あっしがマッチの炎だったころ

カサ・・・これは、あっしが前世で
シュッ・・・マッチの炎だったころの
ボッ！・・・お話しでやす。

目を開けると----　三日月型の白いものがありやした。
切られた爪でやした。
やや厚く　すじがいっぱい入っていて、内側が　ちょっと黄ばんでいやした。
それは、黒々と汚れた　アルミの灰皿の中にありやした。
あっしが近づけられやした。
ジュワ・・・
「・・・やっぱ　くっせ」
あっしはフッと吹き消されやした。

あっしがマッチの炎だったころの生は、こうして終わりやした。

--------虚ろでやした。
あっしは、燃え尽きもせず　不完全燃焼でもなく、ただただ　虚ろなのでやした。

あっしは　決して、不幸な少女を照らす荒唐無稽な夢物語を思い描いていたわけでも、川に流す弔いの火つけという高尚な大役を期待していたわけでもありやせん。
けれど、マッチの炎はマッチの炎なりにも、炎と生まれたからには　何か　もう少し　炎らしいことができていれば、あっしは　こんなにも虚ろではなかったのではないかと思うのでやす。
たとい　それが、砂糖に近づいた蟻を焼くという　殺生だったとしても・・・・

タグ：炎

コメント 59

マッチではなく炎の方とは
しかも使い方が…
とても独創的ですね＾＾
by 土芽 (2011-05-24 07:31) 

　最近マッチは見なくなりましたね～。吸わないので煙草の臭いは嫌いですが、軸マッチの燃える臭いは大好きです。
by にすけん (2011-05-24 07:49) 

炎ですか・・・・儚さが・・・思い浮かぶけど・・
虚ろ・・・・
パッと消える潔さも・・・見えたりして・・・
by hatumi30331 (2011-05-24 10:12) 

土芽さん

あ、その二つに着目していただけて嬉しいでやす・ぺこりっ。
このテーマを言うには　どんなものに材を取ったらいいのか　ちぃと考えやしたが
こう決めて良かったな　と思いやした(◎o◎)b

by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-24 12:34) 

にすけんさん

ほんとに見なくなりやしたね~
飲食店でも創ってるとこが少なくなりやしたよね。
幼少のころは、家族で行ったレストランや喫茶店のマッチを
貰ってきてコレクションしてやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-24 12:40) 

hatumi30331 さん

儚さとか潔さというのは、一般的な　炎に対する客観でやすね。
これは、こういう一生を送ったこのマッチの
内的吐露の小説でやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-24 12:47) 

天王寺に行くと、ややお年を召したマッチ売りの少女がいて、一本１００円だと・・・地下鉄で、お向かいに座ったおぢさんの新聞に、こう書いてありました。
やはり、買いんしゃるお人の、おらるっとでしょうね。

by ＣＯＰＰ（コップ） (2011-05-24 13:06) 

ムダな使い方は
使う方も使われる方も不幸なんですね。。。
by rtfk (2011-05-24 13:30) 

お待ちしておりました♪＾＾
私、このシリーズ大好きです。
マッチ箱でもなく、マッチの頭でもなく
マッチの炎なんですネ。
ほのおと読まずに、ほむらのほうがいいかもしれませんネ。
最初にぼっと点いたその瞬間から、
炎はどのように散るのでしょうネ・・。
アルミの灰皿と爪がリアルで、冷たいのに
炎の不思議さと寂しさが、寥としていて好きデス。
by つなみ (2011-05-24 15:23) 

切られた爪に火をつける人のことが気になって…
案外、ぼんぼちぼちぼちさんがやってたりして、いや失礼。
どうも不幸な人の元に生まれたようで。

by galapagos (2011-05-24 18:00) 

マッチの炎ですか。
いや～、儚いな＾＾
しかも爪を燃やすのに使われちゃいましたか。
残念です。せめて花火とかだとよかったですね。

by リンさん (2011-05-24 18:11) 

