マリリンモンロー・永遠の完結美  [感想文]

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私はハリウッド映画には さほど興味はないのだが、マリリンモンローのファンなので、彼女の出演作品に限っては おおかた鑑賞をしている。
殆どの作品の彼女の役どころは、マリリンモンローがマリリンモンローを演じている といった形容がぴったりの「ちょっと頭の弱い可愛らしい性格の グラマラスな美女」である。

多くの人が抱いている女優マリリンモンローの人物像は、実は素でもなんでもなく、ブロンドヘアやタレ目に見せるアイメイクやホクロと同じく 戦略的に創り込まれた虚構であり、現実のモンロー---つまりノーマジーンは、勤勉家で教養に溢れ アクターズスタジオでも優秀な成績をおさめていたという。
そして彼女自身は、世間からも 演技派として評価されることを切望していたという。

結局 彼女は、その夢を成就させられぬまま不幸な亡くなり方をしてしまう訳だが、私は、彼女ほどにセクシーな美しさをそなえていたら、大衆が演技派だと認めなくともいたしかたなかったのではないか・・・と思うのだ。
何故なら「グラマラスな美女」を完結させる最終的なスパイスは、「ちょっと頭の弱い可愛らしい性格」だからである。
これが、「素晴らしく頭のキレる りんとした性格」だったら、グラマラスな美女の魅力は 半減・・・・とまではゆかずとも ややがっかりしてしまう。

マリリンモンロー3.jpg

勿論、グラマラスな美女・女性に限ったことではなく、私達は、美しい人に対して、無意識のうちに その美しさに相応しい内面であることを期待してしまう。
例えば----
淡いピンクの小さな唇の美少女が好んで食べるのは、ガーリックステーキではなくストロベリーショートケーキだろうなぁ とか、
漆黒の服の似合う物腰たおやかな スレンダーな三十代美女は、酔ってもよどみない標準語をしゃべる筈だ とか、
下っ腹の出ていない端正な顔立ちの中年男性は、妻子を大切にし ワインに詳しいに違いない とか、
色白でサラサラの髪の美少年は、スケベな妄想など何一つせずに 遊園地でソフトクリームを舐めるのが何よりの楽しみだよねー とか。
そういった内面のスパイスを 各々の頭の中でふりかけることで、美しさを完結させようとするのだ。
当然、身近な人に対しては 現実の人となりを正しく受け入れなくては失礼だが、だからこそ、その分、スターという存在には つごうのよい幻想を抱くことが許される・・・・そういった夢を見せるのが 美しいスターの役割りの一つでもあると思うのだ。

もしもモンローが、心身のわずらいもなく 謎の死もとげずに グラマラスな美女とはほど遠い容姿と成るまで女優として生き続けていたら----
世界中から 知的な演技派として肯定されていたであろう。

マリリンモンロー.jpg

 ※ひとつ俳句を挟んで 次次回・10月28日には「マリリンモンローの演技力」を公開しやす。
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コメント 20

ackylacky

舞台以上に映画を見る観客は、役者を現実的存在と勘違いしてしまうので、名演技であるほど演技だとは思ってもらえないかもしれませんね。
 時代劇の悪役さんは、現実世界でも悪人扱いされると、テレビで話されてました。
by ackylacky (2013-10-22 12:23) 

チョビ

山本リンダを見て同じような感想を持ったことがあります・・・
by チョビ (2013-10-23 00:10) 

るね

あの甘ったるい舌足らずな口調も、代名詞になったモンロー・ウォークも、全て計算し尽されたものだったそうですね。
ノーマ・ジーン・ベイカーは「マリリン・モンロー」という役を世界から求められるまま、演じ続けていたのかもしれません。

あの早過ぎる、謎に包まれた死によって、彼女は伝説になったともいえるかと思いますが、もし彼女が生き続けていたとしたら、SEXシンボルとしてのマリリン・モンローを脱皮し、彼女自身が希求した演技派女優モンローにうまく転身できたかどうか。
周囲が、観客が、時代がそれを認めたかどうか、難しいところかもしれません。
by るね (2013-10-23 04:34) 

