かんちがいな絵の生徒 [画家時代]

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長くこのブログを閲覧くださっているかたは既にご存じのことと思いますが、私・ぼんぼちは、18才から26才まで 母親を養うために画家をやっていました。
プロの画家をやっていると、個展での売上げ状況や受賞歴などを見て、「ぼんぼち先生の弟子になりたいんです。 教えてください!」 という人が幾人も来ました。
月謝は収入になるので、したがって 毎日曜日の1時から4時までは生徒を自宅に寄せて 絵を教えていました。
生徒はあくまで遊びで習うのですから、「趣味」というスタンスを越境しない領域で、「あらぁ! いいですねぇ!」「ここは ちょっとこうしたほうが、もっと良くなりますよ!」 と、上達することより、「わぁ!楽しい!」「まぁ!綺麗!」 と喜んでもらえることを一にも二にも念頭に置いて指導していました。

すると、生徒の中に、稀に必ず こういう人が出現するのでした。
「アタシ、ぼんぼち先生のようなプロの絵描きさんになりたいんです」
そういう人は例外なく 子供が社会人になったくらいの年齢の ちょっと経済的に余裕のある専業主婦でした。
私は内心、「随分 思いきった人生の転身に踏み切る決意をしたものだなぁ。 のみならず御主人も、心の広い 理解のあるかただなぁ」 と驚きつつ、
「では貴女には、プロの画家になるためのカリキュラムを組みますね。 今、他の生徒さん達はお花やフルーツを描いていますが、貴女は石膏デッサンをしてください。ウチに石膏像は何体もありますから。 お宅でも石膏像を購入してください。 それで毎日5時間はデッサンをし、ここに来た時に見せてください。講評します。 それから、美術理論と美術解剖学と西洋及び東洋美術史の本をお貸ししますので、十二分に読みこんで 頭に叩き込んでください。 石膏デッサンは、2000枚くらい描くと 大抵の人は基礎を習得できるレベルまで到達しますから、先ず2000枚描いてください。 それが、プロの画家を目指すための いろはの「い」です。」
と、サラッと返すと
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「えぇっ!? ここのお教室以外でも 家でも描くんですか?? アタシ、家事もあるし、主人のお世話もしなければならないし、息子もしばしば遊びに来るし、お友達とのお付き合いもあるので、家で描いたり本を読んだりする時間はとてもありません!」
と、驚いた顔をする。
「では貴女は、週に3時間 教室で描くだけでプロの画家になれるというおつもりだったのですか? 貴女はご自分を天才だと思っておられるのですか?」
と、疑問を向けると
「いいえーーっ! 天才だなんて思ってませんっ!・・・・・・・・だって、ぼんぼち先生は、そんなにお若いのにプロの絵描きさんになれていらっしゃるから・・・・・・・・・」
「私は美術中学校の学生だった時に 何の努力もしないで学年で一番だったんです。 美術高校に進んだら 親友も作らずに 学友達が遊んでいる時間に学友達の何倍も自主勉強をしていたんです。 公募展では、受賞しやすい方向性の作品を狙って描いて受賞を重ねて 値の付く画歴を作って画商に見初めさせたんです。 画商が付いてからは 次から次へと注文が来るので、毎日18時間仕事をこなしていますよ。徹夜仕事もしょっちゅうです。 それも注文通りの作品を描かないと売れませんから 自分の描きたいものなんて一つも描けませんよ。 プロの絵描きになるということは こういうことですよ。」
と答えると、驚愕し
「・・・・・・・・・・・・・・そうだったんですか」
と、うなだれ
「アタシ、やっぱり 今まで通り 皆さんと一緒に趣味がいいです・・・・・・・」
と、シュンとしぼむのでした。

私が画家になったのは、「母親を養わなければならなかった」 ただそれだけの理由でした。
養ってくれる御主人がいるのなら わざわざ人生の全てを犠牲にしなければならないプロの画家なんぞにならずに、趣味で、楽しく、描きたいものを描きたい時だけに描いていればいいじゃないか、そっちのほうが絶対的に幸せじゃないか、と思うのでした。

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タグ:絵描き 画家
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ぽちの輔

プロの道は厳しいですね^^;
by ぽちの輔 (2018-12-12 06:22) 

