きのう・きょう・あしたのジョー [感想文]
私達は過去の物事を見るときに、その間の「時」を含めて見るものである。
例えば、黒電話を目にした時、「あの頃は のんびりしていて良かったなぁ」でも 「わぁ!アンティーク!オシャレ!」でも 「あんな不便な時代は もうこりごりだ」でも、必ず、黒電話からプッシュホン、コードレス、ケータイ電話の出現 小型化、そしてスマートフォンへ という電話の歴史を 意識・無意識のうちに辿り、結果として 何らかの反応を生んでいるのである。
たとい、「私は何も感じません」という人がいても、その人も やはり、黒電話時代に物心がついていたのなら、プラスの感情もマイナスの感情も生まれないとしても、同じに、脳の底の部分で その歴史を辿った末に、「何も感じない」という感情に ゆきあたっているのである。
つまり、黒電話の持つ意味が、-----無論、単なる機能としてのみならず-----当時の黒電話と スマートフォン誕生の現代の黒電話とでは 私達の間で 大きく違う訳である。
かつてリアルタイムの時代設定で創られた 小説なりマンガなりアニメが、時を経て 映画化・舞台化されるケースが しばしばある。
その場合、私が何よりも着目せずにはおれないのは そこである。
現在(いま)という時空に立って当時を見る私達に、創り手は 何を提示してくれるのか、と。
まれに、時代設定を現在(いま)にし、-----勿論、それでこそ成立している場合は天晴れであるが-----結果、原作の背負うテーマが希薄になり その原作を選んだ意味がなくなってしまっているものや、単に原作をなぞっただけで 現在(いま)の私達の立ち位置をまるで考えていない為に、「何故、いま この原作を取りあげる必然があったのだろう?」と 大きな疑問の土産を持たされて 観客席を立つ作品が ある。
私は そういう作品の創り手には、表現者としての決定的な欠如を感じずにはおれない。
来月-----2011年2月11日、「あしたのジョー・実写版」が公開されるという。
山谷のドヤ街も トラマツルギーとしてのボクシングの持つ意味も 色相を変え、反体制という この原作の脊椎に相当する 負のカタルシスの美学も ボロボロにちぎれ去り風化しきった 2011年の現在(いま)。
-----創り手は、何を訴えかけてくれるのだろう?
予告編を観てみた。
その最後に こういう字幕が出た。
「この時代の若者に ジョーは いるか?」
この映画、公開早々に 劇場に足を運んでみよう と 思った。
タグ:あしたのジョー
ヤマトも然りでしょうか
音楽の分野でも言えるような
焼き直しは手軽でしょうが
そんなにいくつもの映画や本や音楽が要りようなのかしらん と
遡って(いくつかの)原作を求めるばかりも、アリですよね^^;
過去に実写版があったか知りませんが
あしたのジョーの実写版だけは観る気はありません。
どの時代でどなたが演られるとしても。
あぁ。あのおじょうさんとジョー最後の控え室のシーンがぁ!
カーロスと公園で無邪気に遊ぶシーンがぁ!
一話から観たくなってきましたー。持ってます(^^)
by recchu (2011-01-30 07:54)
長いストーリーですからねえ、どこを切り取ってくるのか。
ボクシングシーンをどう撮るのかは見たい気がしまが、いまさら感はぬぐえず。私の脳細胞も入れ替わり、読んだ当時の感覚もおぼろであるが。
by galapagos (2011-01-30 08:21)
赤→黄→緑 電車の信号機のような流れですね。
あ、公衆電話の色の変遷ですが。 因みに今はグレーですな。
携帯の普及で探すのが大変になりました。
ジョーのラストはボクサーとして燃え尽きた。
ボクサー=人生で命の火も燃え尽きた。 どちらだったのでしょうかね?