ＣＯＰＰ（コップ）さん

うわ・・・マッチ売りの少女さん、いまだにおられるところがあるのでやすね・・・
ハマのメリーさんも引退された現代(いま)・・・
野坂昭如センセイの「マッチ売りの少女」も　また読んでみたくなりやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-24 19:17) 

rtfk さん
galapagos さん

そう、このマッチに火を点けたツメの主も
不幸なんでやすね。
不幸で孤独でつまんない人間。
そんなニュアンスまで伝わって嬉しいでやす＼(◎o◎)／
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-24 19:23) 

つなみさん

そう、箱でもマッチ棒そのものでも頭の部分でもなく　炎。
なので、ボッ！と点けられたときに　その命・意識が始まっているんでやす(◎o◎)b
この作品は、灰皿は汚れたアルミで　焼かれるものはツメ　とすることで
最も「虚ろ」な気持ちが立ちあがるな　と思いやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-24 19:30) 

リンさん さん

花火だったら　このマッチの炎も　本望だったと思いやす。
「大義なく終わってしまう人生の虚しさ」というテーマの寓話には
これらのモチーフが最適だと考えやした。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-24 19:36) 

ふと、松鶴家千とせを思い出しました。
関係なくてすみません。(;ﾟ(ｴ)ﾟ)
by チヨロギ (2011-05-25 00:23) 

つめを燃やしちゃう人がいるのですね！

虚ろではなく生きたかったって、人間でもおなじ願いがありますよね。
by お針子姫 (2011-05-25 01:41) 

マッチ１本コラムの元。これ以上軽いものは無いというものにずっしりと重いたとえを託す。さすがですね。
by sig (2011-05-25 08:03) 

チヨロギ さん

俺がプリンだったころ・・・・解るかな、解んねーだろーなー
でやすね(◎o◎)b
結構好きでやしたね~
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-25 10:40) 

お針子姫さん

ツメを燃やす人　いやすね。
これは、何か意味があってのことではなく
単なる気まぐれとか　ヒマつぶしとかでやすね。
このマッチの炎は、そんな無意味なことに　一生を使われてしまったのでやすよん(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-25 10:43) 

sig さん

マッチ一本・・・ナイスでかつ嬉しいコメントありがとでやす・ぺこりっ。
今回は、極端に短い作品でもって　これ以上はないというほどあっけない人生を描いてみようと思いやした。
となると、こういうテーマでこういう素材で・・・
が最も立つな　と(◎o◎)b

by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-25 10:50) 

ご無沙汰しました。
最近、体調不良や勉強で更新する時間がありませんでした。
これからはそんなことなく頑張ります。
by マキティー・リリー (2011-05-25 20:14) 

虚ろですか・・・同じようなことを考えながら、燃えカスでも　それでも生きている人生もありますね
by よいこ (2011-05-25 20:24) 

マキティー・リリー さん

無理のない範囲で　がむばってくださいでやすo(◎o◎)o
寒暖の差も激しい今日この頃なので　体調も崩しやすいでやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-25 21:49) 

よいこさん

そう、現代は、「大義」なく生きる人の多い時代でやすね。
対して、最もそれの強烈にあったのは　戦時中でやすね。
あっしは勿論、戦争や兵隊にとられることを肯定している訳ではなく
各々が自由な目的のために生きてゆける時代のほうがいいと思ってるんでやすが
与えられた大義がないと　何を目的に生きてゆけばいいのか
解らなくなってしまう人がいるのも事実でやすね。
今回は、そういうことからの発想で書いてみやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-25 22:03) 

その昔タバコを吸っていた頃、わざわざマッチを買ってタバコを吸う時に使ってました。ライターあるのに…　マッチをする一瞬の間がたまらなくカッコよく思えたりしたんです。青かったなぁ
by Umi-Bozu (2011-05-25 22:40) 