風太郎

画商が認める作品を描くことにより、画家として認められ「値」がついていく。
のど自慢大会で合格したら「歌手」に慣れると勘違いしている人も同じで、趣味と飯の種には格段の差がある。
by 風太郎 (2018-12-12 06:31) 

ニッキー

才能がある方でも努力してるのに
片手間でプロになるのは無理ですよねぇ(*_*)
by ニッキー (2018-12-12 07:27) 

英ちゃん

どんなプロでも人の何倍も努力しないとなれないよね(゚□゚)
天才と言われてる人だって影で努力してると思うしね。

by 英ちゃん (2018-12-12 07:40) 

ワンモア

イチローの「僕は天才じゃないですよ。だってどうしてヒットを打てるか説明できるから」という言葉を思い出しました。
by ワンモア (2018-12-12 08:46) 

りみこ

本当に厳しい世界ですねー
なりたいからなる!ためには必ず努力が必要でしょうし、仕事としてそれをこなすのには時間が必要になりますよねー
好きな時に好きなように好きなだけでは、遊びでしょうから。
お見舞い、ありがとうございました!
by りみこ (2018-12-12 09:40) 

kiki

若いぼんぼちぼちぼちさんを見て、簡単だと思ったのは浅い人ですね。
そして努力をしないでプロになろうとは甘い人です。
知り合いに大学で美術を教えている人がいました。
飄々とした人でしたが、見えない努力を重ねていたのでしょうね。
by kiki (2018-12-12 10:06) 

裕々

世にあまたの画家がいる中で、その中で自分の絵を売って食っていける人はごくわずか。
才能+努力があっても、昔と違って今は絵の上手な人は掃いて捨てるほどいて、絵が高く売れるには画家自身や周りのプロモーション力が大事と言われています。
やはり楽しんで絵を描くなんてのはプロではなかなか望めないことですね。
by 裕々 (2018-12-12 10:10) 

斗夢

親戚に画家がいました。が、絵に繋がって行きていましたから
一応、画家といいますが、癖のある人で付き合いづらく何年か前
親戚付き合いをしなくなりました。
by 斗夢 (2018-12-12 10:12) 

まこ

うふふ♬そういう人居ますよねぇ
私も美大生だったから
石膏デッサン(さすがに2000枚は描かなかったけど)
何百枚かは描いたなぁ~ 懐かしい♬
by まこ (2018-12-12 10:43) 

チナリ

こんにちは。

とても説得力のあるお言葉ですね。

この主婦の方の描いた絵の良し悪しはわからないので、単に自信があっただけなのかはわかりませんが、物事を簡単に考えてはいけないということですね。

by チナリ (2018-12-12 10:52) 

Take-Zee

こんにちは!
どの道もそうでしょうが・・・
プロへの道は素人には考えられないほどの
努力が必要なんですね。

by Take-Zee (2018-12-12 10:59) 

ackylacky

どの道でもプロと趣味の断絶は大きいですね。
しかし、始めたころはその違いが見えませんでした。知識技能が増えるにつれて解るようになるものですね。
プロになれそうかというレベルの演奏家の方とご一緒させて頂いたときに、一曲の中での情報量を10倍くらい感じておられるようにでした。それでもその道で食べていくことは出来ないようです。

by ackylacky (2018-12-12 12:25) 

なかちゃん

まぁ、おっしゃる通りですね ^^
勘違い人間をどうやって諦めさせるかは人それぞれですが、悪い夢は早めに醒ましてあげた方がいい。
そんなんでプロになれりゃ、各種の学校なんて何も必要なくなりますよ(^^;

by なかちゃん (2018-12-12 12:36) 

リュカ

お教室以外では絵を描かないで
プロの画家になれると思うこと自体が「???」ですね(笑)
by リュカ (2018-12-12 13:42) 

okko

プロの道なんてそんなに生易しいもんじゃありませんよ。

かく言うワタシも油を遊び半分で描いていましたが、実家にキャンバス預けたら、場所とるから、もういやだよ、って母に言われ、色鉛筆に変えました。裸婦のデッサンなど、基礎も面白かった。
裸婦だとオッサン生徒が真正面に席を取り合って、笑った。
だから、背中描きました。

