったという流れのようでやすね。
あっしは特集上映でスクリーンでもまたDVDでも観やしたが、
いやはや、自決シーンだけ超リアリズムで苦笑してしまいやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-07-30 13:57) 

nachic

当時は著書を読んだことも無く、ただの目立ちたがりの印象で興味もなかったのですが、随分経って、手に取ってから、なんと美しい文章を書く人だ、一行一行が光っている!こんなものを書く人が日本にいたのかと感心したものです。枯れていく自分が許せなかったというのも分かる気がする。若い時は、どうやって死んだら一番汚いかとか衝撃的かとか考え続けたり、面白がってたこともありますし、そういう流行りは一部にあったかも。ただ、自死は、親族に持つ身として、肯定するつもりはありません。
by nachic (2019-08-08 22:33) 

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