巨人の星は右手で復活したけど、矢吹丈はあのまま永遠がいいなぁ。
by 太陽の玉子 (2011-01-30 09:45)
そうですね
今 時代性の強い作品がどう生まれ変わって
私たちの心に蘇るか ですね
by きよたん (2011-01-30 09:55)
実家に黒電話がやって来たのが、ぼくが小学5年生か6年生のときで、
近所の友人宅にも同じ頃に取り付けられて、互いに電話をかけあっては、
「本当に繋がって話ができるんだ~!」と、当たり前のことに、すご~く
感動した記憶があります。純粋な子ども時代だったんですよね~(^_-)-☆。
by NONNONオヤジ (2011-01-30 10:08)
映画である以上は、多分それなりに作品として
仕上がっているのでしょうね。
年配者にはノスタルジーを
今の若者たちには、それなりのメッセージがあるのでは・・・
そうして少なくとも両極の世代?を興業的には狙っているのだと思います。
by そらへい (2011-01-30 11:41)
原作を読んでから映画を見た時、余りにも描いたイメージと
違ってがっかりする事が多いです。
人間の感性って凄いですよねっ
深い悩みを抱えているときなんか、新聞やすべての読み物の
行間から、その文字だけをキャッチしてます。
by むらさき (2011-01-30 13:44)
まずは、確認ですね。
小説やマンガが原作の映画・・・ガッカリが多いのは、それぞれが持つ、見えない主人公のイメージや街の雰囲気・・・その他諸々・・・・違うからですよね。 それを、映像にすると、無理矢理・・自分以外の人・・・映画の場合は、監督や俳優のイメージに合わさなければならない・・・その違和感です。
そこを、わざと楽しむというのも一つの方法。
まずは、違いを検証してからですね。(笑)
by hatumi30331 (2011-01-30 15:18)
「この時代の若者に ジョーは いるか?」ですか・・・
いいですね、先日奥様と映画を観にいったのですがポスターが貼ってありました、奥様と足を止めて暫く「あしたのジョー」で盛り上がってしまいました。
by 拳客 (2011-01-30 18:11)
いるジョー。^.^
by macky (2011-01-30 20:55)
私は今の若者の方が可哀想だなーと思います。
先が見えない・・・。
by k_iga (2011-01-30 20:56)
みなさん
みなさん こんばんはでやす(◎o◎)
さっそく沢山のコメントありがとーでやす。
あっしが この映画が公開されるのを知ったのは
昨年暮れ 山谷を散策していてシャッターに貼られたポスターを目にしたことによりやす。
あっしは 恥ずかしながら 原作のマンガは きちんと読んではおりやせん。
リアルタイムではアニメは観ておりやした。
しかし 小学校の低学年だったので 段平的に・・・
あっ 失礼しやした 断片的に憶えているくらいで
このところ ゆーちゅーぶで 観ることのできる範囲は確認した次第でやす。
なので、原作のマンガに惚れこんでおられるかたや
1970年前後に すでに青春期を迎えていたかたは
この作品に対する思い入れが あっしなどとは比べ物にならないくらい 深くておられるとお察ししやす。
思春期・青春期に遭遇していないにも関わらず あっしがこの作品に惹かれるのは
あっしの大好きな寺山修司氏が 主題歌の作詞と力石の葬儀に携わっていた点と
作品の どうしようもないくらいの暗さ・破滅的な美学によりやす。
実写化は 過去に一度 されてるようでやすね。
あと、舞台やラジオドラマにも。
真っ白になったジョー 具体的にはどうなったのか
いろいろ論議が交されてやすね。
いろんな解釈が成り立つように創られてやすね。
あっし自身の勝手な想像だと
ジョーは 生物学的には生きているけど 精神的には
ボクサーとしてのみならず 人としても死んでしまった・・・と。
何故なら そのほうが 生物学的な死よりももっと 虚ろで悲しくて
この作品のドラマ性を最も貫く と思うからでやす。
いずれにせよ 映画の公開 待ち遠しいでやす\(◎o◎)/
by ぼんぼちぼちぼち (2011-01-30 22:01)
私もアニメはリアルタイムで見てました。
映画も見るつもりです。
by rtfk (2011-01-30 22:40)
「時」の重要性を感じました。
あの時は良かったものでも今見ると違ったり、ファッションが流行を繰り返すように、若者としては昔のものって今のものとは違った感覚があるから新鮮で魅力的に見えるのでしょうね☆
私自身このマンガは世代的にもアニメもマンガも観たことはなく、ストーリーもほとんど知りませんが、だからこそ新鮮で心に響くものだといいな、と思います。
by 腹黒ピカソ (2011-01-31 00:22)
一時は出版界から放逐されてた梶原一騎先生の原作物
ここに来てまた、盛り上がってますね。
タイガーマスク運動しかり、あしたのジョーも
やっぱり、浪花節ですよね人生は。
by muzik (2011-01-31 08:19)
rtfk さん
アニメ 観ておられやしたか!