ぼちぼち、個展開いてくださいよ~~!
by okko (2018-12-12 16:30) 

yakko

こんばんは。
プロの画家さんだったんですね〜 素晴らしい !! (^ ^)
by yakko (2018-12-12 17:43) 

そら

どの世界もプロになるには厳しいものですねぇ
生半可な気持ちでプロという言葉を口にしてはいけませんねぇ。
by そら (2018-12-12 19:38) 

横 濱男

プロ志望、気楽な人も居るんですね。(^▽^)
最初に厳しさを教えてあげないといけませんね。
by 横 濱男 (2018-12-12 20:27) 

センニン


こんばんは。
高校の同級生がプロの画家になったのですが、残念ながらもう随分前に早逝してしまいました。
新聞に訃報が載り、一周忌の法要が銀座のホテルで行われましたのでそれなりに評価されていたようです。
同郷の画家を名を冠した賞では大賞を取りました。
彼の絵は手元に二枚ありますが、残念ながら今は名鑑には載っていません。
by センニン (2018-12-12 20:54) 

ヤマカゼ

なみなみならぬ努力の結果が今のぼんぼちぼちぼち様なんですね。
努力してもプロの道が開けない方もたくさんいるのでしょうに。

by ヤマカゼ (2018-12-12 20:54) 

リンさん

画家になりたいなんて、子どもかと思ったら専業主婦!
それにしても、才能だけではないんですね。
どの世界も、プロになるのは厳しいものです。

by リンさん (2018-12-12 21:32) 

きよたん

プロの画家になるには生活がかかっているとか
普通のただやってみたいだけの軽い気持ちでは
できないもののようです。
仕事になるとまた違いますから趣味でとどめた方が楽しい
のではないかな
by きよたん (2018-12-12 22:11) 

koto

趣味が仕事になると趣味ではなくなるということよね。
by koto (2018-12-13 00:05) 

藤並 香衣

プロになるにはそもそものセンスと
それを磨くために努力が不可欠ということですね

僕の記事にコメントをありがとうございました
我が家のロールキャベツはテレビで紹介していた裏技で
端っこを上手く入れ込んで作ってます
by 藤並 香衣 (2018-12-13 01:20) 

旅爺さん

プロになるには先天的に絵が上手いとか素質があって努力もする人でないとなれませんね
by 旅爺さん (2018-12-13 05:43) 

Rchoose19

プロtpいうものはどんな道にしろ厳しいもんだと思います。
主婦だってプロの主婦になろうとしたら大変だと思いますもん。
事務の仕事だって人それぞれ。
事務処理能力の差がいろんなところに出ますからね。
ぼんぼちさん、気持ちのいい啖呵を切りましたね♪
by Rchoose19 (2018-12-13 07:54) 

ぼんぼちぼちぼち

みなさん

さっそくたくさんのコメントありがとうございやす。
加えて、長文の記事にも関わらず きちんと読んでくださり恐縮でやす。

そう、幾人ものかたも仰ってるとおり、プロになるには才能のある人間が血のにじむような努力をして 初めてなれるんでやすよね。画家だけでなくどの分野も同じでやすね。
ウサギとカメの童話がありやすが、世の中はあんな都合のいいシチュエーションではないわけで
つまり、現実には、居眠りするウサギと全力疾走するカメと居眠りするカメと全力疾走するウサギの四種類がいるんでやすよね。
で、どの分野でも、プロになれるのは 全力疾走するウサギだけでやす。
今回記事にしたかんちがいな生徒は、自分がカメでありながら居眠りしいしい全力疾走しているウサギに並びたい といったとんでもない思い違いをしていたわけでやす。
・・・・・・いつだったか、テレビで、イラストレーターの安西肇さんが ご自分の教室の生徒の主婦で、「アタシ、将来 絵本作家になりたいんです」っていう人がいるんですよー、とケラケラ笑っておられやしたが、どの教室にも そういう人いるんだなぁと思いやした。