ぼんぼちぼちぼち

ackylackyさん

大衆の観客の見方というのは まさに仰るとおりのようでやすね。
「演技」でやってるのに・・・ねぇ。
まぁ、それだけリアリティのある演技だということなので、役者としては喜ぶべきなのでやしょうけれど
同時にさまざまな不自由が生じるでやしょうね。

by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-23 09:28) 

ぼんぼちぼちぼち

チョビさん

あぁ なるほど。
あっしが知ってるのは、ウララ~からのカムバック後のリンダさんでやすが
子供心にも「なんて綺麗な人なんだろぅ!」と観惚れながらも
虚構性の高い「作られた」っていう印象を受けやしたね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-23 09:32) 

ぼんぼちぼちぼち

るねさん

そう、実際にはモンローは、既に芝居の上手い女優さんだったわけで
つまり、「セクシー美人でかつ演技派」だったんでやすよね。
だけど世間一般は、セクシー美人でありながら演技派であることを許さなかった。
あっしは大人になった今でこそ、こう願う人の心理を理解できやすが
モンローファンになり初めし中学生の頃は、随分矛盾に感じたものでやす。
「え?なんで?モンローって上手いのに。」って。
このあたり、次次回の記事にて ちいと深く綴ってやす(◎o◎)b 
by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-23 09:49) 

rantan-nya

グラマラスな美女で頭が少し弱いけど性格が良い・・
これって、男性の希望なのでしょうかね~ 見た目も頭も切れて完璧では
なんだか、どこから攻めて^^; いいんだか、分からないとかとか?
モンローは役者さんなので、そんな皆の希望を体現していたのですね・・
最近は身近さを売り物にするスターも多いですけど、やっぱり夢を見せて欲しいですね~

話変って・・
KO線に今乗ると、車内がすべて天皇賞広告一色でビックリです^^;
by rantan-nya (2013-10-23 14:46) 

yoko-minato

そうだったんですか!
マリリンモンローというとどうしても
セクシーさが第一印象ですよね。
女優さんとはしんどい職業かもしれませんね。
by yoko-minato (2013-10-23 14:59) 

ぼんぼちぼちぼち

rantan-nya さん

そう、それが多くの男性の希望・理想なのだと思いやすね。
男性にとっても女性にとってもそれぞれに 「こういう内面だとつごうがよい」というのがありやすもんね。

最近は、スターが身近さを売りにする時代のようでやすね。
あっし個人の嗜好としては、ナチュラルさを売りにしている女性タレントさんは どうも好きになれないでやす。
「へーえ、そんなに自分に自身があるんでやすかい?」と、嫌悪を感じてしまうんでやすが
もしかしたら実は、プロダクションの方針で 嫌々ナチュラルにさせられているのかも知れないんでやすよね。
ほんとは そんな思いあがった性格ではなく、コンプレックスいっぱいで厚化粧したいって本人的には思ってるのかも。
でも、真実はどうでも やっぱ、ナチュラル系は好きになれない。 
あと、コンサバ系も、同じ理由で嫌でやす。

KО線・・・なるほど、府中に行くにはこれでやすもんね(◎o◎)b

by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-23 15:36) 

ぼんぼちぼちぼち

yoko-minato さん

「セックスシンボル」と言われるように、モンローの存在は、もはや象徴・記号と成ってやすね。

女優さん、大変でやしょうなぁ・・・
でも、なりたい人 たくさんおられるのね・・・・(◎o◎)
by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-23 15:44) 

ponnta1351

例の腰を振って歩く「モンローウオーク」は片方の靴のヒールが何センチか低くしてあったとか。 今生きて居たらどんなお婆さんでしょうね?
大きなオッパイも萎んで・・・w
by ponnta1351 (2013-10-23 16:06) 