Umi-Bozu さん

あ、そのカッコよさ　解りやす(◎o◎)b
ちょっとクールに眉をひそめてシュッて・・・

因みに、タバコに火を点けるのに一番カッコ悪いのは
チヤッカマンだと思いやす(◎o◎)b
どんな突風中にも必ず点けられるにも関わらず・・・
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-25 23:39) 

思わず唸った！上手いな～と、マーティー・キナート。

マッチの火は、酸素と出会い赤く赤く燃え上がり
二酸化炭素となっても、循環し
やがて、またマッチの軸となることを夢見る。

運悪く割り箸となり、ポイっとやられたら、
それでも、旅は続く

早くマッチになれよー　なんてね。
by masakazoo (2011-05-26 00:24) 

平凡でも、頑張って生きたいなって思いました。
by ミケシマ (2011-05-26 13:27) 

masakazoo さん

ありがとでやす・ぺこりっ。
また一つ新たな作品のヒントをいただけたようでやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-26 19:29) 

ミケシマさん

あっしの作品を読んで　なんらかの感情を抱いていただけたとは
拙いなりに創りがいがあったというものでやす。
嬉しいでやす＼(◎o◎)／
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-26 19:35) 

ほんの一瞬の儚い一生・・・
何があったわけでなく、ただボッと燃えて終える
でもそれも人生。それはそれで好きですね（笑）
by akipon (2011-05-26 20:58) 

お久しぶりでございますー。
わたしも小説に挑戦してみようかなと思いました。
たぶん公開はFacebookのほうにするつもりですが。
小説……。難しいのかな？
by 部長 (2011-05-26 21:19) 

あっしがマッチの炎だったころ・・・
わかるかなぁ
わっかんねぇだろうなぁ
シュビディビ－
by 大将 (2011-05-26 21:49) 

akipon さん

なるほど、こういう生き方もお好きでやすか。
どういう感想を持たれるかに　みなさんのお人柄がちぃと垣間見えるようで　興味深いでやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-26 21:59) 

部長さん

お久しぶりでやす(◎o◎)／
趣味で小説書くの　かなりストレス発散になりやすよん(◎o◎)b
部長さんが書かれたら　是非読んでみたいでやす！
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-26 22:04) 

大将さん

大将さんも　ちとせさんを思い出されやしたか(◎o◎)b
あのおかたも、過去に　さまざまな突拍子もない物だったんでやすよね・笑
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-26 22:07) 

小説と、皆さんの書かれたｺﾒﾝﾄ。
両方を興味深く読ませて頂きました。
by hana2011 (2011-05-26 22:48) 

マッチ売りの少女のように
灯りをポッと　ともして～
暗闇を一瞬でも照らしただけでも
夢は　見られるかも～儚いものこそ
価値がある気する～＾＾そこにだけ～

by みうさぎ (2011-05-26 23:45) 

何か抵抗があって、コメントを書けずにいました。
今日はじっくり、私にとって何が抵抗になっているのかな、と考えてみました。
結論は、生きることにそんなに意味を求めなくても、という思いでした。
さらさらと水が流れるように生きることができたらいいなあ、
というのが、私の夢みる生き方です。
by elm (2011-05-27 00:13) 

燃え上がる一瞬が不完全燃焼だと
悔いが残りますね

by 藤並　海 (2011-05-27 00:48) 

hana2011 さん

ありがとうございやす・ぺこりっ。
あっしも　みなさんからの様々なコメント
なるほど　と読ませていただいてやす。
色んなかたの色んな考えを知りたいでやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-27 10:49) 

みうさぎさん

あぁ、儚いものにこそ価値を感じるって　解りやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-27 10:54) 

elm さん

コメントありがとうございやす。
みなさんがこの作品を読んでくださってどんな感情を持たれるのか
とても知りたかったので　嬉しいでやす・ぺこりっ。

さらさらと水の流れるように・・・いいでやすね。
あっしも　そういう生き方ができたらいいな　と思いやす。
何も人生、大義がなければいけない　というわけではないので。