そう、これもまた画家に限ったことではないでやすが、プロになるには、「描く作品が優れている」それだけではダメなんでやす。
要領の良さ、計算高さ、プレゼン能力、こういった力もおおいに必要になりやす。
具体的にあっしの例をあげると----
あっしは専門ジャンルは、水彩でやした。
何故なら水彩が一番ダントツに利益率が良いからでやす。材料費が安くてあっという間に描きあがるから。
で、どういう画を描いていたかというと、白い画面に小さくポツンと鮮やかなフルーツや花がある具象画。ちなみにこういう作品、あっし自身は大嫌いでやす。
何故そういう作品を描いていたかというと、まず、明度の高い具象画が最も客受けするということ、そして、透明水彩の場合、白は絵の具を塗らないで紙の白を活かすんでやす。
だから、そういう画だと画面の一部にちょっと描くだけでどんどん仕上がってくれる。 もちろんプロのレベルの作品として成立していることは言わずもがなでやすよ。

で、個展の時は、お客さんと画商を挟んで歓談するんでやすが
お客さんが「先生はどうしてこのような作品を描かれようと思われたのですか?」と質問されると
「私にとって白という色は、淀んでいた心が清々しくなるような特別な思い入れのある色なんです。 そこにポッと赤いリンゴやオレンジ色の花を添えることによって、自分の心が温かく癒されるんです。 私が好きで描いた思い入れのある作品に着目してくださって光栄です」
と、心にもない言葉を並べる。静かに優しく微笑みながら。
するとお客さんは、「ほぅ!作品自体も素晴らしいと感じたが、そこまで思いの深い愛する一枚なんですね。 買いましょう!」
と やっていくわけでやす。

こういうことを、売れないプロ志望(自称プロ)の人はよく、「ずる賢い」と言って否定的感情を持ちやすが、それは単なるやっかみでやす。
これもプロの画家に必要な実力の一つでやす。
作品そのものの良し悪しは、作品の出来だけで決まるので、それを描いた人が馬鹿正直で要領の悪い人であろうが法に触れる犯罪を犯した悪人かは関係ありやせん。
でも、「画家として優れている」ということは、優れた作品を描けるのみならず、上記したそれ以外の能力も必要なのでやす。
だから、あっしより巧くて優れた作品を描く努力を重ねていても プロの画家になれなかった人っていっぱいいやすよ。
そういう人は、それ以外の能力・努力がなかった・足らなかった つまり、プロの画家になるには実力がなかった ということでやす。

okkoさん あっしはもう一生、絵を描くことなんてありやせんよ。
何故なら 画家をやっていたのは、記事にも書いたように、母親を養うため それだけの理由だったから。
母親が死んでからは あくせく働かなくてもゆったりと生きていける環境になったので、趣味である 演技や朗読や歌を楽しんでやす。それらの分野ではあっしはカメなので、カメがカメの歩みで楽しい楽しいとやってやす。
あっしは元々、絵を描くことが好きでも何でもありやせんでやした。
誰も養わなくてもすむ環境なのに 好きでもないことを 食べるヒマ寝るヒマを削って命削ってやる人なんて 世の中にいないでやしょ?

by ぼんぼちぼちぼち (2018-12-13 12:31) 

okko

ぼちぼちさん
そういう事情がお有りになったんですね。
好きだけど、それはあくまでも家庭の事情・・・でも絵を描くのが好きは、生きている、趣味として。
仰っていること、分かる気がします。いろんなことを、趣味として突っつきながら、生きた居ます。気楽でいいですね。翻訳だの日本語教師だの、仕事でやっている時は、それなりに有意義に稼がせてもらいましたが、今や、全く1人、何をしようと何にも、誰にも縛られない、年も年ですけど、好奇心は負けません。
これからも、呑気にやりたいことをエンジョイして生きて行きたいと思ってます。ありがとう!
by okko (2018-12-13 16:27) 

美美

私も学生時代、石膏デッサンや裸婦なども描いたことがありますが
さすがにプロの道は考えませんでしたよ(^^;

by 美美 (2018-12-13 17:54) 

coco030705

こんばんは。

ぼんぼちぼちぼちさんは、すごいですね!プロだと絵が売れなきゃなら院ですね。どんな世界でもそうでしょうけれど。

私はあるボランティアグループの催しのときのポスターを担当しています。絵が好きなので、もっと色々描いてみたいなと思うのですが、絵画教室に行ったほうがいいのでしょうか。プロには到底なれませんがもっと上手くなりたい気持ちはあります。

by coco030705 (2018-12-13 19:39) 

garden

プロになるって流石にすごいですね。

by garden (2018-12-13 21:08) 

sakamono

ですよねー^^;。
何事も、まずは気の遠くなるような、基礎訓練が必要なのですよね。
by sakamono (2018-12-13 22:46) 

hana2018

絵画にしても、写真にしても、プロの世界はサッパリわかりません。
by hana2018 (2018-12-13 23:00) 

