東京で金華糖の買える貴重な店 [独り言]
この時節になると、必ず、最寄駅・西荻窪の駅前にある喜久屋さんという 国内外の酒・菓子・缶詰類を扱う店に 金華糖を求めにゆく。
金華糖とは、動物や魚貝や野菜に材を取った木型に 砂糖を煮溶かしたものを流し固め 手作業で彩色を施した 主にひな祭りなどに飾られる 目で愉しむ和菓子である。
最も盛んに作られ売られているのは 金沢であるらしい。
ほろりと儚げな白地にちょっとたよりなく紅や緑や黄が淡く染められた様を眺めていると、我が心はいつも、うららかな春の午下りの丘にふぅわりと運ばれ、半ば忘れかけていた温もりと柔らかさを ふぅと取り戻す。
だから、ひな段などあろう筈もない自室の 普段 小花の投げ入れを置いている船箪笥の上に、毎年飾るのだ。
西荻窪に越してきてから約十年経つので、およそ十ぺんほど飾り愉しんでいることになるが、越してきた年にこの喜久屋さんのガラスケースで感動の初対面を果たすまで、私は、金華糖という菓子の存在をまるで知らなかった。
知らなかった理由を、子供の頃から そう古くはない郊外の住宅街・国立に暮らしていたからだろうくらいに思っていた。 都内の東のほうでは、昔も今も ひな祭り前はいくらも出回る菓子なのだろう と。
しかし、十一ぺんめに包んで頂いた今年、そうではなかったことを レジのご主人が教えてくださった。
他の土地はおろか 主な製造元である金沢ですらも、作ることのできる技術を持った職人さんも 遺されている木型も 年々減る一途にある ということ。
したがって、東京で金華糖を販売する店は、既に こちらの喜久屋さんと他にもう一店くらいしかないのだ ということ。
私は、穏やかな笑顔とともに手渡された春丘への越境の小菓子が これほどに貴重な逸品であったことに小さく驚き、木枯らしの夕の西荻窪商店街を 家路に向かった。
金華糖の包みを 胸のうちに守るように両手に抱きながら・・・・
タグ:金華糖
ありふれたものだと思っていたものが、
実は貴重な品だった、というのは、
嬉しいようなさびしいような。
淡い色遣いが、雛の祭りらしくて素敵です。
by ぴぃ (2013-02-27 08:11)
高さは2~3㎝くらいでしょうか。なごみます。
by beny (2013-02-27 08:34)
金華糖、あざやかで可愛らしいですね。
それにしても、職人の技がどんどん消えていくのは、何としたものでしょう。
女性の職人を排除せず、女性に技を伝えていくことがカギになるような気がしてなりません。
by お水番 (2013-02-27 11:54)
金華糖って初めて知りました^^;。
作っているお店が希少になっているのなら、
なくなってしまわないうちに喜久屋さんに行ってみなくては!
by NONNONオヤジ (2013-02-27 13:31)
まだまだ知らない事がいっぱい有るようです。
by musselwhite (2013-02-27 15:20)
読みながら心に柔らかな光が差し込んでくるのを感じていました。
特に最後の三行がすごく好きです^^
柔らかい雰囲気の可愛らしいお菓子ですね。
見たことなかったなぁと思って気になって調べてみたのですが…
出て来た画像を見て、結構大きな鯛の形をした金華糖らしきものを
子供の頃に見た記憶が蘇りました。
by Sizuku (2013-02-27 17:28)
『金華糖』はじめて知りました。
優しい風合いですね。
by RuddyCat-Lalah (2013-02-27 18:06)
そういえば…最近見なくなりましたね~
子供の頃は、おひなさまと一緒に…でしたのに…
懐かしく思いました^^
by そらママ (2013-02-27 18:11)
金華糖、昔見たような気がします^^
ぼんぼちぼちぼち さん、ご近所だったんですネ!?