けれど、いくら憧れても　現実に　あっし自身には
自分自身が心底思う意味がないと生きてゆけない人間でやす。
大義なく生きてゆけたら楽だろうな　と思いやす。

この小説のマッチの炎は、「何でもいいから大義といえるものが欲しかった」わけでやすが
あっしは、他者から与えられた大義には　絶対に従えないでやす。
要するに、融通がきかないんでやす。

一連の「あっしの前世シリーズ」の主人公には、
様々な価値観・生き方のモノ達を登場させやす。
勿論、あっしが　主人公の生き方を肯定しているわけではなく
みなさんはどう思われるかな？　という「投げかけ」であり
あっし自身も　書くことによって生について再考しておりやす。

これからも、思われるところあったら　是非　コメントくださいでやす(◎o◎)／


by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-27 11:19) 

藤並　海さん

確かに！
あっしも悔いのない人生を送りたいと思ってやす。
でも、難しいだろうなぁ・・・
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-27 11:28) 

最後の一行が(≧ω≦)・・・想像ができません〜。
by ちゃーちゃん (2011-05-28 00:00) 

ちゃーちゃんさん

まぁ、蟻とはいえ　ちぃと残酷でやすもんね。
因みにこの作品は、3月末に公開予定だったのでやすが
地震直後には不適切だと判断し　今月の公開としやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-28 12:30) 

私の知人のある人は、定期的に足底のウオノメをカッターナイフで剥ぎ取って、燃やすといか焼きの匂いがすると面白がっておりました。ただ、その人はマッチでなくライターを使用しておりましたが。
by ムース (2011-05-28 13:14) 

ムースさん

うわ・・・ということは、結構美味しそーな匂いなんでやすね(◎o◎：
まぁ、どちらも硬いたんぱく質でやすもんね・笑

そーいえば、父方の祖父は、両方の足の裏一面に魚の目が絶えなかったらしく
いつも　そろりそろりと歩いていたのを思い出しやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-28 15:10) 

この話、好きです。
by ふにゃいの (2011-05-28 21:26) 

ふにゃいのさん

ありがとでやす・ぺこりっ。
自分が書きたいように書いたものを　そう言っていただけるとは恐縮でやす(◎o◎)
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-28 23:11) 

おお、これは・・・不条理ですね！
by opas10 (2011-05-29 12:22) 

何だか．．．奥が深いです．．．
by ミラノ (2011-05-29 15:55) 

opas10 さん

そうでやすっ(◎o◎)b
不条理であることが伝わって嬉しいでやすっ！
あっしは、自分で観たり読んだりするのも不条理が好きなので
やはり　こういうのを書きたくなってしまいやすo(◎o◎)o
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-29 20:52) 

ミラノさん

ありがとでやす・ぺこりっ。
「あっしの前世シリーズ」、様々な「生」を描けたら・・・
と思ってやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-29 20:58) 

ぼんぼちさんの小説、好きです。
最後の一行が刺さりますね。
小さなマッチの炎だけど、一瞬の生を意味あるものとして全う
したいっていうか。。。たとえ殺生だとしても。。。
ふとした瞬間に虚しくなったりしますよ。
何か、生まれてきて生きた印を残して逝きたいなぁ、なんて
思います（アリンコの殺生ではなく☆）
前世シリーズ、これからも読みたいです…
by トトマス (2011-05-30 23:21) 

トトマスさん

とても嬉しいコメント　ありがとでやす・ぺこりっ。
そう、この小説は最後の一行に　特に力を置きやした。

あっし自身、生まれてきた印を残しておきたいって強く思いやすね。
ブログは、仕事でやっているわけではないので
そういう意味で　資本主義に迎合せずにいられる　嘘いつわりのない正直な自身の表現手段でやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-05-31 01:12) 

あっしが○○だった頃シリーズ好きです
by めぇてる (2011-06-08 15:06) 

めぇてるさん

ありがとでやす・ぺこりっ。
今月末には、今回とは逆に　とても大きなものだったころのお話をお届けしやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-06-08 20:44)