英ちゃん

明日(15日)のオフ会は、よろしくお願いします。
楽しみましょうね。
by 英ちゃん (2018-12-14 00:03) 

式条 梨々子

画力向上は鍛錬あるのみですよね。
プロはみんな努力をして自分の腕を磨いてきたわけだし
天才と言われてる人達も練習はしていますから・・・・
好きな物も好きな様に描ける「趣味」が一番楽しめます。

by 式条 梨々子 (2018-12-14 00:49) 

たじまーる

画家としてお金を戴くためには
生半可な気持ちでは出来ないこと
それだけ取り組む覚悟が必要だということが
とても伝わって来ました。
今回の記事の生徒さんのように
中途半端なお気持ちで画家(プロ)を目指すことは
やめた方が良いと思いますね。
by たじまーる (2018-12-14 05:46) 

kohtyan

プロの世界と楽しむのとはまったく違いますね。
指導の先生にちょっと褒められるとその気になって、
自分は才能があるんだと錯覚してしまいますね。
by kohtyan (2018-12-14 09:03) 

ぼんぼちぼちぼち

みなさん

そうなんでやすよね。
やはりどの分野でも プロを目指そうと決意したら基礎を徹底的に習得しなければなりやせん。 基礎は家の土台に相当するものでやすからね。
趣味の人を対象としたお教室では 何故 基礎をやらずに(デッサンの時間を設けてもたまにで)すぐに綺麗な花やフルーツなどを描かせるかというと、楽しんでもらうことが目的だからでやす。
趣味→楽しむため プロ→お金を稼ぐため と目的が違うからでやす。

自分が「趣味」という立場のジャンルのことを少しお話すると-----
あっしは40才前後の頃、演技のレッスンを受けていたことがありやす。
映画や演劇を鑑賞するときに より深く楽しめたらいいな!という気持ちや 演技を自分で体験するってどんな感じなんだろう!という気持ちからでやす。
それで、某劇団の日曜クラス(趣味の人向けのコース)に通ってやした。3年半くらいの期間かな。
当然、いいとか悪いとか、趣味としてのスタンスで 甘~くダメ出しを受けるわけでやす。
入ってしばらくすると、先生が、「ぼんぼちさん、アナタ、本科生(正規の劇団員)になって本格的にやりましょうよ!」と誘うんでやす。
先生はあっしを本科生にしたくてずいぶんおだててたけど、その理由は、あっしに演技の才能があるからじゃなくて 劇団員の頭数を増やしたいからなんでやす。
頭数が増えれば、在所費も一人分多く入って劇団が財政的に潤うし チケットノルマの割り当ても一人分増やせるから。
そういう理由だってことをこちらは十二分に解かってやすからね、自分は演技に関してはカメだっていうことを自分でよく知ってやすからね、日曜クラスから動かずに カメがカメの歩みで楽しみ続けやした。
日曜クラスの人数があまりにも少なかったために、正規の劇団員の人達と一緒にレッスンを受けたことが何度かありやしたけど、やはりレベルが違なぁということや、これだけ巧いのにメジャーになれない人ってたくさんいるんだなぁということを目の当たりにできて それもよい体験となりやした。