映画 観られたら感想教えてくださいでやすっ\(◎o◎)/
by ぼんぼちぼちぼち (2011-01-31 11:45)
腹黒ピカソ さん
腹黒ピカソ さんの世代のかたにとっては
何もかも新鮮に感じられるのだろうなと思いやす。
何しろ 思いっきり「戦後」を引きずり
多くの日本人が ボクシングとプロレスに 敗北感の代償を託して テレビの前に群がっていた時代でやす。
日本人選手を応援する意味も 単に日本人だから のみならず
そういう気持ちを重ねていたんでやすよん。
映画 観られたら 感想聞かせてくださいでやす\(◎o◎)/
by ぼんぼちぼちぼち (2011-01-31 12:00)
muzik さん
そうでやすね。
日本人のメンタリティーの底には やはりとても湿ったものが流れていやすね。
その部分は 時代は変われど 普遍なのかな・・・
と思ったりしやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-01-31 12:08)
寺山修司氏が力石徹の葬儀をだしたことはよく憶えています。
寺山氏自身、昔ボクシングをやられてましたよね。
by akipon (2011-01-31 22:15)
akipon さん
へい、寺山氏のボクシングへの思い入れは かなりのものがあったようでやす。
ボクシングに材をとった御自身の作品も多く
劇映画「ボクサー」(主演・清水健太郎)も 作ってやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-01-31 22:36)
観ようかどうか迷ってます。
自分が持っているイメージと、どんな感じに観せてくれるんやろ?という期待感...
by のり (2011-01-31 22:58)
のりさん
あー それ解りやす。
あっしは 予告編を観て 観よう!と決めやした。
もし 観られたら 感想聞かせてくださいでやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-01 10:47)
ぼんぼちぼちぼちさん、チェック、ありがとうございました。
たくさんのniceの数なので下にたどり着くまで大変ですね。
「あしたのジョー」と聞くとすぐに“あの時代”にタイムスリップしてしまうのですが、テーマ曲とジャニーズのさきがけ的存在あおい輝彦が担当した矢吹丈の印象は強烈でした。
by fumiko (2011-02-01 19:02)
fumiko さん
尾藤イサオさんの歌うテーマ曲 耳によみがえってきやすね。
あっしは ブルース好きなんで、
荒木一郎さんの「ミッドナイトブルース」も好きだったりしやす(◎o◎)b
あおい輝彦さんの声 ジョーの雰囲気にすごく合ってやしたね。
とても好評だったそうでやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-01 19:45)
あしたのジョーは連載当時から読み続けていました。
ただ、その時のわたしは中学生でしたか...