ぼんぼちぼちぼち

ponnta1351さん

モンローウォークも、彼女の理論的研究の成果だったようでやすね。
今生きてたら87歳・・・・んーー、想像できないでやすなぁ・・・(◎o◎:
by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-23 17:28) 

そらへい

よく考えると、彼女の映画
ほとんど見ていないような気がします。
それでも彼女のことを知らない人はいないところが凄いところです。
by そらへい (2013-10-23 21:05) 

ぼんぼちぼちぼち

そらへいさん

セックスシンボルとして、あるいは50Sアメリカの象徴として、今もそこここで映画のスチールやピンナップ写真を目にしやすね。
ウォーホールの作品が印象深い というかたもおられるかも知れやせん。
彼女自身、映画のみならず、写真にも強い拘りを持っていたようでやす。
どのモンローも、「こんなに美しい人が世の中にいるんだろうか」というくらい 色っぽくて可憐でやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-24 10:17) 

ちゅんちゅんちゅん

おはようございます!
モンローっていうと
「はっぴばーすでーつーゆー♪」が強烈すぎて・・・
あの低い唸るような声、ねっとりくねらせる腰、
マイクスタンドを滑る指・・・
この世のヒトとは思えませんでした。
自分の元へと魂を手繰り寄せる執念の塊りに見えましたね。
化粧の下でどんな顔して歌っているんだろう・・・と
それからメイクに対する観念が変わりました。
自然に見えるのは化粧じゃない、
徹底的に別の顔を作ってこその化粧だと(笑)
自分の目を開かせてくれたモンローは
好きな女優です、今でも。
彼女の時は止まったままだから
余計 色あせずにそう思えるのかもしれません。
by ちゅんちゅんちゅん (2013-10-25 07:57) 

ぼんぼちぼちぼち

ちゅんちゅんちゅんさん

>彼女の時は止まったままだから
余計 色あせずにそう思えるのかもしれません
そう、それ大きいでやすよね。
彼女自身にとっては不幸なことだったけれど
あの年齢で亡くなったから 皆の中で、ここまでセクシーな美しさの伝説と昇華したんでやすよね。

あのハッピバースディーの歌、ケネディの誕生パーティーでのものでやすね。
あの歌には、ケネディへの愛情のみならず、ケネディ夫人への挑戦的な気持ちや嫉妬や 20世紀フォックスへの反発心などこもっていたようでやすね。
皮肉なことに、ケネディは、「大統領を辞めてもいい」なんていうお礼の言葉とは裏腹に、すでにあの時、モンローを捨てようと考えていたとか・・・。
by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-25 09:30) 

beny

 ジェームスディーンもそうでしたが、スターらしい終わり方ですね。ファンとしては長生きしてほしいけど老いさらばえた姿はみたくない。プレスリー、リズテイラーしかりです。
 MMはケネディ指示でCIAに殺された??
by beny (2013-10-25 11:23) 

ぼんぼちぼちぼち

benyさん

死の真相、さまざまな説がありやすね。
飽きられうっとおしく思われて あるいは知り過ぎたために、ケネディの指示で殺された とか
主治医が睡眠薬の投与を誤って、自分のミスではなかったことにするために隠ぺい工作をした とか・・・・
内臓のほうも ぼろぼろだったようでやす。
トップスターになる夢はかなったけれど、幸せとは言い難い一生のようでやしたね。
by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-25 19:18) 

あざみ

他人に作られた自分と付き合うのは、本当に辛い事だったでしょうね。。。
by あざみ (2013-10-26 18:32) 

ぼんぼちぼちぼち

あざみさん

つい先日も、「マリリンモンロー・瞳の中の秘密」というドキュメンタリー映画が公開されたので観に行ってきたとこでやすが
そこでもやはり、彼女の内なる声が切々と綴られてやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2013-10-26 19:25) 

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