coco030705さん 上手くなりたい気持ちがおありでやしたら、絶対的に絵画教室に通われることをオススメしやす。
ただ、気をつけてほしい点が二点ありやす。
まず、絵画教室を開いている先生全員が必ずしも プロとしての技術を持っているとは限らないということ。
大抵はちゃんとプロとしてのレベルの先生でやすが、中にはハッタリで教えてるような人がいやす。
大きなカルチャー教室だと どこもきちんとしたプロの先生でやすが、私塾の場合、先生のレベルに大きな差がありやす。
私塾の場合は、生徒さんの人数や先生の受賞歴を見てから入ろうと決められると間違いが少ないと思いやす。
二点目は、先生との人間的な相性でやす。
いくらプロとしての技術を十二分に持ち合わせている先生でも、人間的に嫌な人や coco030705さんと個人的に性格の合わない先生がいやす。
この点は教室に入ってみなければ解からない場合が多いので
「この先生、なんか嫌だなぁ」と感じたら、それこそ趣味なのでやすから 無理して続けずに、うまい理由をつけて辞めてしまえばいいのでやす。
まあ、言ってみれば、かかりつけのお医者さんを探すのと似てやすね。
で、「この先生こそ!」という先生が見つかったら、楽しいだけじゃなくて上手くなりたいことや どこでいつもつまづくのか、どういうところが解からないのかを 積極的にどんどん質問してゆかれてください。
お一人で描かれていた時とは違って、たくさんの発見・気づきがあって ぐんぐん上達すること間違いないでやす。
受験のように期限があるわけではないので、あせらず、気長に良い先生を探されてくださいでやす。
相性のよい先生と出逢えることを 陰ながら祈ってやす。

by ぼんぼちぼちぼち (2018-12-14 13:28) 

eco

写真を拝見していて、「芸術」の香りを感じてました。
画家さんだったのね、納得です。
by eco (2018-12-14 14:56) 

すーさん

う〜ん、深い話ですね。
アート系を趣味からご飯のために…って
言うは簡単だけど実際には思い描いた
イメージとは遠いんですね。
ナン時間ナン枚を毎日…って
描かずにいられないくらいのメンタリティからないと
風呂に入りたいからとか排泄したいからとかで
簡単に中断できるようではダメかもですね^^;。
by すーさん (2018-12-14 16:43) 

ChatBleu

あー、そのおばさんの気持ちもわかりますねぇ。
イヤなこともお金のためにやれなくちゃ、プロじゃないんですよね。
今の私も、好きなことを仕事にしたいって思って、ふーらふらしているわけですが、やっぱり(今のレベルの自分では)仕事にはならないな、というところに気づいていて、堅い平凡な仕事に戻ろうとしているところって感じです。
by ChatBleu (2018-12-14 20:23) 

八犬伝

なるほどなあ
やはり、それだけ言われますよね。
飯を食っていくことは、難しいと言うことですね。
by 八犬伝 (2018-12-14 21:41) 

足立sunny

自分の才覚でお金をいただく仕事はどれも難儀と思いますが、美術・絵ということですと自分の専門分野とはあまりにかけ離れていてお話を伺っていても全く想定もできません。
ただ、実践したかたでなければできないお話であることはある程度理解できました。、
by 足立sunny (2018-12-14 21:46) 

KOME

例外的な天才な人はいますか?
by KOME (2018-12-14 23:22) 

ファルコ84

何でもプロの道が厳しいと知らないお方が多いようですね
いいものを見ると自分も同じように夢見るんです
しかし、プロの道のりは長く深い
血のにじむような努力をしないのであれば
プロは、夢と心得るべきですね!
by ファルコ84 (2018-12-14 23:29) 

nikki

プロになるのは大変ですよね。
by nikki (2018-12-15 12:12) 

ぼんぼちぼちぼち

みなさん

そうでやすね、画家や役者やミュージシャンは夢を売る商売なので、現役時代にお客さんに向かって 「こうこうこんなに大変な思いをしているんですよ」 とは言わないでやすね。
何故ならお客さんが思い描いているイメージとはあまりにかけ離れていて イメージダウンになるから。つまりそれは売上げを下げる結果となるから。
とても解かり易い例えをすると、白鳥の水面下の足の動きは見せない ということでやす。
見せないようにしているから 見えない人が少なからずおられるのは当然だと思いやす。
たいていの人は、自分が実際に絵を習ったりして体験してみた時点で「あぁ、こんなに難しいことだったんだ!」と気づくのでやすが
稀に、今回記事にしたようなかたがいるんでやす。
そういう人には現実を目の前にハッキリと提示しないと解かってもらえないわけでやす。

