THE BAWDIES(ザ ボゥディーズ)を聴きながら--嗜好に関する自問-- [感想文]

音楽に関しては、専門的に学んだこともなく まるで疎い私ですが、一応 私なりに好き嫌いはあります。
映画やファッションのような視覚に多くうったえる分野の好きの範囲が くっきりとした輪郭の針の穴くらいとすれば、音楽へのそれは ぼんやりとした土管くらいに大らかで曖昧なものですが、ぼんやり土管はぼんやり土管なりに なんとなくその輪郭があります。

一年ほど前、ふとしたきっかけで THE BAWDIES(ザ・ボゥディーズ)の「I BEG YОU」というPVを 観・聴きました。
ビートルズに強く影響を受けていると誰れにも解る音と映像の中、しゃがれ声の攻撃的なボーカルがバツグンに上手いな!と 息を飲みました。
さっそく他の楽曲も聴いてみました。
ゴキゲンなアップテンポの中に 心はほぐれ はずみ出し 「このバンドの曲は順に買ってゆこう!」と いろめきたちました。
THE BAWDIESは、1983年生まれの4人の青年から成る ルーツミュージックを土台としてオリジナリティーを追究するロックンロールバンドで、2009年にメジャーデビューしたのだそうです。
そして 今現在は、音楽誌の表紙を飾ったり タワーレコードの広告に登場したりと、街なかのそこここで 全国区的な人気バンドにうねりふくらみつつあるのが如実に感じられます。
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私は、自分の青春時代------70年代後半から80年代------に主流となっていた音楽には どうも心地よさを感じられませんでした。
------当時すんなりと受け入れられたのは ネオGSブームくらいだったでしょうか。
この中で唯一メジャーデビューしたファントムギフトは、CDは買いませんでしたが 古着をキメて何度か踊りにライブに行ったことがあります-------
今でも たまたま入った飲食店などで 私の青春期にヒットした曲が流れ始めると、正直なところ ちょっとがっかりしてしまいます。

逆にさかのぼると-------物心ついた頃からすでに耳に入っていたのはクラシックでした。
応接間の棚のすみからすみまでがクラシックのLPで、そのいずれかが流れていたのですが、いくらゆったりとソファに身を沈めて耳を傾けても 心はアルミのように硬くなるばかりでした。
中学生になると、よく学校帰りや日曜日に アンティークショップをのぞきひやかしていましたが、そこでこぼれていたペラッペラのラグタイム、あれには何だか安らぎを覚えました。
------勿論、私は それら 自分の耳が受け入れられない音楽を 決して否定してはいません。
単に 私の「嗜好」の問題としての話です------

私がこれまでの人生で 特に心地良さを感じたミュージシャンは、国内だと 憂歌団、上田正樹&サウストゥサウス、スパイダース、ゴールデンカップスです。
どれも バンド自体はとうに活動をやめて久しくしてから かすかなきっかけで耳に入ったのを、蜘蛛の糸をたぐるようにその存在を認識してゆき 聴くようになりました。
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ということは、私のぼんやり土管の内側は、(土台としているのが)ある一定の時代の内なのかな、と 曖昧に 自己分析ともいえない自己分析をしてみたりします。
加えて、ボーカルがしゃがれ声だと なお心地良さを覚えるように思います。
ですから、BAWDIESのボーカルRОYさんの声は、憂歌団の木村充揮さん、キー坊(上田正樹さん)と並んで 私が最も安らぎを感ずる声質です。
------RОYさんは、元々あの声だったわけではなく ハウリンウルフのそれを目指して 日々の訓練の積み重ねによって創り上げていかれたのだそうです。
私は 国外ではハウリンウルフも聴いていたので、その旨のインタビューを聞いたとき「あぁ!なるほど」と思いました。
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しかし------
何故、私のぼんやり土管の内側はそこなのか-------
それは、私自身にも 上手く説明ができないのです。
これが映画やファッションであれば、嗜好のくっきり針穴が何故ゆえそこなのか、如何なる「何故」を向けられようとも 必ず 間髪おかずに答えることができます。
バッサバッサと鮮やかな刀さばきで100人を切り倒し すっくと立つチャンバラ映画の主人公のように迎えうつことができます。
それらの方面は、歴史や構造など ある程度学んできたので 理論的に考察・分析することができるからです。

