古着にまつわるモノローグ

古着が好きだ。
いつ　どういうきっかけで　古着の魔力に魂をからめ取られたのかは　もはや　憶えていない。
が、中学二年の時には　既に　グルーピーがミュージシャンに逢いに行くが如く、原宿の古着屋「シカゴ」や　中央線沿線の個人経営の小さな店に　週末が来る度ごとに　通っていた。

最近は、パルコなどの大手テナントビルの中に出店したり　古着を特集した雑誌が出版されたりと、古着も随分　市民権を得たものだと　嬉しく思う。
自分が中高生の頃なぞは、「これは古着だ」　と胸を張ると、同世代の者の多くにも　「兄弟のおさがりを着ているっていうこと？」　と、けげんな顔をされたり、ましてや　親ほどの年齢のかたには　「ステキよ！　ぜんっぜん古着になんか見えないから大丈夫よ！！」　と、励ましのお言葉をちょうだいしたりしていたものだ。

今の自分は、戦争を体験した　物質の乏しい中に育った世代のかたが、好んで古着をまとう者がいるなど　想像だにしないと理解しているが、当時の自分は、余りにも意外なその返答に、沈黙し　そのまま話を終わらせてしまっていた。

昔も今も、自分の嗜好を　他人に共鳴してほしいとは思っていない。
しかし　今の自分は、互いに全く異なる価値基準の者同士が　疑問符のダイヤローグを交わすことは　決して無意味ではないと、まがりくねった人生の経の途中で　足元に陽が射すが如く　気づかされている。
そして、そのダイヤローグを成立させるための手段----言葉----も又　経半ばで　自分なりに学習してきた。

もしも　あの時の自分の頭蓋に　今の己れが　すい　と入り込めたら　こう返したい。
「古着の魅力は、使い込まれた器のそれの様なものなんです。　茶しぶが染み込んで手に馴染む温もりや　金継ぎの面白味は、新品には持ち得ない　ならではの趣でしょう？」
対して　当時の大人は、どう答えただろう・・・・・

タグ：古着

コメント 40

遅くなりましたが今年も宜しくお願い致します
by さーやん (2010-01-14 11:35) 

「古着の魅力は、使い込まれた器のそれのようなもの・・・」
まったく同感です。
ぼくの愛着のあるものはほとんどが擦り切れ破れてしまっています。
人から見ると、みっともないらしいですが、
気にしないことにしています。
by 未来 (2010-01-14 12:17) 

「足元に陽が射すがごとく・・」という言葉が好きです。

いい言葉をたくさんご存知なのですね。
by emiemi40 (2010-01-14 12:54) 

でも、妻の着物をみていて思うのですが、代々伝えて、染め直して受け継いでゆく文化が日本には伝統的にあったはずなんですけれど・・・。祖母さんから引き継いだ着物を染め直したら、すごくきれいでしたよ。
by ナカムラ (2010-01-14 12:59) 

こんにちは。
う～ん。物資の無い時代に育った人間としては、はじめ、古着がファッションとは意外でしたね。
ですが、それがファッションなら、自分たちはずいぶんお洒落をしてきたんだな、とおかしくなりました。
古くても身になじむもの、それが一番だと思います。あ、洗濯はやっぱりしてあった方が気持ちいいでしょうね。
by sig (2010-01-14 14:55) 

こんばんは。
古着ファッション、これも趣味の世界だから、何でも有りと思います。　　私は、安くても、自分の好みなら、何でも買いますが、あまり古着を買いたいとは思わないかも・・・。　　でも、何故かコート類なら、買いそうな気が・・・・。
息子達が古着ファッションを好んでも、違和感は全くない気がします。　　肌着類で無ければ・・・の話ですが・・・・。＾０＾
by サニーデイ (2010-01-14 16:53) 

さーやんさん

こちらこそ　よろしくでやす♪
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-14 18:34) 

未来さん

器に例えるのが　最も適切かな・・・と　今のあっしは思っているので
共感していただけて嬉しいでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-14 18:40) 