by Mitch (2013-02-27 19:40)
喜久屋さん、老舗だそうですね。
私が西荻にいたときもあったのでしょうが
行動範囲も興味の範囲もエリア外だったようです。
by そらへい (2013-02-27 19:44)
まだそのようなお菓子が有るんですね。懐かしいです。
by ponnta1351 (2013-02-27 19:50)
金華糖私も初めてみました(‥。 )フ~ン
by エコピーマン (2013-02-27 20:19)
金華糖がこんな憂き目にあっているとは知りませんでした
無くなりつつあるものが多くなりましたね
by きんれん花 (2013-02-27 20:24)
金華糖というのですね。きれいな色ですね。
by れもん (2013-02-27 20:55)
ご訪問&nice!ありがとうございます☆
by ショコ (2013-02-27 22:14)
JR車内広報の受け売りですが、ひな祭りにちなんだお供え物にはこうした
生き物を模ったお菓子が多いのですね。ちらし寿司に蛤のお吸い物。
面白い組み合わせですね。
by Lonesome社っ長ょぉ〜 (2013-02-27 22:18)
みなさん
金華糖、御存じのかた 飾った記憶のあるかたも 今回初めて認識されたかたも こんばんはでやす(◎o◎)/
ひな祭りに相応しい 淡く綺麗な色合いでやすよね。
で、指にちょっと力を入れるくらいでほろっときそうなくらいに壊れやすいでやす。
鯛、やっぱめでたいのタイで 金華糖王道のモチーフのようでやすね。
あっしは、色々並んでるモチーフの中でも 毎年猫を選んでしまいやす。
何年か前に別バージョンの猫を飾って撮った写真を過去記事「午後(短歌)」にてUPしてるんでやすが
http://blog.so-net.ne.jp/bon-bochi/2011-03-04
こちらの二種はもう今は売ってないでやす・涙
赤い首輪は、モールが巻かれてるんでやす。今年のよりひと手間多いでやすね。
高さは、今年のも 過去記事の後方の立ちバージョンのも7センチくらいでやす。
職人さんの世界って、男性が殆どでやすよね。
そう、女性も継げるようにすることで絶えることを防げる可能性は広がりやすよね。
ラストの三行に着目していただけたとは 嬉しい限りでやす・ぺこりっ。
あっしなりに とても気にいってたりしやすf(◎o◎)
どれほど希少になりつつあるかを知った後 あっしはどういう気持ちになったか、を
包みの持ち方で以って表現してみやした。
喜久屋さんの場所は、西荻窪駅北口にでてぐるっと辺りを見渡すと目に入るとこにありやす(◎o◎)b
金華糖は、この時節にだけレジの横に置かれる大きなガラスケースの中に並んでやす。
ご主人のお話によると、かなり遠方からも求めに来るかたもおられるそうでやす。
ちなみにぼんぼち、善福寺公園あたりまでも しばしば散歩に出向きやすよん(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-02-27 23:11)
過去記事の金華糖も、今日のも、とてもほんわり可愛いですね。
ごめんなさい、気になることがあるのですが。
金華糖、10体飾ってあるのですか?
それとも、毎年召し上がるのですか?
by まほ (2013-02-28 02:53)
これは是非手に入れたい物ですね~。
ひな人形の隣に飾ったら可愛いかも…です。
by hypo (2013-02-28 04:57)
金華糖、初めて知りました!
可愛らしいお菓子ですね~。
ひな祭りのとき用とは☆
季節の楽しみになさっているのって、素敵です♪
by sana (2013-02-28 15:41)
金華糖素朴で懐かしくて可愛いいですね。
私は初めて知りました。東京に行ったら是非見たいです。
私の拙いブログにnice有難うございました。冷や汗かいています。
by dan (2013-02-28 15:41)
みなさん
金華糖、同じ和の菓子でありながら 練り切りあたりとはまた別の 素朴な可愛さがありやすよね。
初めて目にしたときは それはもう感激!でやした。
昔は、ひな段の一番下に飾ってたらしいでやすが
最近は7段飾りのおひな様を飾るお宅も少なくなっているので
それも、この菓子があまり出回らなくなってしまった理由の一つだそうでやす。
たとい段のない二人っきりのお雛様でも ぼんぼりの両脇に飾るとよいでやすよね。
あっしは 毎年しぶとく5月くらいまで飾って、一口齧って捨ててしまってやす。
いいかげん埃っぽくなってしまってるので 形だけ食べる みたいな。
でも、これだけ貴重だと知ったら 今年からは捨てられやせん。
5月くらいになったら 丁寧にラップに包んで 戸棚の奥に入れておこうと思いやす。
そして来年からは、いろんなバージョンを加え増やしていこう・・・と(◎o◎)b
あ、因みに 今年のこの猫、三体買いやして、足つきの黒いウルシの菓子置きの上にい並んでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2013-02-28 20:13)
子供の頃、籠に入った金華糖を父が買って来てくれて、段飾りのお雛さまに飾ったのを覚えています。
by 森田惠子 (2013-03-01 09:18)
以前にTVで、木型で鯛の形をした和菓子を見たことがあります。
そのことを、お菓子のことを金華糖っていうのかな^^
お雛様の時期にかわいらしくって、ぴったりのお菓子ですね♪
by koume (2013-03-01 13:51)
金華糖、初めて見ました。
和特有の柔らかな色彩、大好きです!