物語に対しての受容力が足りなかったかも知れません。
ぼんぼちぼちぼちさんが、予告編で見に行こうと思われたその映画、
わたしも見に行こうかな、と思います。
by ナツパパ (2011-02-01 19:49)
あしたのジョー、あんまり読んだ記憶はないんだけど、もの悲しいイメージなんですよね・・・
by あら (2011-02-01 21:07)
ナツパパさん
中学生の時に原作読んでおられたとは
あっしなんぞより 遥かに 生生しく肌で感じられていたと思いやす。
本編を観に行こうと思った一番大きな理由は
記事中にも書いた通りでやす。
で、その次に突き動かされたのは
ジョーと力石役の役者さんが 何カ月もかけて身体を創られた
という情報でやす。
これは力石入れて・・・
あっっ 失礼しやした 力入れてる作品だな と(◎o◎)b
観られたら 感想聞かせてくださいでやすっ\(◎o◎)/
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-01 21:08)
あらさん
そうなんでやすよね。
破滅の美学なんでやすよね。
よど号ハイジャック犯にも「我々は あしたのジョーである」
と言わしめた・・・
ジョーそのものも どよ~んとした虚無な雰囲気なんでやすよね。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-01 21:17)
私も映画見たいと思います。
予告を見た限り、ジョーと力石の闘いは迫力ありますね。
漫画の映画化だと、イメージが違うという人がよくいますが、私は同じじゃ意味がないと思うし、違っていいと思うんです。
すごく楽しみにしています^^
by リンさん (2011-02-01 23:32)
初めまして、このブログ大人気ですね。
これからも宜しくお願いします^^
by kei (2011-02-02 00:32)
リンさんさん
リンさんさんも楽しみにしておられやすか\(◎o◎)/
そう、あの予告編は「おおっ!凄そうだぞ!!」と思わせやすね。
あっしも 原作をなぞることに忠実であってほしいとは思ってないでやすね。
観られたら 感想聞かせてくださいでやすっ\(◎o◎)/
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-02 10:38)
kei さん
へい、こんなあっしの自己満足で書いているものを
多くのかたが読んでくださってやす。
ありがたいことでやす。
こちらこそ よろしくでやす(◎o◎)/
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-02 10:40)
原作はリアルタイムで読んではいなかったのですが、昭和の時代に何とか体験しております。昭和30-40年代特有の閉塞感や渇望感が作品に彩を添えていたと思います。現代のリメイクだとスタイリッシュさを求めてしまい、工業としては上手くいってもジョーじゃなくてJoeになってしまいそうです。
by punchiti (2011-02-02 18:37)
punchiti さん
そう(◎o◎)b 閉塞感や渇望感 当時を象徴するマチエールでやすね!
ジョーかJoeか あっしは14日に観る予定でやすっ
楽しみでやすっっっo(◎o◎)o
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-02 19:32)
リメイクする時の制作者の意図…とても納得で、ためになりました。必然的な意味が欲しいというのは当然ですよね。
ところで映画化ですが、はるか過去に石橋正次・主演のモノを見てガッカリした記憶があります。その時の同時上映が…実写版の本宮ひろ志「男一匹ガキ大将」でした(マガジンとジャンプのすごい組み合わせ)
by 扶侶夢 (2011-02-02 19:48)
扶侶夢さん
石橋正次さん主演の過去の実写モノ、ゆーちゅーぶで観れるとこ ちいとだけ観やした。
ガッカリだったんでやすね・・・。
「男一匹---」と抱き合わせだったんでやすね。
そっちの作品の方がメインで上映されたんでやしょうか(◎o◎)
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-02 21:34)
ぼんぼちぼちぼちさんに言われて、急に、
見てみたくなりましたよ〜。
山谷のドヤ街、今もありますしね。
私は、当時とは少し違う意味で、
今もハングリーにならざるを得ない若者は
たくさん居ると思います。不況ですし。
by qooo (2011-02-04 20:49)
qooo さん
山谷のドヤ 随分 外国人旅行者のかたを迎えるホテルに様がわりしたようでやす。
しかし、メインアーケード「いろは会ショップメイト」には
日雇い労働者であるらしいかたがたが 数多く座り込んでやした。(昨年暮れに歩いた時の印象)
その一カ月くらい前に「あしたのジョーふるさと祭り」が
催されたようでやす。
ゆーちゅーぶで その祭りの模様 観れやす(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-04 21:21)
いやぁ、素晴らしいと思いました。
今まで深く考えた事がありませんでしたが、そこで優劣を感じてたかも。
by secretariat (2011-02-05 08:19)
secretariat さん
商業作品のお客さんは 大部分が 専門的に勉強してはおられないわけでやすが
何がどう変かを理論で説明はつけられなくとも
「なーーーんか釈然としないなあ。 なんか良くなかったなー」
と感じられやすよね。
創り手は、その感覚を軽視してはいけないと思いやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-05 20:47)
明日のジョー14日に見に行きましたか?
見たら感想語ってください^^
by pachi (2011-02-15 16:47)
pachi さん
へい、観やした。
力石徹役の伊勢谷友介さん 丹下段平役の香川照之さんの演技に
とても感動しやした。
杉本哲太さん 津川雅彦さんの存在感にも 流石ベテランの役者さんだなぁと思いやした。
塚本晋也監督の「東京フィスト」に強く影響を受けていると思われるショットが 二か所ありやした。
以上でやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-02-16 20:20)