古着.....以前のわたしには考えられなかったことです。３人きょうだいのいちばん上なので、新しいものしか着たことがなかったのです。でも、最近は、お財布の中身と相談して、実用的価値のある古着を利用しています。男物の革ジャンなのですが女性用にボタンもついていたりして、なかなかいいものなんです。いいものを安く買える。流行はズレてますが、自分なりの個性が演出できる.....人に見られて人に評価されるんじゃなく、自分の気分でサイコ〜ならいうことなし。ポケットもいっぱいついてて、バッグなんかいらないほど。自由な気分になれるのが、古着の魅力かな〜(*^ー^*)
by Ariel (2010-01-14 18:44) 

emiemi40さん

そこの部分の表現は　自分なりに気にいっているところなので
そう言っていただけて嬉しいでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-14 18:45) 

ナカムラさん

そういう文化　いつの間にか　廃れてしまいやしたね、残念でやす。
古着屋によっては　着物も扱っている店もあり
また　その中には　着物地のリメイクの服や巾着やタペストリーを
創っている店もあり　「いいものだなー」と　思いやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-14 19:29) 

sigさん

やはり意外でやしたか・・・。
あっしも　洗濯は　きちんとしやすよ、古い　と　不潔　は別物なので。
あっしは、「古着である」ということそのものには　余り拘りは無く
古着っぽい雰囲気が好きなので
新品でも　「これは　自分の理想通りに変えられる」と確信すると
購入して　着る前に何度も洗ったり　軽石をかけたりして楽しんでおりやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-14 19:37) 

サニーデイさん

肌に近く纏うアイテムほど抵抗ある　という人は少なくないようでやすね。
あっしも　中学生の頃　親に
「下着だけは買うな」と言われてやした。



by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-14 19:45) 

Arielさん

古着の革ジャン　いい雰囲気でやすよね！
長年　使い込まれた革には
古い備前焼きのような重厚感を感じやす。

やはり　古着を纏われると　自由な気分になれやすか。
まぁ、これは　あっし個人の考えなんでやすが
自分の嗜好と流行がピタッと一致することって
極めて稀な偶然のように思いやす。
そんな中　流行っているからと　好きでもないものを無理して着るのも　
自分が苦しいだけではないか、と
あっしは、中学生の頃から　こう思い続けてきやした。


by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-14 20:09) 

大量消費の時代が終わりつつあるのかなと思いますね。
しかしその一方で、直ぐに擦り切れる安物の服も多く見かけます。

リユース出来るよう、メーカーにはちゃんと作ってほしいものです。

by えがみ (2010-01-14 21:54) 

趣味や嗜好をともに携えて歩けるのは
至難の業ですね。
一瞬の交錯に共感と歓びを感じます。
by 空兵ーＳ (2010-01-14 22:05) 

私は残念ながら古着はあまり着ないのですが、
私が仕事で愛用していたスールを年上のいとこが
ありがたい位に大切に、でも、惜しげなく、私の着こなし方とは
全く変えて着てくれています。
by ひまわり (2010-01-14 22:33) 

古着屋さんが存在していることさえ知りませんでした。
物事を違った視点で見ることができて面白いです。
ちょうど中古ＣＤを買って、「おー、この音楽を楽しんでいた人が
いたんだなー」と思うのと似た感覚なのでしょうか。
by 人間科学者 (2010-01-14 23:33) 

金継ぎの面白味・・・金継ぎ自体を知らない人も多いでしょうね。
by デルフィニウム (2010-01-15 09:24) 

古着と言っても意味もそれぞれだけれど
それだけ上等のものなのでしょうね・・・＾＾
古着だけでなく使いこまれて素敵なものに変わっていく過程も好きです*
by kyo* (2010-01-15 09:35) 

えがみさん

大量消費の時代が終わりつつあるのは　あっし個人としては
嬉しさを感じやす。
メーカーは　リユースのことまで考えてはくれないでやしょうなぁ。
売ることのみに必死で。　
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-15 09:42) 

空兵-Sさん

空兵-Sさんは　ジャズの世界に　そうしてきてこられたんでやすね！
共感していただけて嬉しいでやす！

by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-15 09:49) 

ひまわりさん

以前着ていた（着ていたであろう）人と　いかに違う着方をするか　も
古着を楽しむ醍醐味でやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-15 09:57) 

人間科学者さん

そうでやすね、そういう感覚に近いと思いやす。
あと、古本を買ったら、線引きがしてあって
「なるほど、前に読んだ人は　ここに着目したんだたなー　ふむふむ」
というような。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-15 10:02) 