何故 心地良さを覚えるのか、何故 安らげないのか、嗜好に関する「何故」への答えというものは、所詮は後付けの理論なのかも知れません。
けれど、基本的に物事を理論的に考える私は、やはり それにも 探ればどこかに理由があるように思うのです。
疎い分野は自己分析できない というだけではないか と思うのです。
物事には必ず「理由」というものがあるように思うのです。
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私は今、毎晩 一日の汗やホコリをシャワーで洗い流すことで心地良い自分にもってゆくように BAWDIESの音を浴びています。
そしてこのバンドには、耳心地の良さだけではなく 目にも同質のものを感じています。
モッズスーツで身をかためたメンバーの姿が全員イカす! というのもあります。
それもありますが、ビデオクリップをはじめとする映像が見事です。
映像作品として非常に優れたものが幾つもあります。
いい映像作家がついてくれているなぁと 感嘆せずにはおれないものがあります。

ということで、次回9月3日は、THE BAWDIES・PVの感想を述べたいと思います。

 
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コメント 27

muzik

ザ・ボウディーズはワタシもデビューから注目してました。
オーストラリアでライブやって受けてたみたいですね。
音的にはビートルズというか、やはり60年代のザ・ソニックスとか
のガレージ系の元祖とかをベースにしているようです。
細身のズボンとかで格好いいですね。
モッズとかの時代を彷彿とさせてくれます。
by muzik (2011-08-31 07:40) 

ぼんぼちぼちぼち

muzik さん

おはようございやす。
音楽に明るくておられるmuzikさんから さっそくのコメントいただけて 大変嬉しゅうございやす・ぺこり。

オーストラリア・ライブの模様、DVDの中に入っていたので観やした。
とても盛り上がってやしたね。

やはりmuzikさんは デビュー当時からご存じだったのでやすね。
あっしは、音楽の情報受信は、アンテナ立ててないので
なかなか 何かきっかけがないと知らなかったりしやす。

あっしがボウディーズを知った最初のきっかけは、このソネットブログのブロガーさんtateichi_mさん(綴りまちがってたらすいやせん)が PVをブログに貼られてて それを観たことによりやす。
この場を借りてtateichi_mさんにもお礼言わせていただきやす。 ありがとでやす(◎o◎)/

by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-31 11:48) 

conta

独身時代に札幌で上田正樹&サウストゥサウスやカルメン・マキ&オズなど聴きにいきましたよ。
by conta (2011-08-31 18:49) 

マキティー・リリー

青春時代を思い出しながら、曲を聴くと落ち着きますよね。

by マキティー・リリー (2011-08-31 18:57) 

ふぢたしょうこ

7歳の時、偶然に聴いたバッハから、いまもずっと何十年と聴いています。
バロック音楽は600曲ほど所有していますが、やはり7歳の時に聴いたバッハのゴルドベルグ変奏曲が一番です。

バッハを語りだすと、みんな引いちゃうので、ここまでにしておきます・・・
by ふぢたしょうこ (2011-08-31 20:15) 

ぼんぼちぼちぼち

conta さん

サウストゥサウスを 当時リアルタイムで聴きに行かれてたとは かなり羨ましーでやすっ\(◎o◎)/
アルバム「ぼちぼちいこか'08」もいいでやすね♪
あっしは、「俺の借金全部でなんぼや」のこっちのアレンジ かなり好きだったりしやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-31 20:25) 