by 伶上 蓮 (2013-03-01 14:44)
金華糖、知りませんでした。可愛いです。
職人さんが段々少なくなっているのは残念ですね。
by masutaro (2013-03-01 17:25)
訪問、コメントありがとうございます♪
金華糖・・・初めて知った言葉です(゚ω゚;A)
すんごいキレイです(*´艸)(艸`*)ネー♪
不定期なブログですがまた遊びにきてください゙d(・ω・*)ネッ♪
by チャチャ♪ (2013-03-01 20:37)
なんだか心温まり癒されるような、和菓子との付き合いですね。“大切な習慣”を持っている人のことを豊かな生活者というのかも知れません。
「金華糖」という呼び名は知りませんでしたが、飴細工と並んで子どもの頃には日常的にありましたね。「たかが和菓子・されど和菓子」で日本の生活習慣に在った和菓子は、考察すると一種の哲学的要素さえ発見してしまいます。
by 扶侶夢 (2013-03-01 21:15)
金華糖ですか、寡聞にして初めて知りました(^▽^;)
by johncomeback (2013-03-01 21:19)
みなさん
金華糖を飾られた思い出のあるかたも この記事により知ってくださったかたも こんばんはでやす(◎o◎)/
あっしも買い初めて二年くらいは 何というお菓子なのか知らずに
ある時、確かサライだったかな、古本屋で見つけた雑誌に取り上げられていて それで呼称や金沢が最も盛んであることを知りやした。
雑誌が創られた時は まだそれほど希少ではなかったようで、絶滅危惧的なことは書いてなかったんでやす。
毎年、喜久屋さんのガラスケースを覗く度に 漠然と 「なんか年々種類が減ってるような・・・」くらいに思ってやした。今年こうしてご主人からお話を聞かせていただくまでは。
テレビでご覧になった木型、金華糖の・・・・かもでやすね(◎o◎)b
ほんとに職人さんが少なくなってゆくのは残念でやすよね。
飴細工 しんこ細工とともに 消えずに残り続けてほしい日本の伝統菓子でやすね。
因みに、飴細工としんこ細工には ぼんぼち、それぞれ一度づつ遭遇したことがありやす。
飴細工は小学生の時、家族で靖国神社に行ったら職人さんがおられやした。
あれは正月だったのかな。
白い馬かペガサスをこさえていただきやした。
しんこ細工は西荻窪に越してきてから何年目かに。
お祭りの時に駅前に職人さんがいらしてて、蛇を所望しやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-01 23:02)
西荻に居た頃、私もつるっとした感じに初対面した事がありました。あとで手放すときに申し訳ない気がして、何回か眺めに通って行きました。
by 404 (2013-03-02 09:34)
404さん
そうでやしたか!
この時節に ガラスケースに様々な種類のがい並ぶ様子は 圧巻でやすよね。
金華糖以外にも、喜久屋さんは、国内外の色んなお菓子や缶詰が並んでて 覗くとつい いろいろ買ってしまいやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-02 23:22)
金平糖ではなく金華糖なんですね。
金沢らしい可憐なお菓子ですね。
わたしゃ、金平糖で一句です。(^^;
by 楓〇 (2013-03-03 23:13)
楓〇さん
へい、きんかとう でやす(◎o◎)b
味は、金平糖と同じような感じでやす。
楓〇さんの短歌、格調高くて大人だなぁと思いやした。
五智果って ありとあらゆる種類の野菜がそのまま素材になっているのでやすね。
朱塗りの菓子皿によく合いやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-03-04 12:01)