デルフィニウムさん

あっ、そこ　あっしも　そう思いつつ書きやした。

金継ぎというのは　割れた器を　膠で接着して　そこを金泥で覆った
直したことを面白味として前面に出した修繕法でやす。

by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-15 10:08) 

kyo*さん

やはり　上質のものは　古着としても長く生きてくれやすね。
特に　昔のコートは　仕立てがしっかりしているものが　多いと感じやす。
ただ、重いのが難点ではありやすが・・・。

あっしも　服のみならず、器でも家具でも庭でも
使って温もりを感じる状態になったのが好きでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-15 10:15) 

最近服なんて買ってないなぁ...
何か古着で格好イイのが欲しいです。
by Taddy (2010-01-15 19:40) 

Taddyさん

カッチョイイ古着とめぐりあってくださいでやす！
古着も　骨董や古本や中古CDと同じく
めぐりあいだと思いやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-15 21:19) 

私も古着、好きです。
アメリカンなのではなく、ヨーロピアンなほうですが。。。
三軒茶屋に夜中までやってる古着屋があって、よく会社帰りに行きます。よく掘り出し物があり、しかも、夜9時以降は割引になる。最高でしょ！
by cjlewis (2010-01-15 23:00) 

cjlewisさん

夜9時以降割引　いいでやすね～
三茶から程近いシモキタも　古着屋の宝庫でやすな。

by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-15 23:17) 

この度はご訪問有難うございます。
今後とも宜しくお願いします^^
by PAPA (2010-01-16 16:56) 

こんばんは。はじめましてご訪問＆ぽちっと
ありがとうございました☆

そうですね
自分の趣味嗜好　万人に分かってほしいと思っていなくても
今では　何かの機会で
色々な方と繋がることができたり
こうして　ブログで　色々な方の興味のあることを
知ることができたりしますね　＾＿＾

by yokogdpink (2010-01-16 19:31) 

PAPAさん

こちらこそ　よろしくでやす♪
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-16 22:32) 

yokogdpinkさん

生涯、自分ははまらないであろうという趣味も
その人は　何故　それに夢中になっているかということを
探求してゆくことは　とても意味あることだと思っておりやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-16 22:42) 

私も高校生の時シカゴで革ジャンを買いました。
とても懐かしいです。
ご訪問＆nice! ありがとうございましたm(_ _)m
by Cleo (2010-01-16 23:04) 

Cleoさん

そーでやしたか！
シカゴは　今や　古着屋の老舗でやすなぁ。
二枚目の写真は　やっっっっっと最近出来たシカゴ吉祥寺店でやす。
天下のシカゴたるもの　もっと早よ吉祥寺店出せや！
と　思ってやした・笑。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-16 23:15) 

最近の、高校生、原宿で古着のジィーズ買っているけれど、案外高いみたいですよ。
by thaler (2010-01-16 23:52) 

thaleｒさん

ヴィンテージのジーンズも　高いものは　かなりするみたいでやすねー。
あと　スニーカーとか。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-01-17 00:12) 

家具とか本とか機械とか楽器とか車とか家とか店とか街とか…
もう　ぜんぶぜんぶぜ～～～んぶ　そうですよね。
好みの問題もあるのかもしれません。
でも使い捨てのようなモノばかりが溢れだして
替わりに二度と蘇るコトのないモノを飲み込んでゆく…
やめてくれーーーーと心で叫びつつ
結局安物を手に取ってしまう
もっと抗うべきなのれす。←自分にゆってまふ^^;^^;

しかしですね、
女性の古着っつのは、ちょいと難しい。かな？
１００％ジーンズ（デニムなんて言うか！んにゃろー）だから可能なんですけど(^^)
今度古着屋さん覗いてみよーっと。
あ。紺のＰコートなんかあったらいいす♪
by recchu (2010-02-13 14:09) 

recchuさん

そう！　ぜ～～～んぶに於いて　そう思いやす。
家具や服は　こうして自らが取捨選択することで
心地良いものに囲まれていられるけれど
好きで通ってた古い店が無くなったり
古い駅舎が取り壊されたり　というのは
自分にはどうにもならないことだけに　とても哀しく思いやすね・・・・・

いいpコートと巡り合えるといいでやすね♪
by ぼんぼちぼちぼち (2010-02-18 09:50)