例外的な天才の人・・・・・ひとつも努力をしないでプロとして通用するだけの技術+センスを持ち合わせている人 ということでやすよね。
いるかどうか解かりやせん。
というのは、前述のように よっぽど告白しなければならない状況にならないかぎりは 現役時代は、どれだけ血を流した結果、作品が完成したか自ら言わないので。
作品だけを見ても、それが才能だけのものか努力+才能かは解かりやせん。
死後 何十年何百年と経って 生きざまが伝説化している巨匠と呼ばれている人はなおさら、現実にはどうだったかということが解からなくなって
ドラマティックな物語化されている場合が多いでやす。
でもたぶん・・・・・・あっしが思うには、天才肌(つまり ウサギの中でも特に秀でてものすごく足の早いウサギ、でも努力もした人)はいても例外的な天才 と呼びきれる人はいないんじゃないかな?
何故なら、何のジャンルにも基礎というものがあって、基礎を習得することは 車の免許を取ることと同じと考えていただけると解かり易いでやす。
どんなに優れたプロレーサーでも、教習所に一度も通わないですいすい車の運転が出来る人はいないでやしょ?
普通の人が10ぺん訓練して出来ることを一度教われば出来る という違いでやすよね。
だから、周囲が例外的な天才と思っていても 現実には天才肌の場合がほとんどだと、あっしは思いやす。

by ぼんぼちぼちぼち (2018-12-15 12:42) 

rannyan

写真も同じですね
猫写真なんかの、とっても上手い人もプロにはならない..
プロになったら、猫ばかり撮ってたって食べていけないから('_')
他のものは撮らないといえば、仕事が来なくなる..
趣味を仕事にしちゃいけないって、よく言いますね~
by rannyan (2018-12-15 12:45) 

coco030705

ぼんぼちぼちぼちさんへ
丁寧なお返事、本当にありがとうございました。ぼんぼちぼちぼちさんのおっしゃるとおりですね。気長にいい先生を探したいと思います。なにしろ、人生100年時代ですので、まだ時間はあるかもしれないので。

by coco030705 (2018-12-15 20:39) 

ぼんぼちぼちぼち

rannyanさん

そうでやすよね。あっしは写真の世界のことは無知なのでやすが、やはり同じでやしょうね。
好きなものだけ撮って食えるほど甘くないでやすよね。
そう、一番好きなことは趣味にしたほうがいいって言いやすね。
あっしはもし自由な選択肢があったら、舞台衣裳を作る仕事がしたかったんでやすが
もしもそれが実現していたら、ファッションそのものに対して飽き飽きして 自分でお洒落するエネルギーなんてなくなっていたかも知れないなぁと思いやす。

ともあれ、昨日のオフ会、楽しかったでやすね!
貴重な切り抜きもありがとうございやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2018-12-16 13:29) 

ぼんぼちぼちぼち

coco030705 さん

微力ながらもお役に立てて嬉しいでやす。
よい先生と巡り合えやすように!
by ぼんぼちぼちぼち (2018-12-16 13:34) 

sadafusa

こんにちは。ぼんぼちさん。

ぼんぼちさんのおっしゃることは全部そのとおりです。
「画家なんかになるな!」「趣味で絵を描いてろ!」
とず~っと言い続けてきた画家の娘を持つ母です(笑)

私自身、小さい頃、絵心があったので、「一生に一度くらい
自分の好きなことを勉強できたらいいなぁ」と思っていましたが、
うちの親はああじゃないですか(笑)
とてもじゃないけど絵の学校なんぞ、いけるはずもなく。

娘も、小さい時から絵が好きだし、見ることも好きでしたので
美術大学に入れはしましたが、画家になってほしいなんて
これっぽっちも思いませんでした。

娘は進学校に行っていたので、画塾に行っていましたが、
毎日、毎日、それはそれは地味なデッサンばかりしていましたよ。
先生に「2万時間ほど描けば、カタチがついてくる」とか言われ、
それこそ、毎日毎日、学校から帰って来たら画塾へ行って、
びっちりデッサンばっかりしてました。