ぼんぼちぼちぼち

マキティー・リリー さん

マキティー・リリー さんは、御自身の青春時代と流行りの音楽が一致されてるようで なんか羨ましーでやす。
行こうと思ったら 生でその音を聴けるわけで・・・

映画や録音された音楽は、リアルタイムじゃなくても十二分に享しめやすが
演劇やライブのような 観客も一参加者として体感する という形のものは 物理的に不可能なので。


by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-31 20:35) 

ぼんぼちぼちぼち

ふぢたしょうこ さん

御自身の「これだ!」と納得できる音楽に出逢えたのが7才だったとは
運がいいと同時に 小さい時から耳がこえておられたのだなぁと驚きやす。
バロック音楽を600曲所有されてるというのもすごいでやすね\(◎o◎)/
クラシック喫茶オープンできるくらいな勢いでやすね♪
by ぼんぼちぼちぼち (2011-08-31 20:44) 

扶侶夢

ザ・スパイダースのサウンドは当時のGSの中では最高だったと思います。田辺昭知やかまやつひろしのセンスと才能がずば抜けていたように思いましたね。(その後、加藤和彦というスゴイのが現われましたけど…)
by 扶侶夢 (2011-08-31 20:53) 

あばれスピア

初めまして、あばれスピアと申します。
今日は訪問&nice!ありがとうございました。
物心ついたときから耳にしているものは、その後も1番好きなものになりやすいですよね。
by あばれスピア (2011-09-01 00:00) 

ぼんぼちぼちぼち

扶侶夢さん

20代後半くらいに、かつてメジャーだったGSの代表曲が集められてるCDを聴いて
その中で「バンバンバン」は何てカッチョイイんだろーー♪と思って
それをきっかけに スパイダースにハマりやした(◎o◎)b
その頃は すでにマチャアキが かくし芸大会のトリで満点出してた時代になってたと思いやす。
他には「フリフリ」のあたりも好きでやす。

10年くらい前に 江古田マーキーでの かまやつさんのライブに行ったら
スパイダース時代の曲も歌ってくださって 感激しやした(◎o◎6~♪
by ぼんぼちぼちぼち (2011-09-01 00:16) 

ぼんぼちぼちぼち

あばれスピア さん

こちらこそ ありがとでやす(◎o◎)/

>物心ついたときから耳にしているものは、その後も1番好きなものになりやすい・・・
世の中には そういうかたのほうが多いのかも知れやせんなぁ。
そういうケースって、宝くじが当たるような単なる偶然ではなく
刷り込みみたいなものなのかな・・・
音に限らず、こういったことに焦点をあてた記事、先々また書きたいと考えてやす。
あっしなりに かなり考察したいテーマでやす。
 

by ぼんぼちぼちぼち (2011-09-01 00:26) 

はんそで

ボーディーズかこいい!
若いのにあの声も音もかっこよすぎです
by はんそで (2011-09-01 02:41) 

桔梗♪

同じように クラシック曲の原点を持ちながら
ミーハーに発展し
by 桔梗♪ (2011-09-01 09:29) 

桔梗♪

連続投稿 失礼します(>_<)
前のは 削除できないみたい…(-_-;)
そう
ともかく ぼんさんの 感受性が
鋭くていらっしゃるから
なんだと思います
能天気な私は いい年して
未だに ヴィジュアル系ロックなんかに
まみれてますよ(;>_<;)
by 桔梗♪ (2011-09-01 09:39) 

ぼんぼちぼちぼち

はんそでさん

かっこいいよね~\(◎o◎)/
最初に歌だけ聴いてからRОYさんの姿見た人は かなり驚くんじゃないかなって思いやすよね。
こんなにスマートで若い人が歌ってたのー?って。

一番新しいアルバムの中だと「YEAH」が特に好きでやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-09-01 10:50) 

ぼんぼちぼちぼち

桔梗♪さん

桔梗♪さんも小さい頃は クラシックに囲まれてたのでやすね。
ヴィジュアル系 いいと思いやすよん(◎o◎)b
ジャンルに上下はないと思うので。

そういえば、先日、バンドやってる人に ヴィジュアル系はどういう流れで発展したのか 海外だとどのあたりの影響を強く受けてるのか質問したら
ヴィジュアル系は、日本独自のジャンルで海外にはないんだよ と言われやした。
知らなかったでやす(◎o◎)
by ぼんぼちぼちぼち (2011-09-01 11:11) 