でもぼんぼちさんのような天才肌ではなく、
どっちかというと努力型の地味なタイプだったんですが。

学校を出て、「画家になる」というも、絶対に許さず
「どの口でそんなことを言うか!」と
無理やり就職させて、働かせましたが、
今度はリッチに稼いでいるイラストレーターと結婚して
親の支配下から逃れ、それからとうとう画家になってしまいました。

画家になってからは、画家としての企業をする講座みたいなところにはいって、自分を売り込む方法を徹底的に教育されました。

常に売り上げが、求められる一定以上なければならず、
なんのためにこんなつらい商売をしているのか、
母親の私はわけがわかりません。

「趣味で絵を描いていて欲しい」と
京都でも指折りの伝統的な技の家元の坊ちゃんにプロポーズされていましたが、結局「趣味」と言う言葉に腹が立ったらしく
すごいお金持ちだったのに、断ってしまったのです。

子供も産めなくても、たとえ離婚されても
人でなしと呼ばれても、いいんだそうです。


絵筆を握りながら、前のめりに死ぬことこそ本望なんだとか。


まぁ、娘とはいえ、別人格ですから、
見守るしかないんですけどね。複雑な心境です。

by sadafusa (2018-12-16 14:31) 

ぼんぼちぼちぼち

sadafusa さん

おじょうさん、sadafusa さんの反対を押し切って そういった経緯でとうとう画家になられたのでやすね。
いやはや、ものすごい熱意でやすね。
そうしなければ精神的に生きていられないものがおじょうさんの中にとぐろを巻いているのでやしょうね。
そうでやすね。親子といえども別人格でやすもんね。おじょうさんがこういう生き方こそが幸せだと感じずにはおれないのだから ご本人が幸せな道を歩まれるのが一番だと思いやす。

あっしは画家にならなくても許される自由のある境遇だったら、舞台衣裳を作る仕事に就きたかったんでやすが、とてもここまでの熱意はなかったでやすね。
27才の時に母親が死んでくれて完全に自由になれたのに、もうその頃は「普通の同世代の女の子と同じ様に遊びたい」って、テキトーにバイトしてバーで飲み歩いたり 好きなバンドのライヴ行ってやしたから。
しょせん、衣裳作りへの熱なんて そんな程度のものだったんでやす。
だから、なろうとしてもなれなかった可能性が高いし なれても途中て゛嫌になってたと思いやす。
つくづくおじょうさんの信念に天晴れでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2018-12-16 18:14) 

こじろう

自分も子供の頃から絵を描いてて,大学時代の先生に今でも見てもらうけど,仕事にしようと思ったことはなかった。
好きな事を仕事にしたら,挫折した時にすっごく辛いと思うんだ。
まぁ,3日経ったら忘れるけどな・・・(;´Д`)
by こじろう (2018-12-16 21:00) 

そらへい

それだけしても、プロの画家になれるとは限りませんしね。
by そらへい (2018-12-16 22:44) 

ぼんぼちぼちぼち

こじろうさん

こじろうさんは絵を描く趣味をお持ちなのでやすね。
趣味でいるのがほんと 楽しいことばかりでよいでやすよ。
あっしは母親に強制されなければ 画家になんて最初からならなかったでやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2018-12-17 11:30) 

ぼんぼちぼちぼち

そらへいさん

そうなんでやす。あっしがそのかんちがいな生徒に「まずやってください」と言ったのは基礎だけでやすからね。
基礎は訓練を重ねれば大抵の人がクリアできる段階で
プロになるには、その画家にしか描けない個性・センス、加えて計算高さ・立ち回りの巧さ・プレゼン能力などが求められやすからね。
だいたい「お友達とのお付き合い」すら絶たないでなれると思ってるなんて能天気すぎやす。 
by ぼんぼちぼちぼち (2018-12-17 11:38) 

サンダーソニア

自分も浅慮なので反省です^^;
by サンダーソニア (2018-12-20 21:55) 

ぼんぼちぼちぼち

サンダーソニアさん

反省できる人は自分自身を解かっているということなので、人生を重ねてゆくうちに 記事に書いた御婦人のようなかんちがい発言はなくなってゆくと思いやす。
あっしは今、カラオケが趣味なんでやすが、人におだてられても それはあくまで素人レベルとしてのお世辞なんだからと 自分がカメであることを見失なわないようにしたいと心してやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2018-12-21 13:15) 

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