ココアなクマ

次回も期待して読ませてもらおうと思います ( ̄∇ ̄)
by ココアなクマ (2011-09-01 11:40) 

こしひかり

こんにちは。 先日はお見舞いのコメントをいただきありがとうございました!
ボーディーズ、私もラジオで耳にしてから気になっているバンドです^^
by こしひかり (2011-09-01 14:28) 

ぼんぼちぼちぼち

ココアなクマさん

そう言っていただけるとは光栄でやす・ぺこりっ。

今回は、自分の疎い方面に関してのこと---音楽---だったので かなりたよりない文でやしたが
次回は、同じボウディーズでも 映像についての感想なので
もうちぃとは かちっとしたもの書いてやすf(◎o◎)
by ぼんぼちぼちぼち (2011-09-01 22:22) 

ぼんぼちぼちぼち

こしひかりさん

気になっておられやすか!
RОYさんは、ラジオ番組も持っておられるようでやすね(◎o◎)b

今日 近所の古着屋さんの店先でも 武道館ライブ告知のポスターを見かけて「おぉっ!」と思いやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-09-01 22:28) 

そらへい

この前の
>大阪の男の唄ふブルース
とは、上田正樹さんのことでしょうか。
by そらへい (2011-09-02 21:09) 

すーさん

”どの音楽を聴くか”というのは、好きなものを聴くに尽きますが、
”何故好きなのか”というのを色々な音楽に触れて分析して
行く作業もまた愉しいものです♪♪。
by すーさん (2011-09-02 21:23) 

ぼんぼちぼちぼち

そらへいさん

一番強くイメージしたのは 憂歌団の木村さんなんでやすが
「ぼちぼちいこか」のキー坊も あっし的にかなり近いものがありやす(◎o◎)b
まぁ、音楽に疎いぼんぼちのことなので・・・f(◎o◎)

いつか、ゴールデンカップスを聴いて横浜が浮かんだ・・・みたいな短歌や俳句もこさえてみたいと思ってやす。

ともあれ、音楽にとても明るくておられるそらへいさんにコメントいただけて 嬉しいでやすっ・ぺこりっ。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-09-02 22:33) 

ぼんぼちぼちぼち

すーさんさん

へい、あっしは、良くいうと理論的、悪くいうと理屈っぽい人間なので
何に関しても「何故」を追究せずにはおれなかったりしやす。

それにしても、今は、世界の様々な時代の音楽を お金をかけずに聴いてみて その中で 自分の嗜好に合ったものを探すことができる
そういった意味では、恵まれた時代だなぁと思いやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-09-02 22:58) 

サァファイヤ

ゴールデンカップスのミッキー吉野しか知らないです。
さらに、ゴールデンカップスの曲は聴いたことがないのです。
彼らはどんな曲を歌っていたのかなぁ。

by サァファイヤ (2011-09-04 19:09) 

ぼんぼちぼちぼち

サファイヤさん

ゴールデンカップス、あっしもリアルタイム(高校一年か二年の頃)では、すでにゴダイゴを率いてたミッキーさんと、ドラマ「悪魔のようなあいつ」に役者として出演されてたディヴさんしか知りやせんでやしたf(◎o◎)

カップスにハマったのは、7年くらい前に「ワンモアタイム」というドキュメンタリー映画が作られて
その特集番組を横浜放送で観てからでやす(◎o◎)b

世間一般的には「長い髪の少女」とかの、え?これがGS?ムード歌謡みたいーってな曲が知られてやすが
あっしは、「スプーキー」「ストレンジ・ブルー」「ルシール」のあたりが 震えがくるほど好きでやす((◎o◎))♪



by ぼんぼちぼちぼち (2011-09-04 19:46) 

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